膨らみ続けるバブル

2016-07-05 06:59

今私が働いている周りでは二つのバブルが存在している。一つは人工知能(笑)でありもう一つはVR/ARだ。

こういうバブルに対してどのような態度をとるかは会社によって差が有る。まっさきにとびのってわけのわからないIRを連発する会社もあれば、冷静にどの程度使えるかを見極め、製品化するときはちゃんと使えるものにする企業もある。

私の考えではAppleと任天堂は後者の最たるもの。宮本氏はVRについてこう述べたのだそうな。

宮本専務は今年のE3会場を訪れたが、「VRがそれほど大きな話題になったとは感じなかった」という。その理由として、VRを実際に体験した人は高く評価しても、周りで見ている人にはそれが理解できないこと、その体験がどんな商品として実現できるのかが分かりにくいこと――をあげた。

引用元:任天堂のVRへの取り組みは 宮本氏「E3でVRは大きな話題に感じなかった」 - ITmedia ニュース

宮本氏が実際どのような言葉で述べたかわからない。私なりに要約すれば

「VRを体験している人は変」

これにつきる。自分でVRを体験するのは悪いことではないが、私としてはそれをやっている人のほうがよっぽど面白い。周りと隔絶した状況に一人で入り込み、笑ったりわめいたりしている。まるで狂人だ。

さて

もう一つのバブル、人工知能である。その膨らみ方を見ていると池上某が言っていた

「なぜバブルが二十五年ごとにおこるのか」

といった説明を思い出す。私は一つ前の人口知能バブルを経験した人間だ。バズワードにみんなが飛びつき、企業や大学が競って「人工知能研究所」を立ち上げる。これは空前絶後だ、と叫びながら。

そして前のバブルを経験した人はそれを懐かしい思いで眺める。前もこういうことがあったなあ、と。

Deep Learningがもたらしたブレークスルーを過大評価する人間は間違いなく何も勉強していない。ニュースで聞きかじり「なんだかすごいんだってね」とうちの奥さんが言うのは理解できるが、自分がその分野について勉強する機会がありながら、

「シンギュラリティだあ」

とか言っているのは馬鹿としか言いようがない。いや、バズワードに若者が熱狂するのは古今東西共通の原理だ。私は年寄りなので、そういうのはニコニコして眺めているのがいいだろう。若い者は元気があっていいいねえ。人工知能で生活が一変!と騒いでいる人は、森山さんの言葉をかみ締めるといいよ。

ここ10年くらいで自動で文字起こしできる技術くらいは、そろそろ登場してほしいなあ。ニーズあるのにこんなに進展の少ない世界もあんまりないんじゃないのかな。

引用元:サイエンスライター 森山和道