日付:2000/6/20
20章:Power Mac 7500改-Part2さて、翌日私は勇躍東急ハンズに向かった。もう購入すること、やることは決めてあるのだ。
まずはアクリル板を探す。昨日でこりたから、まず第一にカットしなくてもよい板を2枚購入し、どうしてもカットが必要なものはハンズの工房に依頼する。次に残りの工具を購入だ。今回の構想でどうしても避けて通れない物にドリルがあった。どうしたって穴あけ作業は必要なのだ。
大坪家には工具箱があり、幼少のころからあれこれやって遊んだものである。そのなかで一番むつかしい作業がハンドドリルでブリキの板(これは缶詰を切った物)に穴をあけることだった。一生懸命体重をかけてまわしてもなかなか穴はあいてくれないし、穴があいたらあいたで今度は板がドリルの歯からはずれないのである。
とはいっても今回もあのハンドドリルを買えばよかんべ、、と思って探してみるがどうも見つからない。あるのは電動ドリルばかりだ。理論的には店員さんに「ハンドドリルないんですか」と聞くこともできたが、今回穴をあける対象がアルミのフレームであることを考えるとあの幼少のときのトラウマがよみがえる。またあの苦労を繰り返すのであろうかと。
そこで電動ドリルを観てみるとそんなに高いわけでもないようだ。それでなくても私の中に山ほど存在するストレスは「無駄遣いがなんだー」と叫んでいる。店員さんに相談して、あるドリルを買うことにした。
こうやってみると結構な数の工具を買い込んだことにきがつく。よし。もののついでだ。工具箱も買おうとおもってそれまた買い込む。工具を一通り買うと今度はまたアルミのフレームのあるフロアに移動だ。昨日あれこれ考えてみて「おお。これが足りない」というものに思い当たったからである。結局のこの場所はこの次の日も来ることになるのだが。
さて、買い物が終わるとアパートに戻り、さっそく工作の時間である。まずはドライブをとりつけるアクリル板の加工だ。とはいってもすでに必要な寸法には切断されているから、やるのは穴あけである。これが(例によって)うまくいかなかった。
理論的には簡単である。ドライブの穴位置の寸法をはかり、そこに買ってきた電動ドリルで穴をあける。これは実に簡単で、文明の利器のありがたさを実感することになるのだが、問題はそこではない。大学にはいり、機械工学科に進学してすぐ学んだこと
「物事にはすべからく誤差がある」
を実感したのである。
ドライブの取り付けネジの大きさは3mmだ。だから私は3.1mmのドリルを買った。これで穴を寸法通りあければちゃんととりつくはずである。ところが、すべてのドライブの穴が寸法通り空いている保証などどこにもない。0.3mmずれていてもそれでネジはとりつかない。
考えてみれば市販のPCケースなどのドライブとりつけあなはすべて長穴になっていて、位置が多少ずれていても問題ないようになっているではないか。よし。では私も長穴にしようとおもってさらに穴をあける。するとできあがったアクリル板はふぞろいの穴だらけとなり、あまり美しいとは呼べなくなる。
ひとしきり穴をあけると私は後ろにひっくりかえった。なんなんだ。これは。しかしそのうちもっと楽なアイディアに思い立った。ドライブ同士を簡単な金具で結合すればいいではないか。そして思い起こしてみれば世の中にはそのための金具も販売されているのである。このさいアクリル板構想は棚上げ(というかゴミ箱に放り込んで)して簡単なほうに走ろう。そうしよう。
ふと考えるとこの時点まで私はアクリル板に無慮4000円あまりをつぎ込んでおり、それをあっさりと無駄にしようとしている。しかしまあ時々でたくもない宴会にでて5000円も取られることを思えば(最近は年を取って図々しくなったので、そういう宴会は避けるようにしているが)この出費は自分の意志でやっていることだから、と自分に言い聞かせてみる。
もう日は暮れていたのでこの金具購入は明日のこととする。となるとあとできることは、フレームの組立だ。寸法をはかり、ジョイントを打ち込み(これはけっこう他のアパートの住人に迷惑だったのではないかとちょっと心配している。なんといっても私が住んでいるアパートは強い風がふくと揺れるくらいの作りなのだ)この日のうちに、とりあえずドライブをおく部分はできあがった。途中で差し込む方向を間違え、2−3度組み直したのはまあご愛敬だ。さて残りは明日。ということでその日は安らかな眠りについた。
