広告を出したがる者

2017-06-21 07:43

楽天は、私が今働いている会社の大株主でもあるので何かと難しいところではあるのだが、1消費者として驚くことがあったので書いておく。

先日久しぶりに楽天のトップページにアクセスした。そして驚いた。スーパーセールをやっていることもあるだろうが、画面一面に広告が所狭しと並んでいる。これに匹敵するのは、中国の不動産サイトくらいなものである。

下の方までスクロールすると、ようやく商品が見えて来る。ためしにクリックしてみると飛び先がまたすごい。上からずーっとお店の宣伝が続いており、はるか下方までスクロールしないと商品情報を見ることができない。いや、これは中国のサイトを超えている。

なぜこんなことになったのか。

ユーザとして見た時には「使いにくい」としか言いようがない。だって、商品情報見られないんだもん。楽天にしかない商品というのがあり、それを買うためにやむ追えない場合にしか楽天には触りたくない、と私は考えてしまう。

しかし

おそらく中の人はそんなことなど承知の上でやっているのではなかろうか。この商品情報をはるか彼方に追いやり画面いっぱいに広がる広告は何のためにあるのか?私の推測ではそれは「出店者から広告料金を取る」ためである。

これは

そもそもその会社はどこからお金をもらっているかによる。例えばAmazonは自分たちで商品を仕入れ、消費者に売っている。つまりお金は消費者から来る。であるからして消費者が見たい商品情報を、消費者がみたくもない広告より優先することなどありえない。

逆に楽天は出店者に場所を貸すことでお金をもらっている。つまり神様たるお客様は出店者なのだ。それゆえいかに多くの出店者をあつめ、そこからどれだけ金を搾り取れるかが勝負になる。だから出店者あたりの売り上げを最大化すべく、広告をどんどん販売する、とかそんな図式ではなかろうか。いや、本当のところは知らんよ。

でもって

当然楽天は一般消費者のことも忘れていない。楽天ポイントを大盤振る舞いしているらしい。この「消費者をひきつけるためには金をばら撒けばよい」というのは楽天の一貫した哲学である。それはそれでいいのだが、今の楽天は常軌を逸しているようにしか見えない。

注文をアプリ経由にする、プレミアムカードを利用する、電話サービスの楽天モバイルに加入するなど、あらかじめ決められた条件を満たすと、通常ポイントの比較で最大7倍のポイントをゲットできるというものだ。

ポイントは最終的には商品と交換できるので、このキャンペーンは事実上の値下げということになる。このため楽天では、キャンペーン実施のために、かなりの予算を確保する必要に迫られ、これが営業利益を押し下げた。

引用元:楽天が具体策を打ち出せず Amazonとの決定的な違いは - ライブドアニュース

いや、大株主の景気が悪くなると我が社も危機に瀕するので「楽天がんばれ!」ということなのだが、それにしても1.5ページ分くらいスクロールしないと肝心の商品情報にたどり着かない、という状況が「これはおかしい!」と誰も言えないんだろうな。こうした「賢者の集団の愚行」は歴史上にも時々現れるが、私はいまそのもう一つの例を目にしているのだと確信している。サラリーマンとして楽天の躍進を心から願うが、消費者としてこのサイトには触るのもいやである。