世界で最初に

2019-04-18 07:15

いつも思うのだが、ビジネス上で「思考停止をさそう決まり文句」というのがいくつもある。21世紀的なものが「KPI改善のためにPDCAをまわす」である。何かの指標を定義してそれを定期的にウォッチするのはいいけど、その指標って本当に正しいの?そもそも正しいことをしているの?とは問えない。一旦定義された以上「鬼速でPDCAサイクルを回す」ことが正義とされるからだ。

20世紀的な言葉で言うと「世界初」というのがある。某社の社内向け展示会では「世界初」「業界初」というのがほこらしげにポスターに記載されていた。うん。これは確かに誰もやってないけど、くだらないからだよねと思うようなものもあった。細かすぎる「世界初」がほとんどだったように思う。

おそらく世界で一番売れているスマートウォッチはApple Watchだと思うが、この分野でAppleはかなり後発だったことを忘れている人は多い。もっと言えば「スマートフォン」だってiPhoneのまえにいくつも存在していた。つまり大切なのは「世界初」ではなく「世界で初めてまともに使えるものを出す」ことなのだ。

というわけで、サムソンとどっかの会社が競って「世界初」の座を争っていた「折りたたみ式スマートフォン」である。先日ジャーナリストに試供品が提供されたらしい。その結果はどうか。

使いやすい、使いにくい以前に一日でディスプレイが壊れたらしい。これは上に引用した人のところに来たものだけではなく、試供品を提供された人ほとんどのものが壊れたらしい。

かけてもいいが、サムソンの「最前線」にいる人たちはこうなることがわかっていたはず。しかしかの会社にも「大本営発表」があるのだろう。「こんなもの出荷したら大変なことになります」という声は「世界初の座を獲得するんだ!」という勇ましい声にかき消される。今頃社内でどんな騒ぎが起こっているか想像するのも恐ろしい。「だから言ったじゃないか」「いや、聞いてない」とかなってるんだろうか。ダメサラリーマンとしては想像するだけで冷や汗がでるような気がする。