KPIの嘘

2017-02-02 07:20

KPIという言葉がある。これを信奉すると、いくつかの組織ではとても出世することができる。私はこれは物事を単純化する方法である、と考えており、それゆえのメリットとディメリットがある。

Key Performance Indicatorとはつまるところ「Webサイトの成功度合いを何人見てくれたかで測定しよう」というものだ。一旦それが設定されると「PDCAサイクルを高速で回す」という優秀な社員が現れ、一生懸命に努力する。そしてDeNAができあがる。

ここに何の問題があるか?

まずメリットから行こう。KPIは多くの場合測定できる指標である。だから成果を「数字で見る」ことができる。そして性能を現す数字が出現すると、それを向上させることに皆が集中できる。これは単純化がもたらすメリット。

問題は

現実は一つや二つの数字で表されるほど単純ではない、という厳然たる事実を完全に忘れていること。あちらを立てればこちらが立たず、というのが世の中で逃れることができない宿命。なのにKPIを信奉する人はその単純にして厳粛な事実を無視するところから話を始める。

「PV至上主義」というのは、ブログやウェブメディアへのアクセスを優先しすぎた結果、読者よりも Google の検索ロボット向けに最適化したコンテンツ作りをしたり、人を怒らせたり騒ぎを起こして注目を集めることでアクセスを集めたりすることを指す言葉だと思ってください。

そしていうまでもなく、この誘惑は、知的生産にとっては諸刃の剣なのです。

引用元:PV至上主義から脱するには「読まれない記事」を大切にすること | Lifehacking.jp

Page ViewをKPIとして設定したのならば、まず検索エンジンからの流入を重視しよう。そのためにはSEOでもって、、とやったのがDeNA。優秀な人材と資金を惜しみなくつぎ込み彼らは見事にやってのけた。記事の内容にはなんの意味もない。とにかく検索エンジンでの表示順序が上位にくればよい。彼らと彼女たちは「KPIの達成」と「正しいこと。やるべきこと」を混同した。

そして現実の複雑さを忘れた人間は必ずそのしっぺ返しを食らう、という知恵はDeNAのエリートたちの間にはいなかったようだ。