題名:巡り巡って

五郎の 入り口に戻る

日付:2006/5/9


紫峰人形美術館 -前編: 愛知県(2006/4/26)

2006年4月の26日午前10時。私は愛知県にある「吉浜」という駅に降り立ち呆然としていた。何故平日の朝っぱらからこんなと ころにいるのか聞かないで欲しい。とにかく来てしまったのだ。

駅前に立ち当たりを見回すと「吉浜人形」という看板が遠くに見える。あちらであろう、ということでてくてく歩き出す。この「吉浜人 形」という言 葉は名古屋エリアに在住していた私の意識深くどこかに刻み込まれた名前である。しかしそれが「吉浜」にある人形屋である、ということを知ったのはここ数ヶ 月のことだ。等と考えているうちに吉浜人形が見えてきた。

しかし私の目的は人形を買うことではない。その隣に目的とする建物が見えてきた。

建物外観

今日の目的地紫峰人形美術館である。パンフレットに曰く「全国唯一 人形のテーマパーク」とのことだが、果たして中はどのように なっているのだ ろう。自動ドアをくぐるとすぐ受付がある。一階は無料だが2階より上が800円。上を見ますか、という意味の事を問われるのでハイと答える。紙の人形の形 をした入場券を渡してくれる。とても係の人の愛想がよい。そちらからです、と言われるまま2階に向かう。写真撮影自由という張り紙が嬉しい。

2階に到達するといきなりこんな光景が広がる。

2f-enter

流れているのはマツケンなんとか。その音楽が実にぴったりくるきんきらきんの世界である。鏡をうまく使って実際以上に空間を広く見 せている。本 当は一体一体の人形も細かく観るべきなのかもしれないが、これだけ数があるとそういうわけにもいかない。後でパンフレットを読めば「浅草三社祭、 秋田かんとうを始め日本のお祭りを一同に展覧しております」ということなのだが、その場では「人形いっぱいあるっす。すごいっす」としか頭の中に浮かんで こない。

2f_up

ほげーと思いながら歩き出す。2階には他にも色々あったのだが、最初に観たもののインパクトが強すぎてあまり覚えていない。。。が パンフレット をみるうち思い出した。同じ人形がぐるぐる廻る物として「参宮道中膝栗毛」がある。お伊勢参りは大変でしたが、みんながんばって参拝しました」というのを 四季の風景とともに展示というやつだ。

伊勢参り

その先には日本昔話劇場というのがある。客席があり舞台があるが誰もいない。ボタンがあり、それを押すと「あと一分」という電光文 字がでた。左 様か、と思い座っているといきなり館内放送が流れ出す。「間もなく2階で日本昔話劇場を開演いたします、、」少し驚いた。まもなく開演。6分間に4っつの 昔話が人形で再現される。それに合わせた童謡も流れる。「昔昔浦島は」とかそんな調子だ。ところが2番めの一休さんだけ「スキスキスキスキスキ ッスキ  愛してる」のアニメのテーマソングなのはいかがなものであろう。

その先には「江戸の町を再現した」という人形のジオラマがある。右回りは江戸の普通の街。左回りに進むと遊郭が再現されているとの こと。私のような中年は当然左から廻るのである。とはいっても18禁の場所ではないからそんなに露骨な描写はない。せいぜいこんなものだ。

のぞきその1

というわけでこの「覗き」にはこの後何度かお目にかかることになる。たとえばこんなのとか。

覗き

ふと横を向くと「浮世風呂」という題でこんなディスプレイがある。

浮世風呂

女性の世話をしているのが三助なのだそうな。そういえばそんな「歴史漫画」を読んだことがあったが、女湯にもいたのか。そして例に よって屋根の上にはこんなのがいるのだった。

屋根覗き

ほげーと思いながら三階に上がる。するといきなり目の前にこんなものが回り出す。

回転大仏

奈良の大仏建立風景を再現した回り舞台。ううむ。本当にこんなにたくさんの人間が一度に登ったのだろうか。でも人力で全て作るとな ればこんな光景だったのだろうなあ。壁際には日本の歴史ということで、いくつかの場面が人形で再現されている。例えば日本の誕生はこんな様子。

日本の誕生

分かりやすいと言えば分かりやすい。その隣に縄文時代があるのだが、この子供達はどうにかならぬものだろうか。

縄文時代の子供達

最初だけ神話だったがここからはリアルになるわけね、などと考えてはいけない。その隣にあるのはこれなのだ。

天の岩戸

天の岩戸がほーれほれである。ここは順路に沿っておおむね時代順にはなっているらしいが、こういう前後があるから油断ならない。ど ういう基準で 場面を選んだのか理解に苦しむものも多い。鎌倉時代は日蓮上人の説教風景だけ。室町時代は金閣寺と応仁の乱である。最後にはやはりこれがくるのか。

原爆

これとかあるいは隣の「日本海海戦」にはほとんど人形がでてこない。一応人形屋さんの美術館なのだが、それでいいのだろうか、と頭 をかしげながら奥に行く。まだまだ先には人形が続いている。

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注釈