日付:1999/7/5
前半戦当日私はよれよれになりながら待ち合わせ場所に向かった。
何故よれよれであったかは定かではない。私は7月1日から新しい職場に移った。特に最初の二日間何をしたわけではないのだが、やはり職場を変わると言うことは心身にストレスを与えるものなのかもしれない。それでなくても前の職場では心理的なストレスのために半死半生になっていたのだ。そのダメージが一日二日で回復するとは思わない方がいいのかもしれない。
待ち合わせ場所であるななちゃん人形の足の下についたのは例によって待ち合わせ時間の5分前だ。首をぐるりとまわしてみたが、誰もまだ来ていないようだ。壁にへばりついて、スヌーピーなどを読んでいた。ななちゃん人形の下ではあやしげなおじさんが虚空をみつめて何か叫んでいる。この場所の風景というのはいつ来ても変わらない。合コンらしき待ち合わせ、友達の同士の待ち合わせ、それにデートとおぼしき待ち合わせ。色々な人がいろいろな理由で集まっている。私はそうした光景をぼんやり見ていた。
そろそろ時間だな、と思ったときに視界に現れたのはbunである。「どもども。ご無沙汰してます」とお互い頭をぺこぺこさげた後にいろいろ話し出した。彼は今大変忙しい生活を送っているらしい。今日も出勤。明日も出勤だそうだ。そうした忙しい生活を送っていても(内面はどうかしらないが)あまりその疲れが表にでないのが彼の元気なところだ。私が同じ生活をしたら、杖をついているかもしれないのだが。
さて我々がなんやかんやと話している間にもう一人視界にはいってきた男が居る。スキンヘッドの質量が大きそうな体格だ。私の目には彼の周りの重力場がひずんでいるのが見えるような気がした。なんだ?と思った瞬間に誰か判明した。なんと頭を丸めて4日目のHNYであった。
bunとHNYは同じ工場のなかで働いているが、そんなにしょっちゅう顔を合わせるわけではない。彼は私とともに「なんすか。それ」ってな感じで目を真円にしている。この俗な世間に別れをつげようと思ったのだろうか。それにしてはこうして合コンに来ているのはおかしい。などと考えてみたが、HNYがかたるところによれば、まあ別に特段の理由はないとのことである。世の中で何度かスキンヘッドの男性を見かけたことはあるが、知っている人間でやったのは初めてだ。私は色々な質問をしはじめた。
どうやって頭を丸めるんだ?と聞いたら、床屋は一度バリカンで髪の毛を刈った後にきれいにそりあげてくれたのだそうだ。手入れが大変だろう?と聞いたら、今まで2回自分でそったそうである。電気かみそりなる文明の利器を所有していない彼は安全かみそりでぞりぞりそっているんだそうな。鏡で見える前のほうはいいとして、後頭部をきれいにそるってのは結構技量を要することではなかろうか。しかしその結果はなかなか捨てた物ではない。実際彼は一週間前に会ったときには彼の言うところのスポーツ刈り、いわゆる短髪であり、それはそれで決まっていたのだがこちらのほうが合っている気がする。一見アメフトの選手のように見える。「今日は”アメフトやってました”と言うと受けるかもしれないぞ」などとくだらない会話をしているうちに、ふと時計をみれば、もう待ち合わせ時間をすぎている。
YDにしては遅刻とはめずらしいな、、と思ってなにげないふりをしてしばらく待ってはみたものの、まだ彼は現れないのである。彼にあうのは数年ぶりだからといって、そんなに容貌がかわったわけでもあるまい。。。bunが彼の携帯に電話をしてみたが、返ってきたのは「電源がはいっていないか、電波のとどかないところに。。」というメッセージである。
しかたねえな、、と待っていたが、私には彼がこの時間にここに現れていない現実を説明する一つの理論があった。一度男性だけで待ち合わせをして、しかるのちに女性との待ち合わせ場所に出向く、というのはYDの得意技である。きっと彼は別途女性との待ち合わせ場所に行っているのではないか。そして女性に遅刻してきた人でもいて、そのためにYDがここにまだ現れていないのではないか。
私は概略このような理論を述べた。bunとHNYは半信半疑の顔である。そこに現れたのは誰あろうYDだ。彼は「いやー。すいません。遅刻してしまいました」と言った。
話を聞けば私の予想の前半は正しかった。今日の女性との待ち合わせ場所はここではなく、待ち合わせ時間は15分後なのである。我々はではとりあえず、ということで、本来の待ち合わせ場所であるレジャックビルの1Fに向かった。
