題名:Java Diary-102章

五 郎の 入り口に戻る
日付:2011/12/20
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Gorotte -Part3

論文を投稿すると、しばらくはできることがない。幸か不幸か私はプログラム委員でもあるので、査読が進んで行く様子は間接的に把握でき る。(もちろん自分の論文についてはわからない)今年は論文の一覧が公開され、それに対して「これを査読したい。これはしたくない」と査 読者が意見を表面できるようになっている。

きっと私の論文も誰かが意見を表明してくれているのかな、と思いながら自分の希望を入力する。間もなく割当が連絡される。確か5件担当 したと思うのだが、面白かったのがそのうち3件が

「(実質的に)先行研究なし」

だったことだ。もちろん比較の対象となる研究はあるのだが、いずれも新しい問題、新しい方式を提案している論文で、読んでいて楽しいこ とこの上ない。

一通り査読結果を出し終わると、今度はプログラム委員会での審議がまっている。普通は査読結果を判定する会議が行われるのだが、今回は それに加えて

「査読を担当した人達の間での、事前協議by mail」

が行われた。今までも査読結果を開けてみて

「えーっ!」

ということはあったのだが、こうしたシステムのおかげで「なるほどそう考えたわけか」ということは解る。最終的に合意に至るかどうかは 別の話だが、異なる立場の考え方に触れることができる機会はさほど多くない。

担当した論文に関してメールで議論を交わす。ほぼ全員意見が一致するものもあれば、大きく分かれるものもある。ふと「私の論文もこうし た議論の俎上に乗っているのだろうか」と思う。

肝心な会議の日は業務で外せない用事があり欠席だ。それから数日は流れるメールをみて一喜一憂することになる。会議の翌日であったか、 採択不採択を一覧するメールが流れる。それまで「採択され喜ぶ大坪君」と「不採択になり涙にくれる大坪君」が重なりあった状態だっ たのだが、「わーいわーい」の大坪君に収束することになる。さて、これからやることは山積みだが、基本的に前向きの作業なのが救いだ。

まずやらなくてはならないのは、査読結果をみて論文を修正することである。しかしこれがなかなか難物だ。査読コメントを読むのが怖い。 な んだかんだと理屈をつけて後回しにするが、とうとう論文修正の期限が一週間後に迫ってきた。こうなればもう読むしか無い。意を決して査読 結果を見る。

3名が3点。ただコメントを読むとうちふたりは明らかに「落としたい」の3点。一人だけ5点を付けてくれた人がいるおかげでなんとか 通ったのだろう。コメントを読み、修正を加える。再提出してさあおしまい、と思ったらしばらくして

「用紙サイズがA4になっていません。至急修正してください」

というメールがきて泡を食う。今回初めてMac上でLaTexというものを使って論文を作成した。(それまでは会社のWindowsマ シンで書いていたのだ)文字コードのおかげで、ひどく手間取ったのだが試行錯誤の末なんとか作成することができたのだが、何かが違うらし い。調べると確かにサイズがおかしい。イメージとしてはU.S.Letterサイズになっているような感じだ。そもそも配布されたフォー マットではどうだろう、とか試行錯誤することしばらく。ようやくまともな大きさになる。「ページの大きさを変更すると文字数も変わってし まうのではないか」という恐怖にとりつかれていたが、変更しなくてもちゃんとおさまっているようだ。

さて、論文はなんとか提出できた。しかしプログラムの改修とプレゼンの準備はそれほど簡単にはいかないのであった。

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注釈