Microsoftの蹉跌

2016-11-04 07:18

前にも書いたはずだと思い検索したがでてこないから(私の頭の中では)繰り返しになるが書く。Evernoteが「台数2台まで」と言い出したこと、あとAPIがいつまでたっても使い物にならないことに腹をたて、一度はMicrosoft OneNoteへの乗り換えを決意した。

幸いにもデータ変換ツールが提供されているからあれこれやる。多大の苦労の末なんとか乗り換える。しかしまず気がつくことは

「ノートのソートができない」

こと。evernoteで慣れていたように、最新のノートが一番上にくるようにしたいのだが、それもできない。OneNoteはタスクバーの中に「お客様のご意見を伺います」というボタンがある。そこからさっそくレポートする。まあいつか誰かが聞いてくれるだろう。

それからしばらく使い続ける。しかし遺憾ながら数ヶ月の努力ののち、また(多大なる努力をして)元のEvernoteに戻ることにした。

理由は簡単で、使い物にならなかったからだ。とにかく遅い。そりゃ古いMacBookAirで使うなよ、ということかのかもしれないが、空のノートにカーソルを表示させるだけで何秒も待たされる。そこにどちゃっと情報を書くのにも時間がかかる。一文字打つごとに待たされていたMacintosh SEのほうがまだましだ。あれはそれなりに使えていた。

最後Evernoteに戻る時、概略そういったことを例の「ご意見聞きます」ボタンから書いておくった。そもそもMicrosoftの開発チームはこれを使っているのか?と。多分使っていないのだと思う。どっかに外注してるんじゃなかろうか、と。いずれにせよこれでMicrosoftの開発能力というかスタンスに対する評価がまた落ちることとなった。

なぜ長々こんなことを書いたかといえば今朝読んだこの記事。

Slackは全面広告(ブログで同じ文章を掲載している)で、Microsoftが競合として参入したことは「正直なところ少し怖い」が、ライバル登場で改革速度はアップするから歓迎するとして、「(先輩として)幾つかのアドバイスを差し上げよう」と語った。

 いわく、こうしたサービスで重要なのは機能の数ではなくユーザーとの密接な関係から作り上げた細かい使い勝手。オープンなプラットフォームであることも重要だ。そして、最も重要なのはユーザーへの愛だと強調した。「われわれの顧客をMicrosoft Teamsに乗り換えさせたいなら、われわれと同じくらい顧客の成功にコミットし、彼らの幸福のために尽くす必要がある」という。

引用元:「サービスで大事なのは愛」:Slack、競合する「Microsoft Teams」発表に歓迎の全面広告 - ITmedia ニュース

MicrosoftがSlack対抗製品を出したのだそうな。これが20年前なら

「もうSlackはおしまいだ」

と誰もが思ったところだが、今は状況が違う。この「ライバル製品登場に歓迎する広告を出す」というのは私の中では死亡フラグなのだが、まあそれは問わない。

この主張に大きく頷く点があるとすれば

「ユーザーへの愛」

がMicrosoftには全く感じられない、こと。Macintosh版OneNoteを使って感じるのは「これは、ビジネス上のつじつま合わせのための製品なんだんろうな」ということ。誰かがOneNoteの「戦略的重要性」を説き、Macintosh版をだすことの必要性をパワポにまとめ、誰かを納得させたのだろう。しかし社内の開発者は使えないから、外注するかあるいは役に立たないチームに開発を任せる。そのチームはユーザの声に必死に耳を傾ける。いや、正確には

「ユーザからのポジティブな声を必死に探し求める」

なぜならそれがチームの存続を保証してくれるから。そしてまた誰かが

「OneNoteによせられたフィードバックのうち、ポジティブなものの割合はX%で、これはMicrosoft製品Y%を上回っており」

とか報告するんだろうな。

そんなことをだらだら想像してしまうほど、出来が悪いのだ。Appleでもときどきこういう製品を出すことはあるから、これがMicrosoftに特有というつもりもないが。さて、このSlack対抗製品はどんなものなんだろうね。

「Microsoft Teamsは、企業向けOffice 365ユーザーのみが利用できる」

という時点で誰も使わないと思うけど。