上から目線で研究を説明

2017-01-25 06:57

秋には2箇所研究所のオープンハウスに行く。NTTコミュにケーションなんちゃらとATRである。両方ともとってもすばらしい研究者が揃っているところであるし、そもそもオープンハウスだから近所のおばちゃんから高校生とか中学生まで来ている。

「とっても賢い人」たちが「そんなの」を相手に延々説明を繰り返すのだから、私のようにいかれた格好をした初老の男がでてきたときに

「あんたにはわかりっこないけど、まあ説明してあげますよ」

という気持ちになるのは当然だ。多くの場合顔にそう書いてある。

時々あるのだが、私が説明に対して「この場合はどうなんですか」と相手の意表をつく質問をすると、相手はちょっと驚いた顔をしながら私の名札を覗き込む。もちろん所詮私の質問だからたいしたものではない。それだけ相手がこちらを見くびっていたということなのだと思う。かくのごとく相手にみくびられるというのは楽しいことでもある。相手を少しつまづかせただけで相手に与える精神的ダメージが大きい。

ピーター・ドラッカーは「知識ある人の責任」について、こう述べている。

知識ある者は、常に理解されるように努力する責任がある。素人は専門家を理解するために努力すべきであるとしたり、専門家はごく少数の専門家仲間と話ができれば十分であるなどとするのは、野卑な傲慢である。

大学や研究所の内部においてさえ、残念ながら今日珍しくなくなってきているそのような風潮は、彼ら専門家自信を無益な存在とし、彼らの知識を学識から卑しむべき衒学に貶めるものである。*1

引用元:知識レベルに格差がありすぎると「普通に話しているだけ」なのに相手にとっては「バカにされている」ように感じる | Books&Apps

最近の繰り返しになるが、釈尊の教えはどうだったとかあれこれ考えている人も「上から目線」とみられたんではなかろうかな。でもってとにかく「念仏唱えろ」「南妙法蓮華経と言え」というところに落ち着いたのだと。小保方を未だに信奉する人間には何を言っても無駄、というのが「頭のいい人」の実感なのだろうけど、そこで止まってしまっては進歩がない。

未だに繰り返される文明社会での蛮行を思うとき、(最近の米国の大統領選挙もその一つだ)気が滅入るのは私だけではないと思う。念仏よりももう少しまともな方法はないものかな。


自分で考えなさい

2017-01-24 06:58

「思考のための検索インタフェース」など人前で発表した身としては「考える」ことについてあれこれ考えずにはいられない。最近読んだ仏教とかキリスト教シリーズで思い当たるのは

「そんなことはすでに誰かが考えてんだよ」

というあたかもAlan Kayが語るかのような言葉である。すごいぞーこんなこと考えちゃった、というのは大抵数十年かもっとすると数百年前に誰かが言ったことであり、それがぐるぐる回っている。

結局ゴータマも「自分で考えな」と言いたかったのではないかと思う。私が愛読する(社内でかしたら3冊とも数年たっても返ってこない。その男は経営者に気に入られているから出世するのだが、私にとっては”貸した本を返さない男”である)G.M.ワインバーグの本で、誰かが書いた推薦文に「結局筆者は自分で考えなさい」と言っている、というのがありそれが思い起こされる。

というところでそんなことはおそらく数千年前からわかっているのだが、問題はなぜ「広まるときは、”考える”が”信じる”に変わるのか」という問題。鎌倉新仏教は南無阿弥陀仏とか南妙法蓮華経とかとにかく唱えろになってしまった。あれかな。考えるのってしんどいことだから、結局

「これを実践すれば、たった3週間で生活が見違えるように」

のほうが受けるということなんだろうか。電車の中で見る「自己啓発本」もだいたいその類いだし。

考えようとしない人を考えさせるためにはどうすればよいか。WISS2018はこの路線で考えて見るか、ってWISS2017のネタの方が先なのだが。

それよりあれだな。「キリスト教に学ぶ最強の言い訳術!」という本でも書くか。スターリンを神と崇めてしまった人たちが、どうやってスターリンを愛の神に祭り上げたか。

「昨今コンプライアンスが声高に叫ばれ、ネットの上ではどんな大企業も簡単に”炎上”しそのブランド価値を損ないかねないリスクにさらされています。

しかし心配はありません。人類にはキリスト教という格好の教師がいます。傍若無人に振る舞い見方も敵も殺しまくる神をどうやって”愛の神”といいくるめたのか。キリスト教が数千年に渡って磨き上げて来た”言い訳術”をマスターすれば怖いものはありません!本書は聖書を素直に読めば”これはまずいだろう”というものをキリスト教がどうやって言い訳して来たかを豊富な事例とともに紹介。本書一冊読めばもう炎上も怖くない。企業関係者必読書!」

