並んでください

2017-10-25 07:20

少し前まで、iPhoneの新機種が出る時の行列というのは「恒例行事」だった。個人的な話だが行列に並ぶのは嫌いではない。WWDCとか数時間並ぶのだが、あの時間と空間はとても好きだ。だから必要以上に早く並び始める。

しかしどこかの時点でAppleは「行列はもう終わり」と宣言した。予約のみにしたのだ。iPhone市場の成熟を考えるとそれは妥当な判断だったように思う。PS3でもあったが、転売を目的に人海戦術を取る人とかでてきたからね。そういう行為は企業ブランドの観点からしても好ましくない。

驚いたのは、iPhone Xの販売に関しAppleがその「禁じ手」を復活させたことだ。

Appleはプレスリリースを発表し、この超プレミアム・スマートフォンがAppleストアの店頭にも並ぶことを約束した。出荷日当日の朝、予約なしの飛び込みでもXを買えるということだ。しかしAppleでは「早い時間に来店することをお勧めする」としている。つまり行列しろということだろう。

引用元:iPhone Xは11/3からAppleストア店頭にも並ぶ――ただし品薄で行列は必至 | TechCrunch Japan

Appleは人海戦術に対してなにか対策を打ってくるのだろうか?それともただ成り行きに任せるのだろうか?

Apple排除原理主義者の立場からは
「Appleはもはや革新的な企業ではなくなってきている。それを自覚しているからこそ、この姑息なマーケティング手段にたよるのだ」
という「観測記事」を書くこともできるだろう。

私は狂信的なApple原理主義者だから同じ現実に異なる解釈を付け加える。初代iPhoneが発売されるときその行列はまるでイエスの誕生を待つ人々のようだった、と何かで読んだ。これはその様子を伝える2007年の記事。「iフォン」という呼び方が時代を感じさせる。

6月29日午後、米ニューヨーク5番街のアップルストア前。携帯電話とデジタル音楽プレーヤー「iPod」が一体となった米アップルの「iPhone(iフォン)」を求める消費者と、その熱狂ぶりを伝えるメディアで溢れ返る。

 午後6時、発売開始。ハイタッチやハグをして黒いTシャツを着た店員と喜びを分かち合う客。スーパースターのような気分なのだろうか、店から出てくる購入者は皆、大きくガッツポーズをしていた。

引用元:携帯業界壊す黒船「iフォン」:日経ビジネスオンライン


Appleが狙っているのはその再来だ。つまりAppleにとってiPhone Xはそれと同じくらいの大きな飛躍だと考えているのだと思う。その誕生を行列に何日も並びハイタッチと歓声とともに入場する人たちと祝いたいと思っているのだ。