題名:Little Guessing Game

五郎の入り口に戻る

日付:2001/5/20

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Fall

NASDAQの推移

2001 年2 月12 日

ハイテクは依然として割高 : S&P500 に含まれるハイテクセクターの予想収益ベースのPER は32 倍に戻ったが、市場全体の22 倍と比べるとかなり高い水準にあ る ( 資料 6)。歴史的に、ハイテク株のPER は市場全体とほぼ一致している。昨年の教訓は、ハイテクはグロース循環型セクターであることだ。シスコでさえ業績が予想を下回る。このことは、ハイテク株の バリュエーションが依然として高すぎる可能性があることを表す。

注目セクターのシフト : 私は、ハイテクを避けて他のセクターにシフトする傾向は夏一杯まで続く可能性があると考える。私は、年初来のハイテク株上昇の機会を捉えて、このセクターをアンダーウェイトするつもりだ。ハイテクセクターの収益は少なくとも第2 四半期まで不安定になる公算が高い。表3 は、私が推奨するセクター別配分を更新したものである。アンダーウェイトのセクターは、テクノロジーと通信だけである。この二つのセクターは、バリュエーションがまだ割高で、最近のハイテク受注が非常に急速に循環的下降局面にあることを勘案すると、株価に織り込まれている長期成長率は高過ぎるようであ る

 

2001 年2 月20 日“The View from Wall Street (ウォール街の見方)”の3 月号

ニューエコノミー論を最初に提唱した者のひとりとして、そして10 年以上もの間その擁護をしてきた私は、懐疑論者たちの攻撃をもはや黙って見過ごす訳にはいかない。この野蛮な来訪者達は、ニューエコノミーは机上の空論で、要塞のような堅牢さはないことを立証しようとしている。彼らに言わせると、ニューエコノミーはナスダックと共に崩壊した。

それは、過度な投機と根拠なき熱狂という脆弱な基礎の上に成り立っていた。反革命論者は、ハイテク革命と生産性革命は誇張であり、いずれにせよ既に終わったことだと主張する。私たちが集団で犯した罪は、過剰投資と過剰消費であり、その報いは長引く景気低迷である 。

(中略)

神話:懐疑派の見方は違う。彼らは”成長性神話”と見る。実際この成長性神話は、常に聡明なジョン・キャシディがニューヨーカー誌の2000 年11 月27 日号に載せた記事のタイトルである。キャシディ氏は、ノースウェスタン大学のロバート・J ・ゴードン教授が「景気サイクルを調整すると成長性神話全体が、ほぼテクノロジー・セクターに集中していることを発見した」と記している。つまりコンピュータは、コンピュータ業界では生産性向上をもたらしたが、他の業界への影響はさほど大きくないという論旨である 。

しかしこの結論に対しては、逆張りのプロである『グラント金利オブザーバー』のジェームズ・グラントなどが異論を唱えている。同氏のポイントは、米商務省の統計担当者が、“ヘドニック価格指数”と呼ばれる統計手法を使って、コンピュータなど品質や特性が急速に変化するモノの単価を標準化しているため、コンピュータの生産高や生産性が過大評価されていることである。モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッターのチーフ・エコノミスト、スティーブン・ローチも生産性神話に異論を唱える人物のひとりである。同氏は「私たちは皆、生産性の尺度であるマン・アワー当り生産高の公表数字のベースとなっている労働時間よりも長時間働いている」と指摘する 。

このような議論は全て理にかなっているし、非常に温厚で非暴力的な反革命派の支持を取り付けている。彼らの中には野蛮人はひとりもいない。生産性を定義するのは難しく、計測し難いことは誰もが認めるところだ。従って、合理的な判断をする人たちが同じ現象を見て、それをパラドックス、あるいは奇跡、あるいは神話だと考えても不思議ではない 。

しかし、問題は家計がどれだけ所得を稼げるかに帰結する。これこそ生産性がこれほど重要とされる理由である。生産性は生活水準の“源泉”である。生産性は購買力と実質所得を決定し、一方、実質所得は私たちの購買力を決定する。

(中略)

事実:1970 年代から1990 年代半ばまで実質賃金の伸び率は生産性と同様低迷していたが、1990 年代には労働者一人当り実質賃金が1960 年代以降最高のペースで上昇し、史上最高を記録したことは事実である(3 ページの資料1 )。これは、懐疑派の見方とは異なり、実際に生産性が一貫して回復し、それが多くの業種にも広がりを見せたことを示す明確な証拠である

(中略)

