大きな会社で出世して

2019-07-02 07:49

私の含めた人間が、環境によってどこまでバカになれるか、というのは興味深い問いである。「自分だけはそんなふうにならないぞ」と思いながら、「あるある」のパターンにハマるのは私だけではない、と思いたい。

今朝読んだのは大手企業の元常務の再就職物語である。

あと‥‥せこい話なんですけど、前の会社のときはタクシーも自由に使えたし、周りも私のことをそれなりに扱ってくれた。ところが、再就職先では行きも帰りも電車だし、私はシニア社員の1人でしかない。

 飲み屋ひとつとっても、扱いが変わります。

 そんなのは分かっていたことだし、大したことじゃないって思っていたけど、実際に経験すると結構、プライドが傷つくわけです。

引用元:“塩漬け”おじさんが定年後再就職で失敗する理由 (2ページ目):日経ビジネス電子版

この記事を読んでいるのは9割以上がヒラ社員であり、こういう元常務の言葉を聞いて溜飲を下げているのだろう。私みたいに。

幸いにして私は絶対大手企業の常務になったりしないので、この男性のような目にあうことはない。その立場になれば同じような状況になるかもしれない。そのときこれほど正直に自分の窮状を語れるという自信はない。

前にも何度か書いたが、シニア向けのパソコン教室をやっているとき一番厄介なのが「自分のキャリアに誇りを持っている男性」だった。素直に人の話を聞かないし、隙あらば自分が過去にどれほど偉大な人間だったかをとうとうと語り出す。そういう男性に比べれば、これまでIT機器に触ったこともないおばあさんのほうがよっぽど一緒に話していて楽しかった。

などと書いている私もおそらく自覚がないだけなのだと思う。自分がどんない大事にされているか。だからこの男性の話を頭の隅に置いておこう。いつか思い出せるように。