CES参加企業の素直な感想
2007-01-15 09:44
「もうハード頼みは通じない」米家電展示会「CES」が映すデジタル革新の峠越えより
「技術革新が消費者ニーズを追い越してしまった。結局のところ、勝ち組は、最先端の技術を使わず、消費者のニーズをソフトや使いやすさで汲み取った米アップルコンピュータと任天堂だけだった」(先の松下電器幹部)
自分達が絵に描いたような見事さで「イノベーションのジレンマ」に陥ってしまったことを素直に認めた言葉だと思う。その率直さを好ましく思うが、ここではこの幹部が使っている「最先端の技術」という言葉について考えてみたい。
おそらくここでは20世紀の家電メーカーが用いるところの「最先端の技術」と本来の意味での「最先端の技術」という二つの言葉があると思う。どういうことか?
「大画面化」「地デジ対応」「最長録画時間」「描画能力」など従来と同じ直線をひたすら延長するための技術が20世紀家電メーカーが言うところの「最先端技術」である。そうした意味からいけばPS3のCELLなどはまさしく最先端技術の結晶であろう。
しかしこれは私の考えでは「狭い定義」でしかない。任天堂の社長も強調していることだし、iPhoneを見ても感じることだが、これらはいずれも見事な技術が詰め込まれていると思う。Wiiに関しいえば、実用可能な(これは驚くべきことだ)ポインティングデバイス。それに常時Onという構想を可能にした省電力機能など。iPhoneに関して言えば全く新しいタッチパネル。搭載可能なOS Xとそれを駆動するハードウェア(あの表示の滑らかさに驚嘆しない人間は一度今のカーナビを使ってみるとよいと思う)
任天堂とAppleは、使いやすいさ、その製品がもたらすあるべき姿をきちんを描いた上で、それに必要なハード、ソフト、技術を開発しているのだ。それが
「この技術を磨いていけば売れるだろう」
と思考停止に陥っている20世紀家電メーカーと異なるところである。それらは任天堂の社長がいみじくも言ったとおり、今のロードマップや技術の潮流には乗らない。であるから延長線の上で生きている人間達にとっては「最先端技術」とは受け取られないだろう。
しかしそれらは「違う軸」の上で確かに最先端なのだと思う。違うと思う会社はとりあえずiPhoneやWiiをコピーしてみるといいと思う。