さあ執筆に取り掛かろう。



メルカリDayに行ったよ

2017-01-23 06:40

というわけで先週の金曜日のこのこと出かけて行った。毎度のことだが六本木の駅からどうやったらあのビルに最短経路でいけるのかわからない。必ず迷う。

なぜ私はこのイベントに申し込んだかは今となってはよくわからない。まあいろいろ鬱屈したものがあったんでしょう。

おそらくはメルカリにとってリクルートイベントであり、その点からも私のような老人はお門違いである。そもそも私はメルカリのサービスを使っていない。俺はなぜここにいるんだろう、と思いながら話を聞いていた。途中で退出したのはつまらなかったからではなく、家にかえってご飯を作らなければならなかったからである。

じゃあ何がわかったかといえば「メルカリという会社は大変急いで走っている会社だ」という点。エンジニアが断言していたが、とにかくバグがあっても出す。コードの汎用性は考えない。私はこういう割り切りは好きである。バグがなくなることはない。100年でも200年でもデバッグすることはできるが、その間に会社はつぶれてしまう。とにかく出そう。動かそう、というのは一つの割り切りだ。

問題は

このイベントは一見さんお断りに思えたこと。例えばこうだ。「メルカリからソウゾウ、グループ会社のカルチャーづくり。」という公演があり、グループ会社の社長がとうとうと喋る。その内容はともかく

「そもそもなぜ子会社を作って新規事業をやっているのか?」

という根源の話をすっ飛ばして喋るものだから内容がさっぱり頭にはいらない。どんな文化を作るってその根源の動機なしには語れないと思うのだが、彼はそれについて一切触れない。

他のエンジニアの公演ではいきなりSREという言葉が当然のように使われる。つまりこのイベントにはSREという略語が理解できない人間は来るな、といっているかのようだ。

BABAROT 8月の1ヶ月間は「Site Reliability Engineering (SRE) チーム」に研修で配属されていました(編注:取材は2016年9月1日に行われた)。
インフラチーム改め Site Reliability Engineering (SRE) チームになりました - Mercari Engineering Blog
── SREチームというと、現在kazeburoさんがいらっしゃる部署ですね。まだあまり耳慣れない言葉ですが、具体的にはどんな部署なのでしょうか。
BABAROT いわゆるサーバー管理やシステム運用を担うのですが、その領域に加えて、プロダクトのソースコードにも手を入れて、サービスのパフォーマンスや信頼性に責任を持つチームです。

引用元:メルカリ新卒エンジニアはSREもサポートも経験する! BABAROT & Hiraku インタビュー - エンジニアHub|若手Webエンジニアのキャリアを考える!

多分日々の業務が忙しくて、「自分たちが誰を相手に話すのか」とか考えている余裕がないのだと思うし、それでメルカリ社内部では通るのだろう。あるいはメルカリについてそんな基本的な言葉も知らない人間は雇ってやらないとということなのかもしれない。

自分が相手にしていない人間にだらだら説明するより、わかる人だけ来てくれればいい。こういうのも一つの割り切りである。いつの日か個人でメルカリを使わせてもらうこともあるかもしれない。しかしこの会社のイベントに来ることはもうないだろうな。聞きたいことは聞けたし。


昼休みは冷房を切りましょう

2017-01-20 06:54

私が最初に勤めた会社でもそうなっていた。電気を消し、冷房を切る。夏は耐え難いほど暑いので、コンピュータがある部屋(ここだけは冷房をつけ続けることを許されていた)に皆が密集していた。

それに疑問をもったり異を唱えることは許されなかった。今から思えばそうした非合理的な指示に対する従順さと会社全体で起こったことに関係はあったのだろうか、なかったのだろうか。

東芝の工場行くとね、廊下の電気はいつでも薄暗いし、昼休みは部屋の電気も消すんですよ。それで1日工場全体で何百円か何千円かを節電する。そうやって節約したコストも粉飾やら減損やらでぜーんぶ台無し。

