夢の終わり

2018-09-19 07:27

iPhoneが発表されてから11年たつ。思えば、あの瞬間こうなることは予想できたのではないか。

Googleが、車の売上ベースでは世界最大の自動車メーカー連合であるRenault-Nissan-Mitsubishiとパートナーして、Androidベースのインフォテインメントシステムを数百万台の自動車に搭載していく。彼らはWall Street Journalにそう語った。その次世代型インフォテインメントシステムとダッシュボードディスプレイはAndroidを使用し、2021年にローンチする。

(中略)

連合の役員たちはWSJに、多くの顧客がすでにGoogle Mapsなどのアプリを使い慣れているので、運転時には連合が自分たちで独自開発したソフトウェアよりも、Googleのアプリが好まれる、と語っている。

引用元:ルノー・日産・三菱連合がGoogleとパートナーして車載システムをAndroidベースに | TechCrunch Japan

2007年1月まで、カーナビを作っている会社は

「組み込みはPCとは別の世界だから」

という幻想の中で安住していた。そしてiTronというOSとも呼びたくないような何かの上で作られた掘っ建て小屋の増改築を毎年繰り返していたのだ。

iPhoneが示したもの。それはポケットに入る情報端末の上でフルのOSが動かせるということ。それによってiTron上の掘っ建て小屋とは次元が異なるアプリが、次元がことなる生産性で開発可能だということ。

ルノー・日産は11年たってようやくその明白な事実を認めた。彼らが長年培ってきた

「組み込みソフトウェア技術」

はGoogle/Appleがその何分の一かで開発したソフトウェアに完敗したのだ。

さて

これは地球上の話であり、惑星トヨタはまだその敗北を認めようとはしない。こうした動きがかの惑星に到達するまでにあと10年はかかるかもしれない。

ほとんどの消費者はそれでハッピー。自動車会社はいつのまにか

「スマホのバッテリー(移動・発電機能つき)メーカー」

のになっていることに気がつくだろうが、それにはあと20年かかるかもしれない。

その間、私はかつてケータイと呼ばれた電話の開発に無駄な心血を注いだエンジニア達とともに、カーナビの上の掘っ建て小屋と無駄に格闘し健康を損ない、人生を棒にふったエンジニア達のことを思い出していよう。あれはいったいなんだったのだろう。