題名:巡り巡って

五郎の入り口に戻る

日付:2002/11/17


雲龍寺-続き(2002/11/24)

普通五重塔というのは地面からいきなり立っていると思うのだがこの塔は下駄のような構造物を下にはいているから一階にいくために階段を上らなくてはならない。昇る階段に簡単な扉があるから閉まっているかと思ったがノブを回すと簡単に開いた。登ると目にはいるのは例によって像の洪水である。ここの所有者は金剛力士像になんらかの思い入れがあるに違いない。この寺に何体いるのか数える気にもならないほどだがここにもやはりいる。その隣には妙に素っ気ない顔をした像がある。

その奥には何が有るのだろう。のぞき込んでみるとそこにいたのは巨大な達磨であった。

その姿の異様さ、膝にかかえた多数の子達磨。いつそなえられたか知らないがすでに崩壊している鏡餅などを眺めているとここは一体なんなのだろうと思えてくる。寺に併設されている保育園の園児をここに連れてきたりするのだろうか。泣き出したりしないだろうか。あるいは聞き分けのない子供を連れてくるのか。

ここの異常さはこれだけにとどまらない。普通象鼻とよばれる部分からは金剛力士が飛び出してきている。

ようし。分かった。もうこれ以上金剛力士がでてきても驚かないぞと心の準備をする。さっき達磨をみた正面のちょうど反対側には巨大な獅子の顔が存在している。(その両脇にはやっぱり金剛力士が)

ふん。いまさら獅子くらいで驚く物か。すでにして私は悟りを得たのだなどと言っても無駄なことである。

この海賊達は何故ここにいるのだろう。そこから下を見下ろすと子供達が遊ぶのであろう遊具がいくつか見える。何事も「そうしたものだ」と思いこんでしまえば異常にも見えない物だが、子供達はこの海賊像をみて歓声をあげるのだろうか。そして成長したある日ここに戻りその異様さに絶句するのだろうか。下からはけたたましい鶏の鳴き声が響いてくる。何を感知したのかあるいは意味もないのか。日本語で言うところの「こけこっこー」という鳴き声をあげ続ける。

ともかくここはなんなのか。そんな疑問を抱えながら歩き出す。トンネルの下を通ると右手に保育園の平和な建物が存在している。その先には門があるのだがここにもやっぱり金剛力士がいるのはお約束。しかしその足下にいる招き猫は一体なんなのだろう。

ふと気がつけば足下にドナルドダックらしき石像もいるのだが著作権に異常に厳しいというディズニーは何か文句をいったりしないのだろうか。そのとなりには狸の布袋様らしきものがいる。

いったんそのエリアを離れるが隣には霊園がある。そこに入っていくと多少おとなしくなったとはいえまた石像の大群が居る。

これらはまあなんだか意味がありそうだからいいのだがこの石像はどう考えればいいのだろう。

ここに眠る人達もいる。普通の霊園に眠る人達もいる。おまえどっちか選べと言われたらちょっと返答に窮する所だ。死んでまでディズニーキャラクターに囲まれたくない気もするし、あるいはこれくらい変な方が性にあっているのかもしれない。

等と考えながらその場を後にする。振り返ってみた風景はやはりどこか異様な雰囲気を感じさせるのだった。

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注釈