さて翌日である。本来だったら朝の10時に開店と同時にハンズに飛び込み、必要なものを購入する予定だったが、実際に布団から離れることができたのは昼の1時だった。しかし時間がすぎたものはしょうがない。ハンズにいくのも3日連続となるとどこにいって何を買うかがはっきりしていてたかたかと買い物が進む。アパートに帰るとさっそく組立だ。3度目のなんとやらのおかげかどうかしらないが、とにかくドライブ類はうまく組上がった。そこで私は一息いれた。
しばらくそこらへんにちらばった工具やら材料やら一部だけ組上がったフレームをみて呆然とする。次にやることは決まっている。いままで全く寸法をはかっていなかったマザーボードや電源をPowerMac7500から取り外し、それに併せてフレームを加工し、組立、、という作業だ。
なぜここで躊躇したかといえば、「はたしてうまくくめるのだろうか」が半分、「くめなかったら、しばらくの間解析がとまってしまう」が半分である。だから理論的には私はこの時点で工具と組立途中のフレーム、それに無駄になった材料を人目のつかない(自分の目にもふれない)場所に隠してしらんぷりすることもできたのである。そしてしばらく
「おれはこれでこの構想をお蔵入りにするのかな」
などと考えていた。
ところが何故かは自分でもわからないが、数分の休息ののち、私はMacintoshをシャットダウンすると、やおら中身をあけて分解しだしたのである。一旦やりはじめるともうとまらない。おお、なんて7500の筐体はうまく出来て居るんだなどと感心しながら格闘することしばらく、マザーボードはネジ一本はずしただけで、(あとあれこれ組み合わせは外したが)外に出た。こうなってしまってはいまさら
「よし。お蔵入りだ」
とは言えない。前進あるのみである。さっそく買っておいた一番長いフレームをとりだして、取り付け穴の位置を確認する。そこからフレームをカットし、穴をあけて、、などとやっているとなんとかマザーボードはとりついた。そこまでは実に順調だったのだが、そこでこの構想はとん挫した。
理由は簡単である。先ほどさらりと「マザーボードを取り出した」と書いたが、同時に主要構成要素であるところの電源ユニットも取り外した。そして
「おお。電源とはかくも大きなものであったか」
と私は驚愕していたのである。
前の章の「想像図」を観てもらうとわかるのだが、私はなんの根拠もなしに
「電源とドライブは同じくらいか電源のほうが小さいくらい」
と思っていたし
「マザーボードは電源とドライブを足したくらいの幅がある」
と思っていた。しかし実際には電源はドライブより遙かにおおきく、そしてマザーボードは私が思っていたよりはるかに幅がせまかったのである。おまけに電源ユニットからでているケーブルの長さは電源ユニットを自由に配置するにはあまりも短すぎた。
しばし私は呆然とした。そしてそのうち、「なんとか電源をつなぐ方法はないものか」と思い出した。ここまでやったからにはいまさら元のボックスに戻すきにはならない。少なくとも電源ユニットを除いては結構私は自分の構想が気に入っていたからだ。あれこれやったあげく、とにかく再び解析を開始することはできた。(正直言えばCD-ROMは電源コードがとどかず動いていないのだが)その様子は下の写真に示すとおりである。
よくよく観てもらうとわかるが、電源ユニットは後ろの方に直立しているし、フレームの下には週刊モーニングが2冊重ねてある。モニターへのケーブルがどうしても曲がらないからだ(そして何故かといえば、モニタ-液晶ディスプレイである-に接続するのに変換コネクタを挟んでいるからだが)
この行を書いている時点では、私のPowerMac7500改はこの形で一生懸命SETI@homeのWork Unitを解析している。正確に言えばフロッピもなければカバーもないのだが、とりあえず解析能力に支障はないようだ。しかし問題はこれから。私は覚悟した。電源ユニットは自作(というか改造)しなければならない。そしてそのためにはまた工具を買い込まなくてはならない。はんだごての登場だ。
そう決心すると例によってインターネットでの情報検索である。ありがたいとにこの
「他機種への電源の流用」についてはいくつもの情報がみつかる。たとえばもうサポートも製造もされていない機種の電源が死んだ場合、大量に手に入るATX電源(PCのものだが)を流用しよう、という試みはあちこちで行われているようだ。