引用元:人間モスボールさんのツイート:

みんないい人なんですよ。社宅から自転車で通勤して、昼休みはラグビーグランドでキャッチボールやバドミントン。社食の端っこでは定年を迎えた先輩のささやかな送別会。東芝ツーリストで新婚旅行。都市対抗はみんなで応援。そんな暮らしを守るのも壊すのも管理部門と経営陣。

引用元:人間モスボールさんのツイート

私は三菱重工の人が東芝ほどいい人ばかりだったとは思わない。明らかに「虎の威を借る狐」のような人もたくさんいた。(今から振り返れば、自分にも恥ずかしい言動はたくさんあった)しかし昼休みはランニングに汗を流し、冷房が止まった部屋に帰って来る人がたくさんいたのは確かである。そうやって年にいくら節約できたのだろう。それが精神的なものだとすれば、それの何億倍が経営陣の無能さでふっとばされ、ただ命令に従い真面目に働いていた自分たちの給料が危うくなるのをどう理解すればいいのだろう。

いや、こういうことを考えてしまうこと自体、私が日本の大企業では落ちこぼれだ、ということを示している。疑問を持つことすら正しい社員ならするべきではない。

この図式は旧軍と変わるところはない。部下に特攻と自決を強要し、その上で自分たちはのうのうと生き残った軍の幹部のように。なぜ日本の組織はこうなってしまうのだろう。

嘘つきが得をするのは世の習いかもしれない。しかしその程度がはなはだしくなるとシステム全体が崩壊する。東芝の経営陣は牢屋に放り込むべきだと思うが、現実と接点を持っている社員たちのことを考えるとやりきれない気持ちになる。そしてそれは対岸の火ではないかもしれない。



シェア85%の衝撃

2017-01-19 06:57

何かの本に「シェアが85%と15%。この比率にはあちこちでお目にかかる」という表現があった。1980後半から90年代のMacとWIndowsのシェア比率だっただろうか。そのあとMacはじりじりと衰退しシェアが5%とかいう時もあったと思う。その頃AppleのOSでアプリを作るなんてのは好きものがやることだった。到底商売になるとは思われていなかったのだ。

長年のApple原理主義者たる私だから、15:85きけば自動的に「ああ、Appleは15のほうね」と思う。それだけのきの数字は衝撃だった。

スマートフォンを所有する15歳~49歳の女性(女子高生 n=328、女子大生 n=412、独身女性 n=416、既婚女性 n=418)1,574人を対象に、所有しているスマートフォンについて聞いたところ、iPhone(キャリア、格安スマホ所有を含む)の所有率が女子高生では84.8%と最も多く、次いで女子大生が79.6%、独身女性が69.9%、既婚女性が62.9%となり女子高生のiPhone所有率が最も高かった。

引用元:女性のスマートフォン利用実態調査

まさかAppleが85%の側に来ることがあるとは。おまけにこの異常なiPhoneのシェアはなんなのだ。

「流行に敏感な女子高生はiPhoneを支持した」

とかゴミみたいなマーケティングの理屈を振り回すつもりはない。今はただ驚こう。

この数字が今後数年間でどう変わるは誰にもわからない。女子高生が女子大になり、既婚女性になるともう少しおとなしい比率に移行していくのか、あるいはそのままなのか。総務省の

「〇円携帯禁止」

でもって安いAndroidに流れるのか、そうでないのか。もう一つこちらはため息がでるデータを。

■ スマートフォンで定期的に使うアプリ・サイト上位は
  女子高生「LINE」「Twitter」「音楽再生アプリ」、
  女子大生「LINE」「Twitter」「Instagram」
  独身女性「LINE」「Facebook」「Twitter」、
  既婚女性「LINE」「ゲームアプリ」「ショッピングサイト」

引用元:女性のスマートフォン利用実態調査

やっぱりみんなLINE使うんだ。これが現実というもの。Tim.WWDC2017でAndroid版のiMessageを発表してくれ。おれはもうLINEを使いたくないんだ。中学の同級生がLINEに登録しろと言うからしかたなく入れているけれど。iOS10で強化されたiMessageの楽しい機能を使いたいんだ、、、って自分がiOS10が動作するiPhoneに乗り換えるほうが先か。


Death by thousands cut

2017-01-18 06:42

不思議なことにいつまでたっても

「すいません。あれはなかったことにしてください」

と言わないWindows Phoneであるが、いつか何かのReviewで

「一見よく見える。しかし使っていると問題があれこれ見つかる。Death by thousands cut」

という表現を見つけた。以下実例を引用する。

*snap another photo... Saving appears for at least 5 seconds.
Fuck I need to take another 10 photos at least, what the hell is wrong now?
I'll reboot it, that should fix it.
*snap another photo... "saving...saving...saving..."
Fuck it I'll do it tomorrow.
Wow 40% battery left, amazing!
Get home, open ebay.. search for used iPhone 6's.

