人の流れをコントロール

2016-09-02 06:48

Pinterestというサービスがある。日本では流行っていないが、米国では随分人気を集めているようだ。「何か欲しいもの」という漠然とした要求しかない場合まず覗きに行くのがPinterestという意見もあるとのこと。

でもってその会社がどうやって儲けているのかがよくわからない。慎重に広告を入れ始めているようなのだが。こんな悠長なことができるのも

「圧倒的に人が集まる」

という地位を確立しているからである。映画ソーシャルネットワークにもあったが、ちまちま広告を集めるより、とにかく多くの人が集まるプラットフォームを作る。人の流れさえ集まってしまえばあとはなんとでもなる、というのがインターネット企業の一つの鉄則。Googleだって結局それで巨万の富を得ているわけだし。

さて

この説明では肝心な部分がかけている。「人の流れをどうやって金に結びつけるのか」という点。これまで多くのインターネット企業は広告でもってお金を得てきた。広告をみれば、その商品なりサービスに人々の関心が高まり、広告をだした企業の売り上げにつながるだろう、というのが前提として存在している。

ところがPokemon Goのこのニュースを見て、それとは違った金儲けの方法があるのだと気がついた。

ソフトバンクは9月1日、スマートフォン向けゲーム「Pokemon GO」において、Nianticおよびポケモンとパートナーシップ契約を締結したと発表した。これにより、全国約3700店舗のソフトバンクショップとワイモバイルショップが、Pokemon GOの「ポケストップ」または「ジム」として登録される。

引用元:全国のソフトバンクショップが「Pokemon GO」のポケストップとジムに - CNET Japan

マクドナルドにつづいて2件目である。これがどういう契約になっているかは当事者以外知りえないことではある。しかしPokemon GOは「意のままに人の物理的な流れを制御する」力を手にいれた。でもってそれを使って物理的な店舗に人を向かわせることができる。その力をお金に変えているわけだ。これも変形広告モデルと言えるかもしれない。従来の広告より強力なのは、実際にユーザが足を運んでくれること。劣るのは、サービスやら製品の認知には一切関与しない、ということ。

ユーザにしてみればこうした「課金」の方法は大歓迎。ソフトバンクからは縁が切れて(正確にはまだ切れていない。それについてもいいたいことが山ほど有るがここでは省略)せいせいしているから、間違ってもものを買ったりしないが、マクドナルドはよれば確かに何か買うかもしれない。詐欺的な新商品の写真など見せられるより、野生のフシギバナを捕まえられた方がこちらとしてもうれしい。

従来の広告モデルに飽き飽きしている私としては、こうした別の形の広告モデルがもっと力を持ってくれないかと思う。こう考えれば、先日引用した

「ナイアンテックのエンジニアは、ユーザ第一を徹底して考えているから課金の概念が薄い」

が正解にも思えてくる。ユーザは快適にゲームを楽しむ。企業はそれを阻害しない形で収益を上げる。石原某ではないが「Win-Winね」といいたくもなる。