国を率いる者

2021-01-12 07:24

1/6に米国で選挙結果が確認された。その際暴動が起こり全く無意味に5名の人命が失われた。

これでトランプ再選の目がなくなったとすれば、あるいはこの事件にも意味はあったのかもしれない。トランプがその後時間を置いてからだしたメッセージは「彼にしては」珍しくまともだった。想像だが彼はただのバカであり、ヒトラーのような「ビジョン」はもっていなかったのではなかろうか。まるで14の子供が自分がやった「些細な悪事」で逮捕され戸惑っているかのようだった。

さて

この事件に関してシュワルツェネッガーがメッセージをだしている。こういう「その時代に生きた人」しか語り得ないメッセージは貴重だ。

これから話す記憶は、今まで公に語ったことはありませんでした。とても辛い記憶だからです。

父は週に1、2回、泥酔して帰宅すると、叫び、家族を殴り、母を脅しました。ですが私は、父を完全に責めることはできませんでした。隣の家も、そのまた隣の家でも、同じように暴力が行われていたからです。私自身の耳で聞き、この目で見たのです。

彼らは戦地で体にけがを負い、自らが目にしたこと、行ったことで精神的な傷を負いました。

引用元:シュワルツェネッガーさん「全ては嘘から始まった」。議会襲撃とナチス重ねたスピーチが胸を打つ【全文】 | ハフポスト

おそらく「戦勝国」側にも同じようなことはあったに違いない。しかしそれは「正義」の名の下に蓋をされているのだろ思う。

この文章を読んでいてふと考えた。

全ては嘘から始まりました。嘘に嘘が重ねられ、そして不寛容から始まったのです。私はヨーロッパで、社会がどのように制御不能となっていくかを直接目にしました。

ナチスと同じことがまた起こるのではないかと、アメリカと世界が恐れています。私はそれを信じていません。ですが、身勝手さと冷笑は、悲惨な結果を招くと気づくべきです。

トランプ大統領は公正な選挙結果を覆そうとしました。彼は嘘をつき、人々をミスリードしてクーデターを企てました。

私の父や当時の隣人たちも、(ナチスの)嘘に惑わされたのです。誤った方向に導かれる先を、私は知っています。

引用元:シュワルツェネッガーさん「全ては嘘から始まった」。議会襲撃とナチス重ねたスピーチが胸を打つ【全文】 | ハフポスト

ふりかえって我が国はどうだったのか?

ある歴史家が第2次世界大戦時、各国の「指導者」を列挙した。日本は「率いた指導者なし」だったと聞く。私が調べた範囲では確かにそうだ。誰の何の判断に責任があったのかがさっぱりわからない。とても優秀な官僚、そうでもない人たちがそれぞれに小さな間違いを積み重ねる。立場が変わるとそれを非難する。しかし結果はご存知の通り。

確かに「大本営」は嘘をついた。しかし「大本営」とは誰か?大本営報道部が指導者だったのか?まさかそんなはずはあるまい。戦場のメリークリスマスにこんなセリフがあったと記憶している。

「一人では何もできず、集団で発狂した」

じゃあ日本人を全員罪に問うべきなのか?それもおかしい。

結局「皆が戦争の悲惨さを心に刻み、こうしたことが二度と起きないよう決意を固めなくてはなりません」という小学校の作文のようなことになってしまう。なぜそうなるかと言えば、原因がよくわからないからだ。強いて表現するとすれば

「グランドデザイン無き国家の”小さな正しさ”を積み重ねた末の崩壊」

としか言いようがない。グランドデザインを持たない指導者が「なんとかしろ」と現場に命令し、現場がとにかくなんとかしてしまうのは我が国のお家芸ではあるけれど。