題名:巡り巡って

五郎の入り口に戻る

日付:2002/12/3


雲龍寺 : 東京都(2002/11/24)

晩秋というか初冬の冷たい空の下私は歩き続ける。ここはおうちからはるばる2時間電車にのった八王子だか高尾だかのあたり。京王の山田駅というところから歩いてしばらくの場所にそれは有るはずなのだ。

「遠くからも見える五重塔」があるはずだから駅を下りて適当にあるけばよかろうと多寡をくくっていた。ところがぎっちょん結構あるいているのにそれらしき建物は見えない。これはどうしたことかと思うがとりあえず歩き続けるしか選択肢はない。

そのうちこの辺りにあるお寺の案内図がでてきた。やれうれしや、きっとこれに書いてあるに違いない。そう思ってしばし地図を見つめる。しかし目的地である雲龍寺はどこにも見あたらない。はてはあまりにも珍妙なためにまともなお寺の案内図からはずされてしまったか。そうだとすれば私はここからどこに行けばいいのだ。呆然としてしばし地図の前にたたずむ。

そのうち有ることに気がついた。雲龍寺は京王線の南にあるはずなのにこの地図に記載されているのは京王線北側のエリアではないか。なんと私は出だしの一歩を逆に踏み出してしまったようだ。そりゃ見つからないわけだねえなどと一人頭をかきながら方向を90度転換する。京王線の下をくぐるとまもなくそれは見えてきた。雲龍寺五重塔である。

やれ、うれしやと近づいていくと入り口を塞ぐように大型のバスが止まっていることに気がつく。その両脇には狛犬というか本物の獅子像がある。

この光景を見ただけで異様な雰囲気が伝わってくるというものだ。後から気がついたのだが、どうやら私は裏口から入ったようだ。そこから五重塔にたどり着くまでに私の目に入ってきたのはあやしげな石像の大群であった。壁に沿って四天王像が並んでいる。手に何かグローブらしき物をしているのはいいのだが、どうも全体が南洋に浮かぶ島をイメージさせるのは気のせいだろうか。

普通に見える仏像の後ろでは何かが手を挙げ、そして可愛い犬が二匹いる。

隣では7人のこびとが西遊記に参加している

さらにはアヒルと猫らしきものがが大砲を構えている。何本かの大砲は下を向いているが気にしないことにしよう。

そこから目を転じるととにかくなにかやたらと居る。横たわっているのは本来五重塔のてっぺんについていたものではなかろうか。

さらには何故か2台の霊柩車が放置されている。

そりゃ確かにお寺だから霊柩車のご用もあるのかもしれぬ。隣接している霊場には高い高い煙突があるからひょっとするとそこで過去には人を焼いていたのだろうか。ここで「過去に」というのはこの霊柩車はすでにして廃車となっているからだ。頭を振りながらその奥に進んでいくと「日本の恩人」とここの所有者が考えている3人の像がでてくる。

[日本救民の恩人 日本占領軍司令官 諾楽守(ダグラス) 摩訶薩(マッカーサー)元帥閣下]

[日本再興の恩人 中華民国大総統 蒋中正介石大元帥閣下]

[日本独立の恩人 翠○(変換できません)華(スリランカ)国大統領 謝得和畄天寧(ジヤエワルデネ)博士閣下]

最後のスリランカ大統領については講和条約締結の時に日本に対する寛容と愛情を説いてくれた人とのこと。ただしインターネットをあさる限りでは「ジャヤワルデネ」と書くようなのだが。いや、それよりもそもそも何故この3人の像がこの寺に木に半ばかくれて並んでいるのだろう。

などと考えると頭痛がしてくる。すでにしてお腹は一杯状態なのであるが、まだ五重塔に登らなくてはならない。

(続く)

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注釈