個々の事例を見ても、多くの業界でハイテクがコスト削減と生産性の向上に貢献していることを確信できる。フェデラル・エクスプレス、ウォルマート、シティーグループは、巨大なグローバル組織を円滑に運営する情報技術がなければ、現在、存在すら出来なかっただろう。ブリティッシュ・テレコムは、資材やサービスをオンライン調達に切り替えることにより、一件当りの業務処理コストが平均90 %削減でき、調達資材・サービスの直接原価を平均11 %削減できると述べている。インターナショナル・ペーパーとモトローラは、マイクロチップをダンボール箱に埋め込む計画であり、それによってバーコードを廃止し、究極的な製造サプライチェーン全体のオンライン化へ大きな第一歩を踏み出した 。

(中略)

私は以前にスティーブ・ローチとニューエコノミー論争をしたことがある。恐らく私たちの労働時間は公表データより長いだろうが、フレックス制も普及している。通信技術の発達のおかげで、現在約1,900 万人が自宅勤務をしている。彼らは非生産的な通勤時間を削ることで、従来よりも有効に時間を活用している

スティーブのもうひとつの論点はこうだ。「ナショナル・アカデミー・オブ・エンジニアリングが2000 年に実施した調査によると、20 世紀の偉大な技術の中で、インターネットは第13 位に過ぎず、電化(第1 位)や空調(第10位)よりも下位にある。しかし過去よりも現在である。いずれにせよ高い信頼性のある情報技術革命が、大きく花開くのはこれからである

私はアラン・グリーンスパンFRB 議長が、最良の時代はまだ到来してないかもしれないという見方に賛同する。

 

2001 年2 月26 日

しかしハイテク株が昨年の下落分を直ぐに取り戻すことはありそうもない。ハイテク・セクターと通信サービス・セクターだけが、私の配分表ではアンダーウェイトになっている。しかしアンダーウェイトの銘柄がさらに下落すると予想しているわけではない。私は単に今後数ヶ月間の上昇余地は大きくないと見ているだけだ。

 

2001年3月5日

ハイテク株にまだバリューはあるか?:私の資産配分モデルはちょうど強気に変わったばかりだが、S&P500 のセクター・業種配分は比較的保守的である(表2 )。私は、テノロジーと通信サービスのアンダーウェイトを維持している。このふたつのセクターは、今年一杯は業績面で厳しい問題に直面する可能性が高い(しかし私がった一部のバリュー・マネージャーは、テクノロジー、特にソフトウェア銘柄を少しずつ物色し始めている。)テクノロジー・セクターの収益は悪化の一途を辿っている(資料8 と9 )。底入れの兆候は全くない

 

2001 年3 月12 日

ハイテク株暴落の後。シスコやインテル、そしてヤフーといったハイテク優良銘柄が最近、相次いで下方修正を発表したことから、2001 年だけでなく2002 年も予想収 益 の下降基調が続く可能性が出てきた。テクノロジーセクターの予想PER は大幅に低下しているが、これからさらに低下するように思える。従って私はテクノロジーと通信サービスのアンダーウェイトを引続き推奨する。

 

2001 年4 月16 日

長年、放置されていた銘柄。株式のパフォーマンス競争で勝ち抜くには幾つかの方法がある。正攻法のひとつは、長期間に渡って、例えば10 年以上アウトパフォームすると予想するセクターをひとつかふたつ選んで、そのセクターをオーバーウエイトすることである。理由は定かではないが、大勝ちするセクターが10 年毎にひとつ現れるようだ。1970 年代の勝ち組の筆頭はエネルギー、1980 年代は消費関連、そして1990 年代はハイテクだった。

長期的に勝ち組となるセクターは、現在比較的小粒でも、将来大きく育つという視点が大事である。2000 年代最初の10 年間で私が推奨するセクターは、電力エネルギー関連、つまりエネルギーと公益事業の両セクターである。現在、時価総額は両セクター合わせてS&P500 の11.3%に過ぎない。1 年前は最低水準の7.7 %だった(資料2 )。この比率は2010 年までの間、引き続き上昇すると私は見ている。

近年のハイテクブームで過剰投資があったかどうかは投資家の間で意見が分かれるところだが、発電・送電セクターが放置されていたことは疑う余地がない。

 

2001 年4 月23 日一般的には、ハイテク株は収益に問題が残っているセクターだが、投資家はほとんどが「これだけ悪ければ、これ以上悪くなりようがない」と考えているようだ。おそらくこの見方は正しいだろうが、しばらく立ち直らない可能性もある。ドットコム会社には、株価の暴落で燃え尽きてはいない銘柄がまた多くあるが、急速にキャッシュフローが悪化している。シスコは在庫を償却したが、まだ在庫処分する必要がある。一方、私はハイテクと通信セクターでM&A の波がやって来ると予想する。M&A による業界統合によって、現在多くのハイテク業界の利益を圧迫している過剰設備や競争圧力の問題が一部解決される可能性がある。このような理由から、私はコンピュータハードウエア関連株を市場並みウエイトに上方修正する。そして、本格的にリアルタイムで事業展開している点でワイヤレスインフラ機器に引き続き注目している。

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注釈