クリエイティブなユーザーとは
2006-02-06 08:55
今までのパッケージ・ソフトウェアが「市場調査に基づいて、ユーザーが何を必要としているかを探り出して、そのニーズにマッチした商品を作り込んでから市場に出す」方式であったのに対して、ソフトウェアがサービスとして提供される時代には、「そもそもユーザーがどんなものを必要としているか、どんな使い方をするかを予測するのは難しいのだから、できるだけ自由度の高いサービスを提供して、ユーザー自身がその上でクリエーティビティを発揮できるように設計しておく」方式の方が有効なのである。
ううむ。と読んでうなる。これは確かなのかもしれない、、としばし考える。しかし何かがひっかかる。それは
「ユーザーに何を作ればいいか聞いてはいけない」
という命題の存在だ。ユーザーは多くの場合クリエイティブではない。これは多くの(私がまともと考える)本に書かれているし、経験上からも確かだ。
では二つの命題はどのような関係にあるのか?
想像だが、Web2.0でユーザが新しい使い方を発見する、というのはこのように起こるのかもしれない。
まず前提として、「ほとんどのユーザは自分の欲望に正直だ」ということに着目する。つまり作る側から見て開発にいくらかかっていようが、何年かかっていようが、使う気がなければ使わない。どんな「くだらない」改善でも役に立てば敏感に取り入れる。
Webで多くの人が同一の情報を共有することにより、、その中のほんの少数の人が「なんだ、こんな使い方があるじゃないか」と気がつく。(クリエイティブな人の割合がほんのわずかでも母数が大きければ存在する可能性は高くなる)
従来ならばそうした情報はその人の周りだけにとどまっていたのかもしれない。しかしWeb2.0の世界ではそうした「ちょっとした思い付き」もたくさんの人に共有される。
すると「自分の欲望に正直」なユーザはたちまちそちらに流れていく。そして「作り手が思いもしなかった新しい使い方」の誕生だ。
ちなみに「振り込め詐欺」とか「架空請求」がたちまち「普及」するのも似たようなメカニズムに基づくのではなかろうか、、などとふと考えた。ああいうことをやって金をもうけようという人たちは何よりも欲望に忠実なのではなかろうか(会ったことないけど)「自分が長年手がけてきた事業だから」と執着することもないし。