その道の間私はYDと話をしていた。なんといっても彼と会うのはひさしぶり。その間彼は退職して留学してそしてまた就職しているのである。まず、ということで今の仕事の話を聞いたら、長野のほうに数度出張にいっているとのこと。電車がやたらと揺れるのでよってしまったと嘆いていた。
そんな話に花がさいているうちに待ち合わせ場所についたが、まだ時間前と言うこともあり、相手は現れない。男同士で近況報告などに花が咲いた。bunとHNYはともにめちゃくちゃ忙しい状態のようである。HNYは夜の11時過ぎに部屋のとじまりをして鍵をかえしにいったら、「今日は早いですね」と言われたとのこと。ふと我が身を振り返ると、毎日暇をつぶす苦労だけが存在してる身分である。こうした仕事量の不均衡というのはいったい何がどうして生じる物であろうか。
などとぶつぶつ考えている間に女性が登場した。なんでも女性2名は今日も仕事で遅れてくるそうである。我々はYDとともに、現れた二人の女性-後にメロンパンと科学館と呼ばれることになる-に挨拶をした。
これで一応人数はそろったことになる。我々は女性を先頭に今日予約した場所にてれてれと歩き出した。YDから聞いたところでは今日の店の選定と予約は全部女性がやってくれたとのこと。であるからして我々はひたすら女性の後をついていくしかない。やれ会社のだれが退職しただの、誰はまだいるだのいう話をしながら女性を見失わないことだけを考えてついていった。従って実は自分がどこにいったのか全く覚えていない。
正確な位置は覚えていないが、かなり名古屋駅から遠い場所であったことは覚えている。bunがしきりに振り返っているので、「何だ?」と聞けば、彼は今日車できているので駐車場からあまり遠くはなれたくないらしい。おまけにその駐車場は10時にしまってしまそうである。実際この後駐車場探しでbunはかなりの苦労を強いられることになる。
我々の目的地はとあるビルの地下であった。くねくねと廊下を曲がっていくとつきあたりに洋風の飲み屋がある。いらっしゃーいとかなんとかいう声に迎えられてはいってみればテーブルと座敷と両方存在している。どちらかなと思ったらテーブルらしい。
さて、目的地には到着したが、席決めはいつも時間を要する事柄である。おまけに今日は少なくとも当初は女性の数が男性の半分だからなおさらだ。以前YD合コンのリターンマッチで早々と腰をおろしてしまい、結局「女性に座ってもらおう」ということになってまた腰をあげたっけな、、と妙な思い出にふけっている間に、女性は並んで座りだした。そこからなんのかんのの交渉のあげく、最終的に決まったのは以下の座席である。男女比がくずれていることもあって、ちょっと例を見ないほどへんな配置である。
今日はすでにコース料理を頼んでいるので、料理の注文に頭を悩ませる必要はない。しかし飲み物は別途注文しなければならない。男は「ビール」ということで簡単に決まった。なんといっても今日は気温はどうだか知らないが湿度は人間を不快にするのに十分なほど高かったのである。
女性もビールか、と思いきやそうではないらしい。科学館はカルアミルクを注文したし、メロンパンは赤ワインである。二人が注文したのは何かの種類のアルコール飲料であるから、別に飲めない、というわけではないようだ。最初の会話のとっかかりという意味も含めて聞いてみれば、メロンパン曰く「ビールはにがいから飲めない」だそうである。後で聞いたことであるが、その代わりといってはなんだか彼女は牛乳が大好き。夏には1リットルは飲むそうである。それでおなかこわさない?と聞けば全く大丈夫だそうである。しかしそのために1リットル分のカロリーは確実に体重にはねかえってしまう。従って最近は麦茶を飲んで我慢しているとのこと。
さてそうこうした会話をしている間に飲み物がとどき「かんぱーい」となった。普通であればここで自己紹介となるところではあるが、今日はまだ女性がそろっていないこともあるし、もう結構話がはずみはじめていたので、結局そのままわーわーと会話が続いていった。
聞けばメロンパンと科学館は同じ社会人のテニスサークルに所属しているそうである。こうした会社を越えたスポーツサークルというものが存在することを知ったのは合コンを通じてである。私たちが勤務していたのは人里離れた遠隔地の工場であったから、こうしたサークルは存在しようがなかった。そのテニスサークルは結構体育会系ののりをしていて、夏の合宿などは文字通り一日中テニスをしているということである。もっともメロンパンは現在では本職のテニスよりもイベント対応専門になっているとのことであったが。
