心理学が学問たり得ない理由

2007-08-20 00:00



などと難しそうな題名だが、私は「心理学のセミナーに数回参加したことがある(聞いていたかどうかは別として)」という人なので素人の戯言と思って聞き流してください。詳しい人へ。


心理学の実験では「条件を統制する」ということがよく語られる。つまり科学の実験ならだいたいそうだと思うが、XとYの因果関係を証明するために、それ以外の要素は一定に保っておき、XをΔX変化させたとき、Yにどのような変化があるかを測定するわけだ。つまり変微分可能性を前提としているわけ。


なるほど。心理学が「サーカスの見世物」から学問であろうとして、こうした手法を真摯に追求した、という理由は理解できるし、その真摯さに感動もする。


しかし


問題は日常生活で私のような人間が興味を抱く「心理」というものはこうした「変微分可能な事象」とはかけはなれた観測も因果関係もさっぱりわからない複雑怪奇なものである点だ。そうしたものをおいかけようとすれば、まず「条件を統制する」というところで現実とはかけ離れたものになってしまう。


次に実験では「再現性」が重視される。つまり所定の条件を設定した場合、結果は同じであることが要求されるのだ。


しかしこの「再現性」が少し高度な心理に当てはまらないことは、私のような素人には自明に思える。同じ天気、同じ気温の同じ日に私はご機嫌でしょうか、しょげているでしょうか?こんな問題に単純な「再現性」があるわけがない。朝ごはんに何を食べるかを「統制」したところで結果は同じだ。


というわけで心理学が「科学」足りえるのは大変低レベルの心理的な動きに限られう、それ以上のレベルの話になるとかなり怪しくなる、、というのが素人の感想なのである。そもそも扱っているのが科学のまな板に乗りにくい、人間様の心理、というところが持って生まれた十字架なのかもしれん。


ちなみにそうした「心理学セミナー」で一番我慢ならないのが「心理学の実験はこんなにちゃんとやるのよ!工学系統の人間は何もしらないから困るわ!」という他の分野の人間を見下したような講師のしゃべり方だったりする。これも「研究補償説」の一例としてみればよいのかもしれないが。