さて、それらの情報をあれこれ観てみると、つまるところ7500の電源とATX電源ではピンの配置が違うだけでちゃんと使えそうである。また大抵の人はMacintoshの
「キーボードから電源がいれられる」
ということに結構こだわり、あれこれ改造を加えているが、私としてはそんなところにこだわる気はない。ということは通常ATX電源をOn/OFFするのと同じ操作だけ考えておけばよろしい。となると特に回路をいじるなんてことは必要なくて、とにかく電源ピンの配置だけなんとかすればよさそうだ。となると話が早い。私はある木曜日の会社帰り、さっそく300WのATX電源を買い込んだ。それとともに電源の延長ケーブルも買い込んだ。これはATX電源からMacintoshの電源に変換する際に必要となる。
さて、それからまた私はしばらく「視線を宙にただよわせてぼーっとしている」状態をやった。いかにしてこの電源を使うか考えなくてはならなかったからである。Macintoshのマザーボードには電源用のコネクタが2個ある。20ピンのものと10ピンのものだ(と思いこんでいた)20ピンのほうはATX電源と同じだから問題はない。入手方法に頭を悩まさなければならないのは10ピンのほうだ。ひょっとしたらそこらへんにころがっていないかと思い、近くの店を回ってみたがやはりないようだ。これは秋葉原にいくしかないか。
さて、6月18日の日曜日。私は秋葉原であれこれの買い物をしていた。いままで避けて通っていた半田付けにも挑戦せねばならない。そのためには半田ごてを買い、ビニールテープを買い、電源スイッチを買い、電線を買い、、総額は大したことはないのだが、やたらと品数が増えていく。しかし肝心の10ピンコネクタはガンとしてみつからない。
正確に言えば似たようなコネクタを山ほど扱っている店があることはわかった。しかしそこにはやたらめったらとコネクタが存在しており、はたしてどれが正しいコネクタなのかさっぱりわからない。おまけにコネクタだけでは用は足りず、それに電線を装着しなければならないのだが、そのための工具も必要になってしまう気配である。
もっと簡単な製品はないか、と思いふらふらとMacintoshの中古屋を回る。とある店でPowerMac7500が「ベアボーン」つまりCPU,メモリなどいっさいなしの状態で売られているのにでくわした。これこそ私が求めていたものである。これをうまく使い回せばPowerMac7500+7500構想も現実のものとなるかもしれない。
しかしとりあえずは10ピンのコネクタだ。これがないことには7500+7500構想どころか7500改も動かないのである。しかしないもんだなあ、、と思いあちこち観ているとき、床の上に
「500円」
と値札のついた電源が置かれているのに気がついた。
未だにこれがなんの電源かはわからない。しかしその筐体から直接でているコネクタはピン数を勘定してみると10ピンである。そしてぱっと観たところ大きさも似通っている。しかしこの
「見た目が似通っている」
というのは結構くせ者で、これで今まで何度痛い目に遭ったかわからない。しかし値段がたったの500円だからあたればご機嫌だ。そう考えた私は最後にそのあやしげな電源を買ってアパートに帰った。
帰るとまず冷房をつける。この時期の昼間、アパートの中2階はサウナになっている。しかしMacintoshをいじくっているのは中2階だから、まずそこの気温をさげないことには作業もなにもできない。次に昼寝をする。こうした作業は頭がぼけた状態でやると絶対ろくなことにはならない。
目が覚めて、簡単に晩飯をすませるとさっそく電子工作の時間である。とはいってもそんなに難しいことをやるわけではない。まず買ってきた怪しげな電源からコネクタを外す。とはいってもほしいのはコネクタだけだから他の部分はばらばらであり、もう2度と元には戻りそうにもない。
なんとかお目当ての10ピンコネクタを外すとPowerMacの電源を落とし、どきどきしながら差し込んでみる。これがうまくはまるのには正直驚いた。なるほど。あそこに何故あんな妙な電源が山積みになっているかと思ったが、これが店側の意図したとこおだったのかもしれない。
