コンピューター将棋の世界

2019-05-14 07:57

2年前のコンピューター将棋選手権は、ビッグマウスで無敵チームを率いたチャンピョンが、一人の開発者に負けるというドラマチックな結果だった。

今年はどうだったか。

今回の選手権で目立ったのは上位ソフトが「入玉」(玉を相手陣に進めて安全にすること)を積極的に狙うようになったことだ。
 (中略)

 優勢な局面で相手玉を攻め、寄せて勝つのは反撃されるリスクをともなうが、自分の玉を安全地帯に逃げ込む入玉で点数勝ちを目指すのは逆転負けの可能性が少ない。最新のソフトは早い勝ちより手数はかかっても高勝率の指し手を選ぶようになってきたので、今回の選手権ではどちらも入玉を目指す「相入玉」の展開が増えた。

 また同一局面4回で成立する「千日手」も多くみられた。

引用元:将棋ソフトの頂点に「やねうら王」――入玉と千日手がカギとなった第29回世界コンピュータ将棋選手権(古作登) - 個人 - Yahoo!ニュース

一言でいえば、「入玉」と「千日手」ばかりになった。人間同士の対局とは全く違う「独自の世界」に入った感がある。

この大会に参加しているのはアマチュアばかり。つまり彼らと彼女たちは観客に対してなんの義務も負っていない。だからルールの中で好きなように戦えばよい。

それを認識した上で、無責任な観客の私は

「つまんねえ」

と思うのだ。こうしたボードゲームは先手必勝、後手必勝、引き分けのどれかになることが証明されている。強化学習で五目並べをするプログラムをみたことがある。五目並べは先手必勝と決まっている。そして「ものすごく強くなったプログラム」は後手になった途端、でたらめに石を置くようになった。時間の無駄なので。

今年のコンピュータ将棋はその世界に近づいているように思える。将棋が前にあげた三つのどれになるかはまだわからないが。

私がものすごく強い将棋プログラムに期待するのは、AlphaZeroが示してくれたような「人間だったら絶対にささないが有力だと思われる手」とかであって、ルールにのっとった入玉合戦とか千日手合戦ではない。今回決勝にのこったプログラムは全て同じライブラリを使用していたと聞く。これがそれゆえの一時的な現象であり、何年後にはまた面白い将棋が見られることを祈るのみである。

というかあれだよね。私のプログラマの一種なのだから、文句を言っているくらいから自分で作れってことだよね。