引用元:A classic day in the life with my Lumia 950. : windowsphone

写真を撮る。「保存しています」というダイアログが5秒出る。頭にきて再起動する。また「保存しています」というダイアログが出続ける。頭にきてその仕事を明日に回す。気がつけばバッテリーが40%しか残っていない。

家に帰ると中古のiPhone6を探す。

最近はあまり話題にならないが、国産のスマホも一時はこんなものだったと聞く。別にMicrosoft-Nokiaを弁護するわけではないが、スマートフォンの開発は大変だ、というのが本当のところなのだと思う。自分が作る側に回ったらこういう製品を作ってしまうことに関しては自信がある。

日本でもこういう「本当の声」がレビューで聞けたらなと思う。考えてみれば日本にも「暮らしの手帳」があったのだが。

本誌の名物であった商品テストの記事を人手とコストが掛かるなどを理由に、同号を最後にして中止した

引用元:暮しの手帖 - Wikipedia

本当のことを言う、をなんとか金に結び付けられないかな。



ヤハウェ=トランプ

2017-01-17 06:48

最近「聖書を客観的に読んだ」本を読んでいる。そのあとインターネットで読める聖書の原文を読んでみると、確かにそう書いてある。

何が言いたいかといえば「ヤハウェの人でなし」である。(神様です)戒律を守っていれば保護してもらえる。そうでなければ殺される、とか言った話ではない。戒律を守っていてもちょっと不満を述べたり、香を間違って炊いた(と推測される)だけで首を切られる。たまには肉が食いたいといえば、一ヶ月死ぬまで肉を食わされる。無茶苦茶である。

読んでいてヤハウェに近いのはスターリンだと思い当たった。大粛清とか言葉は重々しいがつまるところ身内の大量無差別殺人である。しかもその基準がさっぱりわからない。あるいは会社の中もこれに似たものかもしれない。有力者に媚びへつらっていれば出世する可能性は高いがそれでも気分次第でどこかに飛ばされたりする。今働いているのはすごい会社に決まっている。だからアンケートが回ってくれば「ここは地上の楽園です!」と回答する。おや、こんな時間に誰か来たようだ...

読んでいてつくづく感じるのはキリスト教とかユダヤ教というのは

「ヤハウェが立派な神だから敬愛する」

ではなく

「ヤハウェがどんな無茶苦茶なことをしても、神だから愛さなくてはならない。理不尽な理由で大事な息子の首が転がっても、愛さなくてはならない」

という信者の無限の愛である。結婚式の説教では神が愛を示すというがそれは大嘘。愛を示すのは信者の方だ。スターリン治下のソ連もそんな具合であったに違いない。スターリン万歳と叫ばなければ殺される。だから愛するしかない。

さて

話はトランプである。選挙戦中から「致命傷」を何度もおったはずのトランプであるが、選挙後もあれこれやらかしている。

事の発端は、ルイスが先週13日、NBCのインタビューでトランプを「正当な大統領とは認めない」と発言したこと。「この男はロシアの協力で当選し、クリントンはロシアに潰された」「フェアではない」と、ルイスは言った。

 これに対しトランプは翌日、ツイッターで反撃した。「(ルイスは)いつも口ばかりで、行動や結果がついてこない」とか「(犯罪だらけの)自分の選挙区のことを心配したほうがいい」などと、いつもの調子でやり返したため、ルイスを英雄視する議員やメディア、市民の間で怒りが広がった。

引用元:トランプ大統領就任式ボイコット続出、仕掛け人のジョン・ルイスって誰? | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

私はここにトランプとヤハウェの共通項を見る。つまり米国内にはトランプ教が存在していており、有権者の半数近くはそれに入信している。

「立派な人だから大統領に選ぶ」

のではなく

「トランプ教の教祖だから大統領に選ぶ」

人がたくさんいるのだ。それゆえ例えばヒラリーがやったら間違いなく致命傷になるようなこのような無知ゆえの暴言をしてもなんのダメージも負わない。ヤハウェが気まぐれでイスラエルの民を殺戮しても唯一絶対の神として君臨し続けたのと同じように。

ではトランプ教とは何か?