さて、次には線の被覆をひたすらはいで、端子台(これも自分が買ってきた物)につないでいく。この被覆をはぐ、という作業は昔から苦手だ。ちからいっぱい切れ込みを入れるとなかの導線まできれいに切れてくれる。切れ込みが浅いといくら力をいれても全然はがれてくれない。そのうちとうとう指に切れ込みがはいってしまった。
しかし「あとはなんとかなるかもしれない」と思っている物だから作業はでれでれと進んでいく。まずはATX電源から一度コネクタでうけ、その先の線を各電圧ごとにまとめるところから始まっていく。そのうち端子台にあまりにたくさんの線をつっこんでいるのではないかという疑念に駆られ始めた。しかしのっている時はそんなことは気にしない。
買ってきた電源のオン・オフスイッチを取り付け(ここでまたもやはんだごての登場だ)だいたいできあがったのは9時過ぎだった。
さて、ここで一息いれる。いきなり電源をいれて試験してみたい気分に駆られるが、そういうことをやるとまずまちがいなく結線ミスから火花が飛ぶことになる。しばらく呆然としたのちに配線をチェック。そして緊張の「電源スイッチオン」の時間だ。
どきどきしながらスイッチをいれるが何も変化がない。ファンがまわるはずなのだが。。。どこかがおかしいのだろうか、と思い電圧をチェックしてみるとこちらはおおむね正常にでているようだ。では何故ファンがまわらないのか。
あれやこれやとやっているうちに真実が判明した。PowerMac7500の電源ファンの音がうるさすぎて、ATX電源のファンの音が聞こえなかったのである。手を送風口にかざしてみるとかすかに風が感じられる。どうやら動いているようだ。
私はこれで大変心強くなった。これで10ピンコネクタは完成。あともう一つのコネクタさえつけてしまえば、今日中に完成するかもしれないではないか。勇躍配線図とにらめっこして、コネクタのとりつけである。
そのうち頭の中に「????」が浮かび始めた。どうも配線図とコネクタが会わない。。。うげげげげっ。Macintoshのコネクタは20ピンではなく、22ピンではないか!これでは配線図とあうわけがない。
しばし呆然とすると風呂にはいるために下におりた。22ピンのコネクタをどうやって手に入れるかの目処も立たない。今日一日歩いて、いかにATX用の20ピン以外のコネクタを手に入れるのが難しいかは身にしみたのである。いずれにしても今日はもうどうしようもない。こういう時は布団をかぶって(最近は暑いからこれは比喩的な表現だが)寝ることにしよう。
さて、それから私の「22ピンコネクタ」を探す旅は続いた。最初は「秋葉原にはコネクタ屋がたくさんあるから、どっかにあるだろう」と考えていた私だが、どうも探し方が悪いのかあるいはコネクタ自体ないのかわからないが、なかなかあのタイプのコネクタ自体が見つからない。ましては22ピンにおいてや、というところである。一軒だけあのタイプのコネクタをおいてある場所をみつけて「これの22ピンはないですか?」と聞いた。相手は「いくつ?」と答える。「一つ」と返答すると「それじゃとても」と言われてしまった。たぶん100個とか言わないとだめなのだろう。
さて、それと平行してATX電源用ケーブルのコネクタを分解してコンタクトピンとケーブルを取り外す、という作業は行っていたのである。コネクタがみつかってもそのままではケーブルをつなぐ、というこれまた難関な作業が待っているからだ。コンタクトピンは共通のようなので、これを取り外しておけば、あとはコネクタにピンをつっこむだけだ。
しかしながらこの「コンタクトピンを外す」のがまたなかなか難問だった。あるWeb Siteには
「まち針2本使うと簡単に外れます」
と書いてあるのだがせっかく裁縫セットまで買ってまち針を手に入れたのにコンタクトはガンとして外れてくれない。同じページには「力任せにやっても外れません」と書いてあるから無理矢理引っ張ることはしなかったがこれはどうしたものか。。そのうち「力任せに引っ張る」次に野蛮な方法にうったえることにした。ニッパとカッターでコネクタをばらばらに分解しはじめたのである。
さて、しばしの労働の元に20本のケーブルつきコンタクトピンは手に入ったが依然としてコネクタは見つからない。溺れる物はわらをもつかみ、コネクタがみつからないものは大須に頼る。名古屋にも大須という、秋葉原の超小型版のような場所があり、バンドの練習のため帰省した私は「ひょっとして」の期待をいだきながらそこをぶらついたのである。