そこから始まってマラソンで5km走った話とかなにとか、色々私は彼女と話していた。その間に科学館とそのほかの男の子達の間ではこれまた話がもりあがっているようである。私は目の前のメロンパンと話しているのだから、彼らの話をちゃんと聞いていたわけではない。ここでメロンパントちゃんと会話をしながら、科学館のプロファイルを正確に把握できるようであれば私は「乱世の姦雄」と呼ばれるかもしれないが、所詮私は平凡な小心者である。断片的に耳に入ってきたところからすると彼女は名古屋市立科学館に勤めているそうである。
思えばどこの都市にもこうした科学全般の展示がされている場所というのはあるのかもしれないが、私にとって名古屋の中心近くにあるこの科学館の思いではつきない。子供の頃は何度行ったかわからないくらいだし、中学生になってから行ったときも、大学生になってから行ったときも、それどころか社会人になってからデートでいったこともある。入場料は安いし、雨が降ったときなどは格好のデートコースになりうる。実際そのとき結構20歳以上のカップルとおぼしき連中が結構いることを発見して驚いたものである。もっともすべての女性にうけるとは限らないだろうが。
今をさること30年以上前、幼稚園のころにつれていってもらった時は(父に言わせると)プラネタリウムで空一面に星座と黄道を示す線が映し出された時に「あ。誰か空に落書きした」と大きな声で叫んだそうだし、小学生のころはボタンを押して走り回っていただけだが、その展示の内容が何となくでも理解できるようになったのは大学生になってからだ。今はどうかしらないが、当時は各階のところどころに女性がたっていた。そして質問をするといろいろ答えてくれた物である。中には自分で作ったノートをめくりながら一生懸命答えてくれた人もいた。科学館(これは女性の名称)もあの女性達のような仕事をしているのだろうか。
そういう仕事であるから土曜日、日曜日はかきいれ時である。従って彼女は今日出勤であったし、明日も出勤だ。一つbunやHNYと違うのは彼女は月曜日に休めることである。そういえば小学生のころ、春休みなんかにあんまり暇だからというわけで科学館に向かったのはいいがその日はたまたま月曜日で定休日。科学館に近づいたところではわくわくして小走りになって転んでしまったほどだったのにがっかりして帰ったこともあったな。。などと私は妙な感慨に耽っていた。
さてそんな思いでは別として、そのうち話題はホームページのことになった。bunと私は自分のホームページを持っているし、YDも自分のバンドのホームページを改装中である。彼が「完成したら知らせますからリンクよろしく」などと話していると前では女性がきょとんとしている。私は行きがかり上「いや、実は我々はホームページを持っていて。。」などと説明しだした。そして「私のホームページには合コンのドキュメンタリーとか書いてあるんですよ。はっつはっつはっつ」と言った。
すると話題は当然のことながら「今日のことは書くの?」というほうに向かった。私は誰かが明確な反対意見を述べない限り載せるつもりだと答えた。そして女性二人に向かって言った。
「私が書く合コンドキュメンタリーでは、女性はあだなで呼んでます。従って何か希望があるならば今のうちに教えてくださいな」
こうして今しらふにもどってキーボードでうってみると「なんなの。この男は」と自分でもいいたくなるような妙なセリフだが、本当に言ってしまったのだからしょうがない。どんなに後悔する事であろうが、とにかく覚えている限りの事実を書くのが私の主義である。
さてこういいながら実は目の前に座っているメロンパンにつけるあだ名は心のなかで考えついていたのである。彼女は容貌といい、話し方といい、どことなく山瀬まみ、という芸能の方を彷彿とさせるのである。私はその考えをどうしても黙っていることができず彼女に聞いてみたが「いや。そんなことは言われたことがない」とあっさりと言われてしまった。
さて彼女は自分の名前は「メロンパン」にしてくれ、と言った。なんでもパソコンで飼うことができる何か(これがなんだか忘れてしまった。動物飼育のシミュレーションプログラムだと思うのだが)にメロンパンという名前をつけているのだそうである。そこで間髪をいれずにYDが「メロンパンの作り方ってしってますか?」と聞いた。
彼女は「メロンパンは大変ですよー」といって簡単に説明してくれた。考えてみればメロンパンというのは幼い頃からの好物であるがその製造方法は考えたことがない。なんでも通常のパンの上に、クッキーの生地を薄くはりつけるのだそうだ。そう言われてみればメロンパンというのは中は普通のパンだが、表面はちょっと堅くなっている。あれはクッキー生地だったのか。。。
