小中学生にデザイン思考を教えること

2021-04-06 10:10

縁があって、小中学生向けのデザイン思考ワークショップのファシリテーションをお手伝いした。

アンケートを見る限り、参加してくれた子供たちには好評だったようだ。しかし私は「子供の豊かで自由な発想に驚かされた」などと書くつもりはない。提案されたアイディアはいずれもいかにも小学生が考えそうなことだった。つまりありきたりで、実現性が皆無。仮にそこから「優れた発想」を見出そうと思えば、そうしたヒントを見逃さず自分で含まらせることができる人間が必要とされる。

つまるところ

みんなで仲良くデザイン思考」

を再確認したのだった。

参加しながらずっと考えていた。これはどのような経験になるのだろうか?小中学生にとってとにかくアイディアをだし、それに対して「すげー」と言われる経験はどのような意味を持つのだろう?

それは確かに彼らと彼女たちにとって興味深い経験になるに違いない。アイディアを語ることを恐れない姿勢。それはとても重要。しかしそれとともに「自分たちが5分で思いつくアイディアは平凡でありきたりのものだ」ということにもどこかで気がついてもらわなければ困る。それなしにはただ「どうでもいいアイディアを得意げに語りまくる」就職活動特化型の優秀な学生になるだけ。そうした学生は役立たずの会社員になり、見る目のない人事がのさばる会社を衰退させる。

だから

私は自分でもアイディアを出した。とても控えめに最後に発表したのだが、幸いにもそれは好評だったようだ。ただ

「とにかくアイディアだしてたのしかったね!」

で終わるのではなく

「なるほど、こんなアイディアも出していいんだ」

という発見につながってくれればと思う。

詩子

注射は痛い、いやだ、をどうやって解決するか?注射をうったらとにかくみんなで盛り上げる。くす玉をわり、なんなら花火を打ち上げる。クラッカーをならし皆で拍手喝采。注射後にはインタビューも行う。

「とうとう注射を乗り越えましたね!今のお気持ちは?」

「いや、あたり前のことをしただけです」

「なんて謙虚なんだ!」(まわりからさらに大きな歓声)

こんな注射なら私だって受けてみたい。