メタバースというリトマス試験紙

2021-08-17 10:05

Second Lifeという「3D空間で誰もが自分のアバターを作ってあれこれできる」メタバースが発表されたのは十八年前のことだった。

それから数限りない「メタバースの試み」がなされている。

 「Second Life」。「The Sims」。奇妙だった「PlayStation Home」。IT企業は長い間、在宅オンラインのアイデアを解決しようとしてきた。

引用元:マイクロソフトやFacebookらが目指す「メタバース」を取り巻く様相 - (page 2) - CNET Japan

不思議なことだが、それら「メタバース」の多くは先発のメタバースの失敗から何も学んでいないように思える。なのにメタバースは延々と「再発明」され続ける。

これは非常に興味深い現象だ。米国のラジオで聞いたセリフだが

「本当の狂気とはなんだか知っているか?うまくいかないことを際限なく繰り返すことだ」

この定義によれば、メタバースに関わっている人間はほぼ間違いなく狂気に取り憑かれていると言っていいと思う。十八年前なら「すごーい。こんなことができるんだー」と話題にもなったが、今では話題にすらならない。

グリーは8月6日、子会社のREALITYを中心として「メタバース事業」に参入すると発表。今後2、3年で100億円規模の事業投資を行い、グローバルで数億ユーザーを目指すという。

引用元:グリー、メタバース事業に参入--100億円規模の事業投資で数億ユーザーを目指す - CNET Japan

思うに現状メタバースという言葉にはリトマス試験紙の役割があるように思う。ひと昔前の「シンギュラリティ」と同じように。その人がどのように物事を考えるかの一つの尺度になると思うのだ。

私はメタバースを延々と工夫もなく繰り返す人の知性が劣っているとか愚かだとかいうつもりはない。ひょっとすると何かの理由でそのどれかが成功するかもしれない。そして私は何もしていないので、絶対に成功することはない。mixiがオンラインゲームに進出したときはアホかと思った。しかしそれは大成功し、今やmixiはゲームの会社だ。

だから優劣ではない。単に「過去の経験から何かを学び、それに対して工夫をする人か」「単に同じことを繰り返す人なのか」という識別に役立つのではないかと思うのだ。

なぜメタバースという古いアイディアがこうも多くの人を惹きつけるのか、誰も成功していないのに、自分なら成功すると信じさせるのかという点につても興味深い研究ができるように思う。誰かやってくれませんか?