紅葉狩 解説
能とは 600年ほど前に作られた日本の舞台演劇。
謡曲とは 能は、舞、楽器、謡曲から構成されている。謡曲は能の音声部分。
独吟とは 時間短縮のため謡曲の「さわり」の一部分を独吟とした謡うもの。
謡曲・紅葉狩(もみじがり)のあらすじ
ある山の中で上臈が侍女たちに囲まれ、宴会が盛り上がっている。鹿狩に来た平維茂(これもち)一行は、まずは不審に思ったが、迷惑をかけまいと密かに通り過ぎようとした。
ところが上臈が出てきて引き止め、一緒に楽しくやりましょうと誘う。最初は断るが、美貌とお酒に心がゆるんでしまい楽しく飲んで寝入ってしまう。
いっとき後に、女たちは鬼女となって襲いかかってくる。
維茂は八幡大菩薩の夢のお告げを受け、また神剣を授けられ鬼女たちを滅ぼしてしまう。
今回の独吟はセレブが維茂を誘惑するシーン
《 紅葉を燃やし酒を温め苔の生えた岩の上の宴会。紅葉模様の衣装の紅顔の美女はこの世の人とも思われない。人の心は情けないもので、酒は竹の葉の露ほども飲むまいと思っていても、いざ盃に向かうと気が変わる。だから仏様も沢山戒めを教えているが「禁酒」を破ると、だらしなくアホなことを口走り、見られたものじゃない。
でも、考えてみれば、これも前世からの深い縁があってのこと。行く末を契りましょうとねだられて、心は山に懸かって動かない白雲のように行方を決めかねている。》