アンケート万歳

2017-05-19 07:05

なんとなく社内の雰囲気が悪い。これはどういうことだろう。いつからこうなってしまったのか。こういう時にはこのサービスを使おう。

人材サービスを提供するアトラエの新サービス「wevox」は定期的なサーベイを実施することで、社員の仕事や会社とのエンゲージメントを数値化しようとしている。

wevoxを使うにはまず社員のデータをエクセルなどでアップロードする。登録した社員には定期的に同僚との関係、上司との関係、承認・関心、健康、自己成長、理念/戦略/事業、職務といった項目に関するサーベイが届く。これらの項目には社員のエンゲージメントにおける学術的な裏付けがあるという。サーベイを実施する頻度は週1回、月2回などが選べる。

引用元:社内の雰囲気が悪い理由は――アトラエの新サービス「wevox」は社員のエンゲージメントを可視化する | TechCrunch Japan

週に一回アンケートが送付され「あなたは幸せに働いていますか?」と聞かれる。解答しないとそのうち総務か経営者から

「アンケートに回答するように。回答率が悪いグループは個別に呼び出します」と連絡がくる。

ほとんどの組織ではそのうちアンケートの結果が改善されるはずだ。人は状況に驚くほど素早く適応する。ほとんどの人は

「とりあえず”私たちは会社のおかげで毎日幸せに働いています”と回答するのが一番面倒がおきない」

ことを理解するだろうから。あるいは「会社が答えて欲しいと思っている模範解答」が社内に掲示されたとしても驚かない。

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会社が社員にアンケートを取る。この目的はなんだろう?教科書的には

「社員の「あるがまま」の状況を把握し、問題がある場合には改善手段を取る」

となる。しかし長い間会社で働いているが、こんな目的でアンケートをとる組織にいたことがない。アンケートの目的は

「会社がすばらしいことをしていることを確認する」

である。従って、アンケート結果が思わしくない部署は敵である。こんな素晴らしい会社でなぜ君達は不満を述べているのか。きっとその部署のマネージャーが悪いのか、あるいは部署そのものが悪いのなら解散させるぞ。

つまり

社員アンケートには、多かれ少なかれ北朝鮮の投票のような側面がある。であれば「会社マンセー」と叫ぶのが一番正しく、かつ合理的な行動であることがわかってもらえるだろう。

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冒頭の引用に戻る。こんなサービスを使う会社がどちらの目的でアンケートをとっているか。現場にでて、実際に従業員と本音の会話ができない経営者がいることだけは間違いない。こういうサービスを事業として展開したいのはわかるが、それを導入された会社の従業員のことを思うとため息しか出ない。