などと考えている間に今度は科学館に質問である。彼女は「テニスにしてください」と言った。考えてみればメロンパンとはテニスサークル仲間だからそれは妥当なところだ。そこからどう話が発展したかあるいはもっと後にでた話題だか覚えていないが、彼女はスキー2級の腕前なのだそうである。知り合いに大変スキーが好きな人間がいて、その男が「何故自分は2級を受験してすべったか」という話を大変事細かにしていたのを覚えている。となればスキー2級とは左手で簡単にとれるものではないのだろう。。。などとその話はそこでまとまった。しかしながらその後科学館の話題が多く語られるにつれ、彼女の名前は彼女の意志に反して「科学館」が妥当であろう、というコンセンサスが形成されていったのである。
さてなんのかんのと話している間に、後にのりかと呼ばれるようになる女性が登場した。その数分後にローズと呼ばれる女性も登場し全員がそろった。YDがグラスと皿をもって奥にはいり、座席の配置は以下に示すようになった。
この前か後か覚えていないのだが、ここにおいてようやく恒例の自己紹介が始まったのである。
自己紹介はまず女性が順番に名前だのなんだのをいって、それに男どもがよってたかって質問をする。その後男性、というふうに進んでいった。自己紹介であるから、なんとなく質問のパターンというのが決まっていく。だいたい「どこに住んでますか」と「趣味は」という質問が繰り返されるのである。そして受け答えの内容によってはいきなり話題がそちらに飛んでいってしまうこともある。そのうち誰かが「そういえばだれそれの自己紹介の途中だった」と思い出して話が元にもどる。そんな感じである。
メロンパンと科学館はすでに述べてあるので省略。ローズとのりかは同じ病院に勤めていて(看護婦さんではない。)のりかとメロンパンは中学生の時からの友達だそうである。メロンパンとのりかの間の情報は実によく共有されていて、のりかの頭をこつんとたたけば、メロンパンが「きゃん」と言うくらいなものだそうだ。
さて自己紹介の間に、遅れてきた二人にも私は「ホームページで呼んでほしい名前があれば今のうちに言っておいたほうがいいですよ」と脅迫まがいの事をいった。するとローズは「テャータニック」が好きだから、主人公であるローズと呼んでほしいと言った。私があちこちで「あの頑丈な女」と呼んでいる女優である。彼女に好きな俳優を尋ねたところ(当然というべきか)ディカプリオだという。ここで某雑誌の特集にあった「あなたはディカプリオ派?それともブラピ派」という質問をしてみたが、そこにいた女性は全員「えっつ?ブラピのどこがいいの?」というような反応であった。男からみればまあどちらも女にもてそうね、くらいの感想しかもてないのであるが。
さて話題はここから、彼女が好きな映画の話になった。(こう考えると映画というのはこうした話のねたとしていかに有効であることか)一番にあげられるのは(これまた当然だが)「てゃーたにっく」である。ビデオを購入した物の人に貸してばかりいるのでなかなか自分の手元にもどってこないとのこと。逆に彼女は最近みた映画のなかで一番の大はずれはShakespeare in loveだといった。なんと途中で半分寝てしまったそうである。
私はこのセリフを聞いて逆上した。なんということだ。私が映画評で「ひさしぶりにすばらしい芸、技をみたような気がする」という映画が近年まれにみる大はずれだと?完全なよっぱらいと化した私は概略そのようなことを彼女にわめき立てた。すると彼女の周りでは「あれは大はずれだ」ということで意見がまとまっているのだという。うーむ。なんということだ。
それから映画についての話題がしばらく語られた。bunとHNYはあいかわらずてゃーたにっくを見たことがないそうである。ではbunの好きな映画は?と聞いたら、彼はいくつかあげたのだがどちらかといえばマイナーな映画であり、ここで題名を思い出すことすらできない。やはり根がパンクのbunとしてはメジャーな有名になった映画をへれへれ見るなどというのは許されないことなのだろうか。
そこからやれあれはどうだ、とかこれはこうだとかいう話題が語られたところで誰かが話を戻した。今はまだローズの自己紹介中である。
ちなみに彼女の趣味は「食べ歩き」だそうである。もっぱら国内をあれこれ旅行してあれこれ食しているのだそうだ。特に女性は旅行に行った先で、その土地の名物であるとかそういうたぐいのものを食べるようである。私にはそういった本能はまったくそなわっていない。旅行に行こうがなにしようがだいたい食べる物は一緒である。などと妙な感動をしている間に自己紹介は女性最後ののりかに移った。
