イノベーティブでなくちゃ
2007-07-09 00:00
情報の循環は必須ではあるが、過剰な管理はむしろ逆効果となり、社員の革新活動に向けたモチベーションを殺ぐ結果につながりかねない。むしろ今、イノベーティブな組織づくりに必要とされているのは、情報よりも情熱の循環をいかにして作り出すか、である。情熱の循環によって社員の意欲を高めるとともに、革新的成果に繋げる視点と仕組みが求められているのではないだろうか。
イノベーションには「情熱の循環」が必要だ (イノベーション解剖学):NBonline(日経ビジネス オンライン)イノベーションには「情熱の循環」が必要だ (イノベーション解剖学):NBonline(日経ビジネス オンライン)
というわけでイノベーションである。↑の記事に書いてある内容には考えさせられるところが多い。情熱を重んじるということは、個人をおもじんることに通じる。人間を「人月」で勘定する組織では絶対そうしたことは行われない。
さて、私はどちらかといえばイノベーティブでない職場で働くことが多かった人間である。というわけで
「イノベーションを推奨する企業が”思わず”やってしまう”間違ったイノベーション推奨方法”」
を列挙してみたいと思う。
- イノベーションは大事だからみんな新しい提案を出すように、と命令する。
- その結果提出された案を一部の人間がろくに読みもしないで没にする。
- そうして「うちの社員はやるきがない。全く新しい提案がでてこない」とぼやく。
- ぼやいていてもしょうがないと思い、「この前の提案は残念な結果に終わりました。皆様日常業務に追われて新しいことを考えるのは大変なのはわかりますが、時間は作り出すものです。私が若いころは(と以下340行自分の昔話が続く」というメールを出す、あるいは社員を会議室に集めて「檄を飛ばす」
- 日ごろの取り組みが大切だ、と思い「業務時間の20%はイノベーションにあてること」と通達を出す。
- 「一人あたり2件新規提案を出すこと」とノルマを課す。
- 「ブレーンストーミング」という手法がいいらしい、とどこかで読みさっそく社員を会議室に閉じ込めてブレーンストーミングをやろうとする。しかし途中から経営者の演説会になっている。
- 依然として提案は結局全部没にするのだが、やはりなにか報奨制度がないといけない、ということで「一番たくさん提案してくれた人」に年度末図書券を送る。
- よりイノベーションを促進するためにはやはり組織が大切だ、と思い「イノベーション創出室」を作る。発足時に大演説を行う。
- 人材獲得から考えなおさなければ、と思い「思いつきでぺらぺらわけのわからないことをしゃべりまくる人間」を採用する。
- 「若い人の自由な意見に期待する」ということで、新人、中途採用の人間をやたらと「イノベーション創出室」に配属する。そうだ、女性の意見も大切だというわけで女性社員も配属する。
- 「イノベーション創出室」では会議をたくさんしている気配はあるが何もでてこない。これはやはり組織改革を行わなければ、というわけで「イノベーション提案課」に名前を変える。
- 社員は決められた数の提案書を機械的に生産する。イノベーション提案課は定期的に会議を行う。
- 相変わらず一つも提案は外に出て行かないが、提案件数が増加したことにより「一定の成果が得られた」と満足する。
- そのうち本業が忙しくなり、イノベーションに関する全ての通達を忘れる。新規提案を考えている人間を「何を遊んでいるんだ」と怒鳴りつける。イノベーション創出室はゴミ箱になる。
なんだかこういう事がすらすらかけてしまう自分がいやだ。しかし↑で書いたことって本当に何度も経験したことなんだよなあ。。今はその気配がしただけで(首にならない程度に)無視するようにしてますが。
こういうことができる人間って、「人は命令によって動く」と思ってんだろうなあ。確かに命令で人を動かすことはできる。しかし人がもてる力を最大限に発揮するのは「自分でやろうとしていることをやるとき」だ。
「命令」によって人が動くときは、その「命令」をこなすことだけが目的。だから命令が消滅すれば直ちに行為も消滅するし、「命令」に対する「説明」が可能になった時点でそれ以上何もすることはない。
それに対し「自分でやろうとしたこと」をやるときには(場合によってだが)何度も「俺は本当にこんなことがしたかったのか。俺にできるのはこんなことか。足りないところはどこだ」と自問自答することになる。自分がやろうとしたことが、どうしようもない出来だったとすれば、それは自分がどうしようもない人間だ、ということになりはしないか。それが嫌ならまだできることがあるはずだ。