今ここにあるアウシュビッツ

2020-12-21 07:38

米国大統領選挙の結果が「メディアで報道された」日から何日たったのだろうか。未だトランプは「自分が勝った」とTwitter上で主張し、一時は完全に電波と遠ざけたシドニー・パウエルにすがるようである。

パウエル氏はこれまで、投票システムが不正に操作されていたとの陰謀説を主張し、特別顧問を立てて捜査するべきだと主張してきた。会合では、パウエル氏が特別顧問などとして捜査を主導する案に対し、メドウズ氏らが強く反対した。
フリン氏は、再選挙に向けてトランプ氏が戒厳令を出す案を改めて主張したとみられる。トランプ氏が賛成したかどうかは不明だが、これも出席者らの強い反対で却下された。
関係者の1人によると、会合ではパウエル氏とフリン氏がほかの出席者にトランプ氏を見捨てるのかと迫り、激しい言い争いになったという。

引用元:CNN.co.jp : ホワイトハウスで「選挙不正」めぐる議論が過熱、怒号飛び交う

日本に住む私からみると、彼らは完全に気が狂っているとしか表現のしようがない。しかしこの集団を米国の有権者7000万人が支持したのも事実である。

この事実は認めざるを得ない。つまり何を意味しているかと言うと、完全に気が狂っていても、有権者を扇動することにさえ成功すれば民主的に政権を掌握し、かつ出鱈目な政策を実行できる、ということだ。

「今」からナチス政権が行ったことを振り返り、その非人道性、非道特性を非難することは容易だ。そして

「なぜあの男の見えすいた嘘にドイツ人は騙されたのか。」

と考えることもできる。しかしそれは20世紀前半のドイツだから起こったことではない。21世紀の米国で同じくらい馬鹿げたことが実際に発生しているのだ。

「民主党員及び民主党の支持者はは不正によって米国の自由を奪おうとしている。彼らは参政権を奪われるべきだ」

とトランプが号令をかければおそらく数千万人は同意するのではなかろうか。私にはこの架空のシナリオと現実に行われていることの間の境界線がよくわからない。

私は今回の米国大統選挙が明らかにしたものに恐怖を感じている。教育が行き届いた国でも、このようなことが起こる。民主主義というものはそりゃ欠点もあるけど、大きな間違いはやらないだろう、となんとなく私などは思っている。しかしそれは誤りだ。