さて、秋葉原の小型化版というだけあって、確かに秋葉原にある店のような店はあるのだが、如何せん数が少ない。コネクタ屋もあまり多くは存在していない。そして例によって例のごとく探索も不調の内に推移する。溺れる物がつかんだわらだからあまり多くは期待していなかったとはいえ、やはりないか。。しかしあのコネクタなしではこれ以上このPowerMac7500改の構想は進まないのである。無謀を覚悟で現在動いている電源のコネクタを取り外して使おうか。。
そう思いながら帰途についた私に、ふと一軒の中古屋が目に入った。ありがたいサインとして店頭に中古Macintoshが山積みになっている。ということはこの店はDOS/Vばかり扱っている訳ではない。
ちょっとだけ希望を取り戻してその店に入ってみる。一通り店内を見回したが、やはりコネクタのようなものはないのである。しょうがないな、と思いふと視線を落とすと電源が放り込まれている箱を見つけた。ジャンク品につき捨て値処分という奴である。この前秋葉原で買った10ピンコネクタ付きの電源もおいてある。かくも大量にあちこちに存在しているからには何か理由があるのだろうか。
さて、何かの間違いで22ピンのコネクタを使っている電源はないものか、と思いあれこれひっくり返す。そのうちたくさんのピンがあるコネクタが目に入った。おっこれはと思いひっぱりだすとなんとそれは「死んでます」という注意書きがついたPowerMac7500の電源ではないか。
瞬間私は飛び上がろうと思ったがやめた。(さすがに人目は気になるのだが)意気揚々とレジに持っていくと相手に「動かないかもしれませんが、いいですか?」と言われた。私にとって唯一必要なものは目に見えているコネクタである。私は
「ノープロブレム」
と言いたいのをぐっと押さえ「結構です」と言った。
さて、横浜に帰ると選挙速報など見ながらさっそく半田付けの時間である。例によって電源からコネクタをちょんぎって外し、リード線を半田付けし。10ピンのものに比べてピン数が多いから時間はかかるがだいぶ要領もつかめてきてカッターで指をきるようなこともない。
しばしの労働の後にすべての配線は完了した。一応電源をいれ、テスタで電圧をチェックしてみるがなんとか動いているようである。さて、ここで考える。このままつないでみようか。それとも明日までまとうか。今勢いだけでつないでしまうとどうもロジックボードから火花が飛び散る気がする。なんと言っても私は自分が間抜けなことに関しては自信があるのだ。
TVからは選挙速報の単調な読み上げが続いている(私は選挙に関してはNHKしか見ない)しばし停止した私は衝動的な行動に走りはじめた。PowerMac7500の電源を落とすと配線をつなぎ変えはじめたのである。シャットダウン中の画面を見ながら
「このMacintoshの画面を見るのはこれが最後になるかもしれないな」
と思いながら。
さて、あれこれと配線は終了する。ここまで来たらもう後はなんともしようはない。ATX電源の神様に祈りをささげてスイッチオンである。
瞬間大きなファンの音が響いた。それとともにハードディスクのアクセス音も。どうやら起動をしはじめたようだ。それでも初期画面が表示されるまでの間はとても長く感じたが。
それからあれこれ操作をしてみて、私は(とりあえず)このATX電源はその役目を十分に果たしている事をしった。これで7500改構想はまた一歩前進である。しかしそれと同時に私は一つ失望感も味わっていた。
7500の電源というのはファンが変な位置に着いている。何故か筐体内部に下向きに取り付けられているのだ。そしてこの音がやたらとうるさい。どうもケースファンと電源ファンを共用しているがために必要以上に強力なのではないか、と思った私は
「ATXのに交換すればきっと静かになるに違いない」
と思いこんだ。しかし現実はそれほど甘くはなかったのである。この電源のファンの音も同じくらいうるさいのだ。(これは二日後サーミスタによる速度調整式のものに変えてみたがほとんど変化がなかった。さらにもう一度電源本体と同じくらいの値段のファンに変えてようやく我慢できるレベルになった。)
しかしちゃんと動いていることに変わりはない。私はご機嫌になった。今日はお風呂にはいってもう寝よう。いよいよ「薄い皮」の構想に取りかからなくはいけないようだ。