題名:HappyDays-20-26章

五郎の入り口に戻る

 

日付:1998/8/15

20章:1993年最後の合コンパート2

21章:Who cares Christmas ?

22章:年末

23章:男と女と酒となんとか

24章:あけましておめでとう

25章:Last Crusade(最後の聖戦)

25-2章カラオケの選曲における一考察

26章:後始末


20章:1993年最後の合コンパート2 Extra Flight

 

12月18日は寒い日であった。

前日は私が所属する課の忘年会であったのである。その日を含んだ前3日は研修及び出張であった。従って当日私の体調はあまりよかったとはいえない。しかしそんなことはおかまいなしに今年最後の合コンを無事に成功させる義務があるのである。

今回のメンバーはIZとKBであった。彼らと組んで合コンに向かうのは初めてである。まあ過去の実績からあまり問題はないだろう。ただし前回のKN大学合コンでKBが堂々と20分遅刻してきたのが懸念材料といえば懸念材料であった。

さて合コンの待ち合わせ場所であるところの巨大○栄マークの前に私がついたのは例によって30分前であった。本を読みながら時間をつぶしてほとんど時間通りに再び○栄マークの前に姿を現すと、そこは結構な混みようである。例によって来週にかけている人々がたくさんいるのかもしれない。

まずIzが来た。彼には聞いておかなければならないことがあるのである。いわずとしれた中山美穂のことである。さっそく問いただすと彼の返答は

「中途半端」

であった。何のことだとさらに詳しい説明を求めると、とりあえず電話したけど別に何の約束もしなかったのだそうだ。なんということだ。中山美穂相手に何も約束をしないとは。しかしそうは言ってもこれは彼のストーリでありぼくの関知するところではない。とはいいながらも「しかし。。。」という思いはぬぐい去れなかった。

さてぼーっとしていると遠くから女の子がこちらにむかってにこやかに歩いてきた。そしてその顔をみた瞬間私はこれはK橋であったと思った。(何度も書いているが私の顔の記憶力は鶏並である)そして適当に挨拶して、まだKBが来ていないことをわびた。

さて私の懸念通り遅れてきたのはKBであった。この日は結構宴会終了の時間がシビアに切られていたので、彼が遅れてきた分はそのまま我々が宴会場所にいれる時間の減少となって現れるのである。とはいうものの私たちはこの時間を利用して遠目に彼女たちの観察を怠らなかったのである。そして二人の一致した意見というのが「結構いいかもしれない」であった。しかし同時に私の頭の中には、これでますますIZと中山美穂の関係成立が遠ざかったという考えがよぎった。なぜこのことにこだわるか?CはIZと中山美穂の直接の仲介者であるので、関係成立の暁にはIZにどこかで食べ放題をおごらせることを約束していた。私もその尻馬にのって半分くらいはおごらせようかと考えていたのである。それがこのままではパーになってしまうじゃないか。

などとせこいことを懸念しながらなおも待つとようやくKBがこの寒いのに異様な薄着で「いやーまよちゃった」と言って歩いてきた。足下を見ればサンダルである。

 

それではということでさっそく宴会場所にむかって歩き出した。(つもりだった)場所は一応どんな相手でもそれなりにうけるであろう六本木浪漫邸である。さて師走の風景の中をさっそうと先頭をきって歩きながら私は考えていた。ひょっとしたら私は道を間違えたのではないだろうかと。

なんだかわからないが通常よりも一本北の道を歩くことだけを覚えていた。しかし私の見た所、必要以上に我々は北に来てしまっているようなのである。これはまずいかもしれない。

というわけであっさり女の子に「ごめん道間違えちゃった」と言ってさっさと引き返した。このとき心なしか女の子のK橋と私が信じていた人の顔が険しかったような気がしたがどうだったのだろう。戻ればすぐに正しい道が判った。ああーよかった。とはいったもののKBが遅れたことによる時間損失などよりも多大の時間をあっさりと損失してしまったのである。かくのとおりあまり他人を非難するのは考え物である。

 

さてにこにこと笑いながら予約してあった場所に案内された。いままで使用したことのないおちついた感じの個室であった。とはいっても回りの声はがんがん聞こえてくるので、そんなに静かだったわけではない。恒例によって女の子と男は交互にすわるべきなのである。私が適当にとりしきって決めたのが下の座席である。

 

やたらKで始まる名前が多いがそんなことは関係ない。というわけで自己紹介もそこそこに鍋を囲んで談話が始まったのである。

さてまずお互いの関係を確認するところから話は始まった。男の子は簡単である。単に職場の知り合いだ。ここで私はK橋と信じていた女子に「前に会ったことがありますよね」といったが全く話が通じないので途中でなんとなく話をごまかした。そして30秒後に彼女はK橋ではなくてその友達であるところのK野であることを発見した。全く人の顔を覚えないこともはなはだしい。

