新旧メディアの戦場の違い

2007-07-18 00:00



コンテンツに対する尊敬の念を持って頂きたいと思う

ITmedia +D LifeStyle:「コピー10回だからこそ、補償金制度が不可欠」――権利者団体が主張ITmedia +D LifeStyle:「コピー10回だからこそ、補償金制度が不可欠」――権利者団体が主張


つまるところこの人たちの主張は↑この言葉に集約されるのだろう。つまりコンテンツとはとても貴重なものであり、それを使う際には許可を取り金を納めるべきものだ、という考え方だ。その金がどこに行こうが、あるいは誰がどのように使っているかは私のような素人にはさっぱりわからないのだが、彼らは「コンテンツに対する敬意を持つ」ことで「コンテンツとその周りに存在している人たち」を神聖にして侵すべからず存在としたいのだろう。


同じ日にこのニュースが流れたこととあわせて考えてみるのは興味深いことだ。


ゲームに押されテレビ視聴率が低下

本誌1105号(7月19日発行)

7月の第1週、日本のテレビ業界に大きな衝撃が走った。なんと1週間の間に放送された番組の中で、ゴールデン・タイムに視聴率9%を超えたものが1つもなかったのだという。業界関係者らは、これを任天堂の人気家庭用ゲーム機Wiiの影響によるものと分析している。

イギリス生活情報週刊誌 - 英国ニュースダイジェスト - 英国における日本報道イギリス生活情報週刊誌 - 英国ニュースダイジェスト - 英国における日本報道


この分析が正しいかどうかは今は問うところではない。確かなのは視聴者は不便を強いる地上デジタル放送移行前から「TV離れ」を起こしているという事実だ。さて、仮に私がTV関係者だとしよう。どういった対処の方法があるだろうか?


1)番組をより視聴者の視聴意欲を掻き立てるものにし、かつ視聴者が時間を使うほかの方法(Wiiだか携帯だかネットだか)と共存共栄を図る。


2)番組を視聴、利用するためにより高い障害を設け、その障害を回避するさいには「税金」を徴収することにより、広告料の減少に対処する。


今のところわが国における既存の著作権管理団体は2)の方向を指向しているようだ。(BBCそれに米国のメディアはより1)に近い立場だと思うが)そのうちTVの電源を入れるたびに課金することを主張するのではなかろうか。


インターネットの世界は徹底的に2)と逆の方向で成り立っている。いつぞやか「はてな」COOの講演で聞いた以下の言葉はいまだに記憶に残っている。


・ビジネスプランなど立てても無駄(どうせあたらない)


・トラフィックさえあればなんとかなる。


つまりコンテンツの流通を不自由にし、高い関税をかけることで収益を上げる-既存の著作権管理団体が愛する方法-のではなく、コンテンツ、人の行き来を自由に使いやすくし、そこから生まれるトラフィックから収益を上げる方法を見つける、というのがインターネットでのやり方だと思う。


かくのごとくわが国において新旧メディアは全く異なった戦場で異なる戦法で戦おうとしている。最終的に勝ち負けを決めるのは視聴者だ。そしてその答えはもう出掛かっているのではないかと思う。最初に挙げた記事に掲載されている写真は「白鳥の歌」を歌っているように思える。


あるいは私が言わんとしているところをもっと端的にあらわしているのがこのエントリーか。


日本政府が「放送と通信の融合」なんていうなまやさしい言葉を使って既得権者を刺激しないように丸くおさめようとしている間に、政府の規制の及ばないところで時代はどんどんと進んでいる

中島聡・ネット時代のデジタルライフスタイル:ブログ - CNET Japan中島聡・ネット時代のデジタルライフスタイル:ブログ - CNET Japan