委員会を雇おう

2018-12-28 07:28

何か不祥事がおこる。すると「第3者委員会」とかとにかく調査のための委員会が組織されるのが最近の流行りである。

問題はその「委員会」を雇っているのは誰か?という問題。不思議なことだが、私が知っているケースでは不祥事を起こした企業自体が雇っている。これは少し考えればわかるが無茶苦茶だ。

それでもなんとなく世間を納得させる結論を出す、というのが雇われる側としての委員会の腕前なのかもしれない。

TATERUという企業が証拠改ざんをやりまくっていたことが判明した。そのために二箇所の弁護士事務所から人を雇い報告書を作成した。その書きっぷりがすばらしい。

前述のとおり,貴社の経営陣においては,様々なデータに基づいて設定した年間 販売棟数は決して達成困難なものではなく,かつ,その販売目標はノルマであると は考えていなかったが,営業職員,特に営業部長らは,これを必達のノルマと捉え, 通常の営業方法ではその達成は極めて困難であると考えていた。
かかる意識の乖離が是正されないまま,経営陣は,エビデンス改ざん等の不正行為による実績を元に 販売目標を年々増加させていき,営業職員は,これを達成するためエビデンス改ざ ん等の不正行為を止めることができないという関係にあると考えられる。
引用元:報告書

この「強制の意図はなかった。下の者が勝手に勘違いしたのではないか」という責任のすり替えは長いサラリーマン生活でいやというほど見てきた。一番最初は、三菱重工でいきなり所長が「来月から残業0」と宣言し現場が大混乱に陥った後の労使交渉で「なるべく定時内に仕事をおわらせようという意図で、それが現場に伝わる過程で強制的なニュアンスを含むものになったのではないか」という会社側の説明だが。

この説明は「全て営業部長が悪い。経営陣は何も悪くない」というもので、まあ会社に雇われた弁護士はこう書くしかないんだろうなと思わせるものである。

でもって今後何を言われようが「特別委員会から報告書をいただき、その内容に従い社員一丸となって改革に勤めております」でお茶を濁すのだろう。いや、経営者とはすごいなあ。