医療に関するあれこれ

2019-08-31 06:41

先日面白い文章を見つけた。アスリートのAという人が個人的経験から、トンデモと思えるような本をSNSで推薦したのだそうな。それに対して「そんなことはするべきではない」という批判がなされた。それに対するA氏の反論がこうである。

さらに続けてA氏は、「私は論文というものがどういうものか知っているし、研究論文の評価が何年かたつと変わってしまうということも知っている。なによりもエビデンスがあるからといってその効果は人それぞれによって違うことも知っている。それを全部承知の上で、私個人の経験を公表している。エビデンスがないからといって、それについて私が発言してはいけないというのはおかしい」と述べた。

それに対して医療者側は「あなたが個人的に何を発信しても自由だが、影響力のある人がエビデンスのない健康知識を宣伝することには害がある」という主張をくりかえすばかりで、議論そのものは平行線に終わった。

引用元:「エビデンスで殴る」というやり方は、なぜうまくいかないのか(斎藤 清二) | 現代ビジネス | 講談社(2/5)

医療に関しては、実に様々な「治療法」が存在する。それこそ近所の神社の賽銭箱に十円投げ込む方法だって存在する。

ここでA氏が言っている「論文とか見解は時が経つと変わる」というのも事実である。ここにはよくある問題が潜んでいる。あなたの言っている意見は絶対正しいとは言えない。であれば、「トンデモ」と呼ばれるこの意見と同等だ、という考え方である。つまりはどこに

「天と地ほど離れている」

という線を引くかと言う問題なのだが、これが難しい。結局は「個人の自由だ」ということになる。なのだがやはりこういうニュースを見るとゲンナリする。

記事によると、なべは自らの“気”や“パワー”を用いた施術によって、各界著名人の命を救ったことがあるそうだ。なべと池江選手の母親が知人を介して面識を持ち、池江選手はなべに対して、多額の報酬を支払い相談に乗ってもらっているという。

引用元:池江璃花子選手となべおさみ、密会報道!  “高額”民間療法を怪しむ「池江関係者」のリーク!?(2019/08/29 12:00)|サイゾーウーマン

池江とは、最近白血病になった観音顔の水泳選手。そりゃ「藁にでもすがりたい」気持ちになるのもわかるけど、すがるのが「なべおさみ」である。

これをリークしたのは池江選手に近い人だと言う。もしそれが正しければ池江選手の商品価値が下がるのを承知の上でそうした行動にでたのだろう。

彼女の病気が今度どうなるかわからないが、多くのマスメディアはそれを美談に仕立て上げるに違いない。なべおさみに多額の謝礼を払ってすがったことはなしにして。