人工知能が小説を書く!

2016-03-23 06:49

このニュースを聞いて「シンギュラリティが!」と騒ぐ人は何を言っても聞かないと思うので無視する。こういう楽屋裏を「ある程度」正直に語ることはいいことだろう。

 プロジェクト代表の松原仁氏は「現時点では人間の関与が大きい」と語った。今現在は人間が8割から9割方書いており、コンピュータの寄与は1割から2割だという。だ

引用元:人工知能は小説を書けるのか ~人とAIによる共同創作の現在と展望 - PC Watch

ここでは二つの方法が語られている。筋を全て人間が設定し、表層の言葉だけコンピュータに作らせる方法。もう一つはコンピュータにゲームをやらせ、その中で面白そうなものを人間が選び、人間が小説にする方法。

現状できることはこのくらいしかない。とはいえこの物言いは大学の「センセイ」らしい不誠実なものだと思う。

名古屋大学の佐藤教授は、今回の創作物について、「コンピュータで書いた」のか「コンピュータが書いた」と見るのかは、受け手がどう感じるかだと述べた。

引用元:人工知能は小説を書けるのか ~人とAIによる共同創作の現在と展望 - PC Watch

これは「ワープロ(この言葉死語?)を使って書いた文章はコンピュータが書いたのか」と似たような問いかけ。つまり佐藤教授のアプローチは「コンピュータで書いた」でしかない。まあセンセイとしては「それは哲学的な問い」と誤魔化したいだろうけどね。

つまりこういうことだ。AlphaGoは人間のチャンピョンに勝った。しかし現状人工知能は「なろう系」のゴミ小説すら作ることができない。もっと言えばその糸口すらつかめていない状態にある。どちらの方向に進んだら「小説の構造」を自動生成できるか見当もついていない。そう考えるとあれだよね。ここらで「自然言語処理がなしえたこと、なしえなかったこと」をまとめると面白いんじゃなかろうか。文書全体に統計処理を施すことはできる。語句の細かい処理もまあできる。しかし中規模から大規模の構造に関しては全く手が付いていない、というのは外野の見立てなのだが。

ちなみに30年前、オフィスには「ワープロ担当の女の子」というのがいた。技術革新は間違いなくそういう「仕事を奪った」。もっと前の話だが、人間が紙の上にかいたコードをコンピュータに打ち込む「キーパンチャー」という仕事があった。PCの発達はそうした仕事も奪った。こういうのを何度も経験していると「人工知能が人間の仕事を奪う!」と聞いても「はあそうですか」としか思わなくなる。