さて彼女たちはお互いに友達なのであり、元をただせば仕事関係の知り合いのようだ。人材派遣会社であるところのLなんとかというところの社員がK鳥とK野であり、そこから派遣されているのがK江なのだそうだ。ちなみにK江というのはKN大学合コンで同じくKBの隣に座っていたドラム娘と同姓である。非常に珍しい同姓であるからひょっとして親戚関係があるのではないかと思ったが、全くの偶然だったようだ。

さて次にみんなが疑問に思っていたのは、この会合はいかなる経緯をへて催されたかということである。しかしまさかこの物語の1/3をこの場でかたることもできない。適当に省略して話をしたら、さっぱりわからないと指摘を受けた。適当にのばして話をなんとなくまとまったようにしたが、実の所まもなくそんなことは誰も気にしなくなった。

次にいきなりある女性(多分K江だったと思うが)KBがなんとかいう芸能人に似ていると叫んだ。他の女性はみんなこの説を支持したが、実は男の子たちは全くこの男を知らなかったので、それがほめ言葉かどうかよくわからなかった。

さて会話はつつがなく進行していったが、そのうち私は彼女たちが結構飲める人たちであることを発見した。これはうれしいことだ。どうも最近女の子たちがあまり飲まない合コンが多いんで、多少気疲れしていたところだ。しかし彼女たちはガンガン飲むし、食べるのでそういう面で非常に気が楽だった。

さて例によって例のごとく神経をすりへらす会話のやりとりのあとに、おそらくK野とK江が同じ年で、私より一つ下。K鳥がそれよりさらにひとつ下であることが判明した。外観だけからすれば彼女たちは非常に若い感じの女の子たちであった。しかし実の所KBは両脇の女の子よりも2ー3歳年下となるのである。そしてこのことがこの合コンを前代未聞の妙な方向へと導いていく。

KBというのはどこか母性本能をくすぐるたちのようである。実際K江の口からそういったセリフが語られたような気もする。そしてはっときがつくと彼が鍋の魚をたべてその骨を出すとき、両脇の女性が皿を差し出しているような光景が見られるようになっていたのである。あえて言おう。私の前に展開していたのは「KB君をかわいがりましょう大会」だったのである。一人の女性や男性が複数の女性からもてるという図式はままあることだ。しかし一人の男性が複数の女性にかわいがられるという図式はみたことがない。しかし私の内心の驚きをよそにこの合コンでは最後までこのパターンで会話が進んでいったのである。KBはときどき「しわがどーのこーの」などとまるでMr.Kのような発言をときどきしていたが、両脇のお姉さん達には返ってそれがウケを呼んでいるような感じもあった。

彼女たちの容貌について書いておこう。KBの言葉によれは(となりでIZも同意していた。全く私も異論はない)「今日はかつてないほどレベルが高い」のであった。彼女に話を聞くとそんなに合コンをやったこともないし、仕事がらあまり男性とも接しないのでそんなにもてる機会がないということだが、私の「誰でも普通の職場にいれば、前に男の待ち行列ができる 」こと間違いなしといった感じの彼女たちであった。

KBの両脇二人をのぞいた残りのK鳥についても書いておこう。彼女は当日風邪をひいて声がほとんどでなかったのである。しかし他の二人の弁によれば「彼女はすごい」という女性なのであった。かと言って何が「すごい」か結局最後まで分からずじまいだったが。

さて宴会は妙な盛り上がりを見せていた。と突然となりの部屋(というかテーブル)からへたくそなバイオリンの音色が聞こえてきた。かなり原曲からずれているがその曲というのが「転校生」という映画のなかで使われていた曲なのである。ここで私の頭は一時的にいきなり大学、そしてさらにはもっと昔のころまでさかのぼった。「転校生」というのはそういう思いをさせる名画なのである。

 

しばし思い出にふけっていたが曲が終わると同時に合コンの席に頭が引き戻された。結構な盛り上がりのうちに進んできた会であるが、そろそろお開きの時間を考え、次の計画を考えなければならない時間となった。なるほど会話は楽しかった。これは是非今後もおつきあいを願いたい。というわけで最初は「スキーに行きたい人」と聞いたところ、KBの隣二人、K野とK江が手を上げた。67 %の支持では今一つ弱いかもしれない。しかしながらこれで話のきっかけはできたわけであるから次にIZと私で名刺に自分たちの電話番号を書いて彼女たちに渡した。KBはなんと自分の電話番号がわからないと言った。ついでに言えば最後のデザートが運ばれたところで甘い物が大嫌いなKBは入り口のところまで避難していたのである。これが女性二人の母性本能をさらに刺激したであろうことは想像に難くない。

