Pepperという虚構の終焉

2021-06-29 07:06

以前勤務していた会社の入り口にPepperが置いてあった。実にいやだった。誰も見ていない隙に、皇居のお堀に投げ込んでやろうと何度考えたことか。

それが置かれた時期においても、すでにPepperというのは「頭の古い”新しい物好き”だけが喜ぶガラクタ」だった。それが置かれ続けた理由はいまだにわからない。前の会社のオーナー社長はシンギュラリティとかブロックチェーンとか心ある人が眉を顰めるようなキーワードにことごとく引っかかる人だったから、その一環だったかもしれない。

Softbankのオーナー社長の強い意志に逆らえず、Softbank社員は全力を尽くしたと思う。その努力はいろいいろな場所で目にした。お笑いをやらせてみたり、San Fransiscoのショッピングモールで見かけたこともある。しかしゴミはゴミだった。そしてその虚構にもとうとう終焉の時が訪れた。

TOKYO, June 28 (Reuters) - SoftBank Group Corp (9984.T) is slashing jobs at its global robotics business and has stopped producing its Pepper robot, according to sources and documents reviewed by Reuters, as the conglomerate downgrades its industry ambitions.

引用元:EXCLUSIVE SoftBank shrinks robotics business, stops Pepper production- sources | Reuters

やっとというべきか、Softbankのロボットビジネスの人員を削減し、Pepperの生産を停止したとのこと。もともとFranceのアルデバランという会社を買収したものだが、そこの人員も解雇するのだそうな。

ここ二十年くらいに明らかになったことがある。愛玩用ロボットから利益を生む方法を見つけた人はまだいない。これは何度も繰り返されてきた試みがだが、一つとして成功していない。結局家庭用ロボットで成功しているのはお掃除ロボットだけ。そして皮肉なことに人によってはお掃除ロボットに愛玩ロボットの要素を見出している。

しかしその「愛玩ロボット」の要素を中途半端に取り入れたシャープの製品はお掃除ロボットの世界で生き残れなかった。

そして今日もルンバは爆音を上げて我が家をお掃除してくれる。このお掃除ロボットの世界においても、日本メーカーがアメリカのメーカーに歯が立たない、、なんて世界を三十年前誰が予想できただろうか。