それは小学生が考える荒野のガンマンのようなものではないかと想像する。悪い奴に手当たり次第発砲し、ちょっと悪いことをしてもニヤリと笑ってすませる。それが神の姿だ、という宗教がアメリカ人の心の奥底に存在しているのではなかろうか。

このトランプ教というのは「密教」なので誰もその信心を公に語ったりはしない。隠れキリシタンのようなものである。皆オバマの写真の裏にトンラプの写真を飾っている、とか妄想ははてしなく広がるのだが本当のところはトランプに投票した人間に聞いて見ないとわからない。


Make Some Noise

2017-01-16 06:53

先週の金曜日に久しぶりにPotatotipsというイベントで発表した。最近思うのだが時間制限が厳しいほうが、良いプレゼンテーションになる気がする。いいたいことが凝縮されるというかそうしないと時間オーバーするし。

発表の後は懇親会がある。だいたい私はそういう場所では「ぼっち」である。そりゃそうだわな。自分の顔を客観的にみれば「じいさん」でしかない。若者が発表しているところにいきなりそんなのがいるのだから。

でも

最近「ぼっち」を気にしなくなった。ピザと寿司を食べて周りの様子を見ているだけでも結構楽しい。その時は一人話しかけてくれてあれこれ話が弾んだ。

どんなノイズ(主張)?

 「自分たちがだれであるか。どんな人間になりたいのか。そういうこと。なりたい人間になるためには、他人を巻き込み、人に興味を持ってもらわないと」

引用元:asahi.com(朝日新聞社):「主張しよう」 19歳歌手 クリスタル・マイヤーズ - 音楽 - 映画・音楽・芸能

この19歳の女性が言ったセリフは、何度も形をかえて頭に蘇ってくる。私が根が引きこもりなので沈没している時期も多いが年取ってMake some noiseすることが増えて来た。沈没していてもわめいていても結果に大差はない。

相互協調性には2種類あることがわかった.何かの問題について手に手を携え一緒に問題を解決しようというポジティブ相互協調性と,波風立てずにやっていくというネガティブ相互協調性だ.後者はいわゆる「空気を読む人」で,いつもびくびくしている.
独立性にも2種類ある.「誰も私に構わないで」というネガティブインデペンデンスと「他者と積極的に関わり,自己主張に躊躇しない」ポジティブインデペンデンスだ.しかし本来ヒトは社会なしには生きていけないのでネガティブインデペンデンスは達成が難しい.独立独歩で生きるには他者との関わりは避けてはいられないのだ.
日米比較をすると,ネガティブ協調性が日本に多く,ポジティブ協調性がアメリカに多い.独立性は,ネガティブタイプには差がないが,ポジティブタイプはアメリカに多い.要するに日本では他者との摩擦のコストが高いので,「自己主張をせず,関わりを避けようとする」傾向が強くなるのだろう.

引用元:書評 「きずなと思いやりが日本をダメにする」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

今朝目にしたこの"Positive Independence"が今頭に残っている。どうせ誰も人の話なんて聞いていないんだから、迷惑にならない範囲で

「俺はこう思うんだ」

というのをどんどん主張しようと思う。そう考えるとあれだよね。5分間のライトニングトークというのは誠に適切で、全くバカなことを言ってしまっても相手に与えるダメージは5分だけ。それくらいなら腹を切って詫びなくても許されるだろう。お腹切ると痛いし。

このブログに書いていることもその類か。嫌な人は読まなければよいし、などと書くと有名な人は叩かれるが、これくらいのブログならそもそも叩こうという人もいない。

というわけで3月にもう一度ライトニングトークに応募するつもりである。これからしばらく「ぎゃーぎゃーわめく」フェーズにしよう。


ありがとうChris Lattner

2017-01-13 06:47

先日このニュースをみて吹っ飛びそうになった。

Teslaは自動運転の取り組みを率いる新しい副社長を獲得した。Chris Lattnerだ。そのAppleからの離職は本日(米国時間10日)の早い時間に発表されたばかりだ。LattnerはAppleで11年働いた。その主な貢献はAppleの最新のプログラミング言語であるSwiftの開発である。