何故彼女がのりかとよばれるか?彼女は「藤原紀香」を目指しているのだそうである。そこから藤原紀香についての話題がしばらく語られた。「彼女は最近出過ぎだ」という意見もあったが、人に見られるのが商売なのだから、値段が高い間にがんがんうるのはまあ責められることではなかろう。私は芸能人の関係にとても疎いので、藤原紀香なる女性の存在を知ったのはずいぶん最近になってからである。弟に「藤原紀香ってなんだ?」と聞いたら、「なんだおまえしらないのか。Real峰富士子(字があってるかな)と呼ばれて居るんだ。なんかの格闘技の試合を見に行ったときに来ていて、格闘技そっちのけで藤原紀香のほうばかり見ていた」なのだそうである。
さてその藤原紀香の名前を名乗るというのはたとえそれが「目標」であったとしても大変厳しかろう、と思ったのだが女性達に言わせると別にそれは問題ないのだそうである。考えてみれば私が書いている合コンドキュメンタリーシリーズにも自称中山美穂と、中山をめざして「ミポリ」と自称している女性がいるわけだからこうしたことはそれほどまれなことではないのかもしれない。女性達の間で藤原紀香の評判を聞くと概して良好なようである。彼女の写真集を(借りて)見た、というのが科学館と誰かであった。男性の場合であれば、かりに最近鉄道員とかいう映画で高倉なにがした有名になったとはいえ、まず「私のあこがれは高倉某」とは言わない。そんあことを言えば馬鹿にされるのは目に見えている。100歩譲ってそういったとしても(仮に人に隠れて見ていたとしても)その写真集を見たとは口が裂けても言わないであろう。
さて話を半分くらい戻そう。女優には女性にうける人と受けない人がいる。私が知っている限りにおいて後者の代表例は元ミス・マガジンの南野洋子だ。私の弟は女神のごとく崇拝していたが、女性に聞いて帰ってきた一番よい反応というのは「へっつ?」である。私は未だにどういうタイプがうけて、どういうタイプが受けない、のか一般化しようとして成功したことがない。全く根拠はないが藤原紀香は受けないタイプかと思っていたがそうではないようだ。
さて女性の自己紹介が一段落したところで、今度は男性である。男性の自己紹介は基本的にあまり興味がないと思うのであっさり省略しよう。途中HNYのところで、隣に座っていた科学館が「あら。HNYさんて大きな声がだせるのね」と妙な感心をしたことくらいである。そう思って彼の方を見ると、ちょっと薄暗い店内に頭がきらきらと光って見える。頭をそりあげた効果というのは偉大なものだ。ちなみに彼の「髪型」は女性になかなかの受けをとっていた。これは必ずしも「お笑い」という意味ではなくて、実質的な意味での受けである。
さて、自己紹介の中でも少し行われていたのであるが「みんないくつ?」という話題が次に語れた。こうなると日本の伝統であるところの「敬語」というのは実にやっかいだ。だいたい日本の文化のなかでは年上に対しては「○○さん」と呼び、年下に対しては「○○」でいいことになっているから、そこらへんをちゃんと聞き分けていれば判別は容易である。今からあわせてて「HNYさん。そんなことはないっすよ。僕は心外っす」とかなんとかいったところでその上限関係がごまかせるわけでもない。
さて、そうした長時間にわたる神経をすり減らすような会話の後に判明したことは私はとなりに座っているローズよりもAbout一回り、11年年上だということだ。うーむ。私が大学にはいったき彼女はまだ小学校の2年生だったのだ。そんなことをしゃべっていると(このときだったのか2次会のときだったのか覚えていないのだが)YDが「そのうち平成生まれとかを売り物にするAV女優が現れますよ。「平成の女」とかいうタイトルで」といった。さもありなん。平成元年うまれはいま10歳。あと8年もすれば確かにそういうビデオが登場するだろう。それがうれるかどうかはまた別問題であるが。
さてかのように会話は楽しく進んでいったが、そのうちbunが「私車動かさなくちゃいけないんですよ」と言い出した。時計をみればもう9時45分だ。なんと。わーわーわめいている間にこんなにも時間がたっていたのか。それをきっかけに我々は「では場所を変えまして」ということで席をたち、2次会に向かったのである。
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Shakespeare in love:(参考文献一覧)邦題は「恋に落ちたシェークスピア」誰がなんと言おうと私はこの映画は名作だと思う。本文に戻る