さてとりあえず電話番号も渡したしということで、集団はしゅくしゅくと2次会に向かうかどうかを決断する時間になったのである。

とりあえず表にでて男の子チームと女の子チームで相談をした結果、とりあえず飲みに行きましょう言うことになった。こうなると普段小牧の僻地で逼塞している男の子たちは全然役に立たない。K野とK江の先導でバーに向かうことになった。

歩いている途中私はK鳥と話していた。彼女がデスコ好きな女の子であることを発見した。今度是非デスコにつきあってくださいと頼んだ。そして「こんなこと言ってもあなたが電話してくれなければ総ておじゃんですからね」と付け加えた。これは非常に弱気な態度であった。これがCであればきっと大電話番号交換大会が成立していたことであろう。彼から学ぶ点は多い。

最初にいこうとしたバーは混んでいて入れなかった。しばし待ったあげくの店の人の「ごめんなさい」という返答であったので、K野は去り際に「もうちょっと早く言ってほしかったな」と言った。小心者の私は隣で聞いていただけにもかかわらず少し青ざめた。店の奥からは受付係の上役が飛んできて謝っていた。

次に行った店の入り口でも「何人ですか」と聞かれたので、だめなのかなと思いつつも「6人」と答えると、なんとなかはがらがらであった。非常に雰囲気のよい店なのだがなぜかこの混雑するはずの師走にがらがらなのである。(後で気がついたのだが単に時間が早かったせいのようだ。我々がでる頃には結構込んでいた)

さて2次会での配置は以下の様である。

昨今の合コンには珍しく、きっちり席が入れ替わったので、今度は私はK江とK野と話す機会に恵まれることになった。

さてオーダしたドリンクが運ばれると再度乾杯となった。バーボンを頼んだKBは乾杯といった3秒後には800円分のバーボンを飲み干していた。あいかわらず愉快な奴だ。

さてこの2次会のバーは非常に静かなところだったので、上品な大人の会話が成立するかと思えた。そういうと「じゃあしゃべってごらん」と言われたので、「最近みたおもしろい映画について」語ろうとしたがあっというまに会話はへんな方向に向かい始めた。理由はわからないが次に語られた話題は「日米F*ck Youを意味する手つきについて」であった。

中指をたてることは米国でFu*k You の意味である。日本にも多少意味が違うがにたような手つきがある。なんと彼女たちはその手つきを両方とも知らなかった。というわけで説明していると「これでいいわけ?」とか言ってその手つきをおくびもなくするわけである。これにはお兄さん参った。本当に参った。我々が飲んでいる場所が米国であればまちがいなくどこからか鉄砲の弾が飛んできたであろうと言う状況であった。しかしながらありがたいことにここは日本なのである。

そこから派生して英語についての話題が語られようとしたときにいきなりK鳥が「Hey, Come on」と言った。(このCome onはカモンではなくて、カモ〜ンという感じの色っぽいいいかたである。) このおかげで一同は恐慌に陥った。これを英語だとなんでもいえるという好例と言っていいかどうかわからない。

次にはなぜかエロ映画の話題がかたられ、そして大坪君得意の話のネタ「ギリシアでエロ映画みてたらホモのじじいに太股さわられた」などが異様なウケをとっていた。従ってこの場所でも話は非常に肩の凝らないリラックスしたものだったのである。

さてそんなこんなで1次会に増して元気になった女性達に我々(特に私)は圧倒された2次会であった。隣のK野と話していて何か彼女の不備をつこうとするといきなりウィンクされて後の会話がしどろもどろになった。それからも何回か彼女のウィンク攻撃にあって私は動揺した。2次会の会話は一事が万事この調子だったのである。

さていつしか時間は過ぎ彼女たちがシンデレラになる時間になった。そこで我々はおそらくお互いに非常な満足感につつまれながらそれぞれ家路につくことになった。私はKBと一緒に寮に帰った。たまのことなので、彼と寮の部屋でいろいろ愉快な会話をしようと思ったからである。さて留守電をみたらなんとメッセージがはいっている。再生してみたら「まだ終電まで時間があるので遊んでいる」K野とK鳥のご挨拶であった。なるほどこれで一応彼女たちから電話があったということはできるわけだ。

それからKBの大学時代の話を聞いて楽しい時間を過ごした。そして彼を寮に送って安らかな眠りにつくことになった。

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注釈

KN大学合コン:この合コンの様子はHappyDays15章参照のこと。本文に戻る

 

前に男の待ち行列ができる:全く関係ないが、某音大では男の数が極端にすくないために「どんな男であっても」女性の待ち行列ができるそうである。本文に戻る

 

転校生:(参考文献一覧)この映画を見たことから、尾道3部作を見ることになり、ついには中国地方に行ったときにはいつも尾道を通るようになった。本文に戻る

 

色っぽいいいかた: K江の弁によればまるで辺見マリのようないいかただったそうである。と聞いてうなずいたあなたは結構な年です。本文に戻る