引用元:TeslaがAppleのSwift開発責任者を、自動運転担当副社長として引き抜いた | TechCrunch Japan

米国企業だから、人の入れ替わりはいつものこと。この移動に関しては「そもそもラトナーは言語よりの人なのに、自動運転全体のマネージメントに向いているのか」という疑問もある。

しかしそんなことは彼自身が一番よくわかっているのだと思う。一つだけ確かなことは、私が今年のWWDCのチケットに当たったとしても、ラトナーのあのプレゼンを見ることはできない、ということ。

ラトナーは本当にうれしくてたまらない、といった様子でSwiftについて語る男だった。その彼のアナウンスに、聴衆が同じくらいの笑顔で心からの拍手を返す。ソフトウェア開発に携わるものにとって(自分でコードを書く、という意味だよ)あれほど幸せな空間はそうあるものではない。

WWDCでのプレゼンをみていつも感じることだが、しゃべる人間が皆「こんないいものを作ったんだ。ぜひ使ってくれ」という気持ちでいるのが伝わってくる。私の考えではそれをじかに感じられるのがWWDCに参加する一番の意義。

Swiftチームには彼と同じくらい情熱的に自分たちの成果を語る人がごろごろしていることは知っている。ラトナーの後任も結構キテいる。今はラトナーが新しい仕事で成功することを祈ろう。最後に彼の嫁さんのTweetを引用しておく。

Why is the wife always the last to know? I thought he was going into woodworking...

引用元:Tanya Lattnerさんのツイート: "Why is the wife always the last to know? I thought he was going into woodworking... 😜https://t.co/bI6vfGIAhu"

訳:なんで奥さんがいつも一番最後に知ることになるわけ?彼は木工の世界に行くんだと思ってたわ。

ラトナーの嫁さんは"LLVM Foundation President and compiler engineer"であり、ラトナーは見事な木製家具の作り手でもある。


エンジニアの10年戦争

2017-01-12 06:44

iPhoneが発表されてから10年がたった。いろんなサイトにその関連記事が載っているが、特に印象に残ったのがこれ。初代iPhoneから最新機種に至るまで、分解された部品が並べて掲載されているのだ。

Take a moment to wander down memory lane with every iPhone teardown we’ve ever performed:

引用元:10 Years of iPhone | iFixit

私のような素人が見ても、二つのことに気がつく。

・iPhone4で部品がのった基盤が小さくなり、バッテリーの脇に(多分)おかれるようになった。

・初代iPhoneとiPhone3Gは外観はほとんど変わっていないが、中身は全く別物。特に初代iPhoneは「家電製品」というよりは「とにかく押し込んだプロトタイプ」のように見える。

初代iPhone

引用元:ifixit

以前会社のブログでこう書いた。

手順を固定したり、いざとなればニセの表示を行うことでデモは(ヒヤヒヤながら)乗り切ることができる。しかし製品はそうした言い訳をまったく考慮しない人たちの手に渡るのです。たった6ヶ月でそこまで製品の完成度を上げ、量産しなくてはならない。

「それからの6ヶ月の物語」が語られることがあるのかないのかわかりません。今はただその苦闘を想像していましょう。それとともに苦闘が素晴らしい製品に結実したエンジニアたちの幸運(苦闘と製品の質の間には不幸なことに常に相関関係があるわけではありません)をうらやましく思いながら。

引用元:薄氷の上のSteve Jobs - 株式会社ネクスト エンジニアBlog

この「プロトタイプにしか見えない」iPHoneの中身を見ると、その6ヶ月がそれまでの6ヶ月よりもはるかに厳しい戦いの連続だったことが偲ばれる。

SteveがTimがといったところで製品を我々庶民が手にするとき、製品を通して相対しているのは実際に設計をし、試作し無数の問題に日々取り組むエンジニアとデザイナ。この初代iPhone分解写真からは彼らと彼女たちの苦闘が読み取れる気がする。そして今もその苦闘は我々が目にできないところで続いているにちがいない。


歳を重ねてレベルがあがること

2017-01-11 07:09

大学関係の「方法論」を二つ目にした。

そのうえで、私の研究室運営ポリシーは「突出した個・才能を見出し、飛躍的に伸ばす」ではなく、「ひとりの落ちこぼれも出さずにある程度高いレベルまで上げる」としています。

