10年前に起こった驚愕の変化

2017-02-08 06:40

ほぼ10年前に起こった驚愕の変化-最初は誰もそれに気がつかなかったが-は二つある。

一つはiPhone。これはわかりやすい。というか今では当たり前になってしまい若い人には理解できないと思う。30以上の人間であればiPhone以前と以後で家電製品というものが全く変わってしまったことに気がつくだろう。

そしてもう一つはAWSである。こちらはテック業界に関係している人でなければ「なんのこと?」といった話だろうし、関係している人でもその変化の大きさには気がついていないかもしれない。

Amazonは10年以上も前に業界で初めて、パブリッククラウドをInfrastructure as a Service(サービスとしてのインフラストラクチャ)、すなわちIaaSとして市場化したが、その後数年間にわたり、この新しい業態に挑戦する競合他社は一社も出現しなかった。

今日では、Synergy Researchの数字によれば、マーケットリーダーであるAWSのマーケットシェアはとてつもなく大きい。変化の激しい市場だから一概に言えないとはいえ、Synergy ResearchのチーフアナリストJohn Dinsdaleの説では、AWSに追いつくことはMicrosoftにとってすら、非常に難しい。

引用元:パブリッククラウドプラットホームにおけるAWSの王座は今後も揺るがず | TechCrunch Japan

最初にAWSの話を聞いたときは

「なんだか変なことを始めたなあ。サーバーとかのインフラをAmazonに預ける人なんているんだろうか?そしてなぜAmazon?こういうことやるのだったらGoogleじゃないの?」

と思った。そして今やAWSのシェアは圧倒的で、2位以下を合算しても、Amazonの半分にも及ばない。10年前こんなことが起きるとだれが予想しただろうか。

AWSこそ「顧客の要望を聞いていては絶対に生まれない製品」の典型例だと思う。誰がこの案を出したか知らないが、このサービスだけでもジェフ・ベゾスは歴史に名前を残すに十分だ(ECサイトのAmazonというささやかな功績を除いたとしても)

そもそもECサイトを運営しているところは「とにかく自サイトを維持するのにてんてこまい」のところが多いだろう。例えば楽天とか会社の風土的にはAmazonの真似事をやってもおかしくないはずなのだが、彼らはRWSを発表しない。多分できないのだと思う。

これは楽天がダメなのではなく、Amazonが異常なのだ。彼らは自分の巨大なWebサイトを運営しながら、いつのまにか外部にその計算機資源をサービスとして提供できるインフラを作り上げた。これは驚嘆に値することだ。

どう理屈をつけようが、これは経営者の手腕としか形容しようがない。こんな狂ったような判断は経営者にしかできない。iPhoneも同様だが。