強い企業

2018-02-26 07:25

昨今の日本企業は、、と自分を完全に棚に上げ嘆くことが多い今日この頃であるが、もちろんこれは間違っている。「日本企業」などという会社は存在しないのだ。

というわけで先日のABEJAカンファレンスで聞いた面白い話、KOMATSUの発表について書く。

小松製作所だかKOMATSUだかしらないが昔は建設機械の会社だった。そのあと「建設機械にセンサーを仕込み、遠隔でデータを把握できるようにしている」と聞き驚いた。中国で実際にどの程度建設作業が行われているかしっているのはKOMATSUだけだ、と言われていた時期もある。

その頃から「IOT」などというバズワードとは関係なくKOMATSUは「自分たちが目指す姿の中に必要な技術を取り入れる」という形でIOTで成果を出していた。あまり着目されないことだが、これは素晴らしいことだ。


免責事項:ここに書いてあることは、私が雇用契約を結んでいる会社の意見、動向、実態とはなんの関係も、これっぽっちもありません。


多くの会社はこの反対で、経営者が「うちもAIとかIOTとかをやれ」とわけのわからない命令を下す。経営者本人にも全くビジョンがないから、担当者は戸惑う。とにかく何かしなくては。しかし何もわからない。どうしよう、そしてABEJAのような会社のカモになるわけだ。ダイキンはまさにそのパターンにはまっているように思える。

しかし今回の公演はそんなものではなかった。KOMATSUは建設機械の機能・性能をあげれば工事現場の効率化に繋がると思っていた。しかし実態を調査するとそんな簡単なものではない。ある場所で土砂を採掘、それをトラックで運び別の場所で捨てる。こういうよくありがちな作業一つとっても、実はトラックの運搬にボトルネックがある。だからKOMATSUがスーパーショベルカーを作っても全体としては何も改善されない。

というわけで、KOMATSUは、「建設現場のコンサル」を目指しているのだそうな。ドローンで地形の精密な測量を行う。トラックの位置を全て把握する。それを一箇所にまとめてCommand Control Centerを作る。まるで防衛部門で数十年前にはやったC3Iである。(Command Control Communication and Intelligence)それが実際に機能するのだ。

おまけにKOMATSUは様々な現場で得た知見を社内で共有する。一人の現場監督が一生かかっても蓄積できない様々なデータを集約できる。

この日は「AI」の講演だが、それについては怪しげな図を一枚出しただけだった。逆にいえば、彼らは真面目に成果をだせるものにAIを活用しようと計画し、取り組んでいるからこそ「怪しげな図一枚」しかださなかったのだと思う。いや、お見それしました。

彼らはバズワードに踊らされることなく、「そもそも我々はどんなサービス、製品を作りたいのか」「それに新技術はどう適用できるのか」という実に真っ当な考え方をし、着実に技術を事業に取り入れている。こう書くと当たり前に聞こえるが、これができている会社には滅多に出会えない。

建設機械に全く興味はないが、もし俺が大学をでて就職するとしたらKOMATSUを選ぶかも知れん。これは面白そうだ。というわけで、今後機会があればKOMATSUの公演を聞くことにしよう。惑星トヨタの崩壊と同じくらい楽しみにしたい。