引用元:研究室運営について(2015-2017) | 中村聡史研究室

原監督が、自らプレゼンして、監督に就任した際のうたい文句は「5年で出場、7年でシード、10年で優勝争い」だった。

引用元:青学・原監督に学ぶ「10年で超一流になる法」 | 決断筋を鍛える | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

中村さんの研究室運営方法を見ていると、自分で研究室を持つまでに中村さんがいろいろ見聞きしたことを元に「これはまずい。どうすればよいか」と常に考えていたことが伝わってくる。世の中にはいろいろな先生がいると想像するが、これだけ「学生のためになるにはどうしたらいいか」を考える人がいるというのは良いことなのだと思う。思えば私の担当教官はいい人だったが、研究室運営に関しては何もしなかったな。

さて箱根駅伝でおなじみの青学の原監督。こちらも興味深い話題に満ちているが、中村さんと共通するのは

「自分があれこれ旗振るのではなく、学生に考えさせる」

という点。そうした点から両者について考えるのも興味深いのだが、私が面白いと思ったのは

「学生で構成される組織で、年を経てよくなるとはどういうことか」

という点。学生さんはどんどん入れ替わる。ではどうして歳を経ると改善が累積されていくのだろう。

思うに、教官なり監督が学生に触れる時間よりも、学生同士が触れ合っている時間のほうが圧倒的に長い。それゆえよい文化ができるとそれが学生同士で伝わっていく。後輩はその文化を改善する、とかそういうことなのではなかろうか、と想像するのだが。

書いていて思った。IT系というかテック系の企業というのは人の入れ替わりが激しい。その中でも企業としてのカルチャーは保持するだけでなくよくしていく必要がある。であれば、IT系企業は伝統的な終身雇用を前提とした大企業より、大学のやり方に学ぶ必要があるのではなかろうか。


大乗仏教とDeNA

2017-01-10 07:02

最近仏教はキリスト教に関する本を読んでいる。そもそもなんで仏教にあれこれの「神様」がいるのか。仏陀は悟りを得たはずなのに、なぜ坊主をいじめると7代祟るのか。(「さびしんぼう」にそういうセリフがあったように思う)

これはつまるところ「多くの人は感情でしか物事を判断しない」ところから来ているように思う。冥想して悟りを開くなど誰にでもできることではない。であればとにかく念仏唱えろ。ナンミョーホーレンゲーキョーといえ。そうすれば救われる。それに反対する奴は敵。結局世の中に広く広めようと思えばそうなってしまう、というのが普遍なパターンではないのか。

でもってこの記事

 多くの“コンテンツ”が(コミュニティーではなく)広告主である企業の目的達成のためのものになってしまうため、「インターネット上の広告ベースのメディアが破綻することは明らか」だという。

 「われわれは、自分の考えを投稿する人々は、単に数秒間注目を集められるからではなく、人々を啓発し、情報を伝える能力で報われるべき」なので、それが可能になるビジネスモデルを模索していくという。

引用元:好調なはずのMedium、従業員の3分の1を突如リストラへ - ITmedia ニュース

これはMediumというサイトが、DeNAとは真逆のビジョンで作られているものを示す言葉。DeNAにとっては自分たちがサイトに何をのせているかには何の意味もなく、それがGoogleの検索で何位にくるか、ページビューの数だけが問題だった。

そしてそれを目指そうと思えば、医学的に正しい「よくわかりません」という記事より「肩こりの原因は、幽霊かも?」と書いたほうがいいわけだ。つまり数秒注目されることのほうが彼らには重要だったと。

いや、大乗仏教がDeNAと同じ、と言われるとおそらく大乗仏教の人は怒ると思うが、ナムアミダブツと称えれば本当に阿弥陀仏が来てムキムキにしてくれるのか?坊主とてそんなことは信じていない。しかしそうすれば民は救われると信じているからやっているのではなかろうか。そして多くの民が信じ、集金がうまくいけばその教えは繁栄する。DeNAが繁栄したように。

これは歴史の上で何度も繰り返されて来たパターンのように思える。であればそろそろなんとかする方法が考えられてもよいころだ。



弱者連合

2017-01-06 07:02

というわけで年の最初に心温まるニュース。

トヨタ自動車と米自動車大手フォード・モーターは4日、スマートフォンと車をつなぐ技術の業界標準化に向けコンソーシアム(共同事業体)を設立すると発表した。両社のほか、富士重工業やマツダ、スズキなども参画する。車をインターネットに結び多様なサービスを提供する「コネクテッドカー(つながる車)」分野では米グーグルや米アップルなどIT大手が先行しており、トヨタは自動車連合を形成して対抗する。

引用元:トヨタと米フォード、「つながる車」の標準化グループ結成 マツダ、富士重工など国内外大手も参加へ - SankeiBiz(サンケイビズ)

今日の表題では「弱者連合」と書いたが、それはテック企業の立場から見たものである。自動車業界からみれば世界で最強の連合の誕生だ(棒読み)

過去連合とか同盟とかまともに機能したのを見たことがない。だからまあこれもゆっくりゆっくり動き続けるのだろう。

トヨタは同技術を使った車載システムを18年頃に商品化する予定で、富士重やマツダ、スズキも順次、車両に搭載していく計画だ。

引用元:トヨタと米フォード、「つながる車」の標準化グループ結成 マツダ、富士重工など国内外大手も参加へ - SankeiBiz(サンケイビズ)

私がもと勤めていた会社はこうした動きからまた莫大な仕事を手に入れるだろうが、それが社会的にどういう意味があるかはまた別の話である。

iOS用のCarPlayとAndroid用のAndroid Autoがライバル規格と考えてよい。
大きな違いとして、CarPlayはiOS、Android AutoはAndroidのみをサポートしているが、Smart Device Linkは、両方のSDKを提供している、またSDKははないがそれ以外のiOS、Android OS以外のスマートフォンからも利用できそう。

引用元:Smart Device Link(スマートデバイスリンク)の情報 - Qiita

大企業で決済を取る時にはこの「両方のプラットフォームに対応しています」というのは殺し文句になる。問題はもしそれが本当ならば、Microsoftの開発環境はとっくのむかしにXcodeを殺していなければならない。そりゃC#であれこれ開発できるかもしれないけど、大勢に影響はない。

つまるところ「最強の自動車連合」が何を言おうが、アプリが対応しなければなんともならない。サードパーティーは数年様子見だろうから、ファーストパーティーが供給するアプリの質が勝負になる。幸いなことに(Android Autoは知らないけど)CarPlayは今の所あまり評判がよくない。いまならチャンスがあるよ!(棒読み)

どちらにしても貧乏なので数年車を乗り換えることなどできない。だから私は高みの見物だ。Apple原理主義者としてはCarPlay以外の選択肢はないのだけど、世間はどう反応するんだろうね。


総会屋とジャーナリストの間に

2017-01-05 06:48

山本一郎という人がいる。少し前は面白い記事を書くなと思っていた。

AppBankの告発記事、お見事でございました。むらいキッズの千本ノックも楽しく拝見させていただきました。

お好きなゲーム業界におけるコンプガチャ問題の指摘や、ステマ問題の指摘などは、社会的にとても意義がある記事だったと思います。

引用元:【おわりに】拝啓、山本一郎様。 - "総会屋2.0"山本一郎(やまもといちろう)氏の検証

しかしその後「?」と思うことが増えてきた。記事によってはまるで

「SONYを持ち上げる下手な家電関連記事」

のような論調だったのだ。

今から考えれば、彼は総会屋のような立場で

「お前に都合の悪い情報を流す。便宜を図ってくれれば手心を加える」

という立場の人だったのか、と合点が行く。そして彼は攻撃は得意だが、防御があまりにも下手なのだろう。攻撃される側からすれば、持ち上げてもらえなくても、とりあえず因縁をつけられないだけマシということだろうが。

その後どういう理由か知らないが、小池都知事を一生懸命攻撃はしたものの後から後からでてくる「東京都の闇」の前にふっとばされ、総会屋2.0という言葉も発明されてしまった。その存在が白日のもとに晒された総会屋はどこにいくのだろう。

ステルスなポジションをもっていてもいいから総会屋が増えたほうがよくなる、という意見もある。私などは無責任に

「本当のことを知らしめる」

ジャーナリストがきちんとご飯を食べられますようにと願わずにはいられない。誰もが「おかしい」と思っていることもちゃんと顕在化させれば正すことができると思うのだ。

私にビル・ゲイツ並みの資産があればそうした報道機関を作りたいところ。というわけで誰かお金ください。さしあたっては今日のお昼ご飯代に困っているので。