コーエンのあいまい度
2008-03-10 00:00
前にも書いたが、まだこの本を読んだり、飛ばしたり、読み返ししたりしている。
- 作者: Gerald M. Weinberg, ジェラルド・M・ワインバーグ, G.M.ワインバーグ, 伊豆原弓
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2007/11/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
この中に「コーエンのあいまい度」という概念がでてくる。以下省略しながら引用する
「コーエンのあいまい度」は「過剰な抽象化」は意味と理解に対する最大の敵であるとの単純な前提に基づいている。
コーエンの手法を使ってあいまい度を測定するには、ちょうど100語のサンプルを使って、複数形も含めたすべての抽象名詞(中略)の数と全ての汎用名詞(分野、局面、基礎、概念、要因、支援、システム、単位など)の数を数える。同じくすべての抽象動詞と汎用動詞、すなわち漠然として不明確な動作を表す動詞の数を数える。コンピュータの分野でよく使う動詞でこれにあたるのは、完成する、影響する、許可する、実装する、関係する実行する、提供する、要求するサポートするなどと、各種時制である。
「ワインバーグの文章読本」P085より
さて、これを頭に置いた上で以下の文章を読もう。
CPMが単なる情報系システムではなく,「一連の業務プロセスとシステムのセット」であるということ。もう少し詳しく説明すると,「整合性のとれた管理制度によって,全体の状況をタイムリーに把握し,所定の判断基準とルールに沿って迅速・適正なアクションを起こす」という一連の業務プロセスとシステムのセットである。
第1回 見当違いな「見える化」:ITpro第1回 見当違いな「見える化」:ITpro
私の偏見によれば、システム構築関連のコンサルタントが書く文章にはこの類のものが多い。数行読んだだけでげんなりする。そしてさらに不思議なことだが、こういう文章を書いて多額の給料をもらう人がいる。まあ確かにこういう文章を書ける、というのは一種の才能だと思うが。
「一番上流」のコンサルティングにこういうあいまい極まりない文章を書く人がいて多額の給料をもらう。計算機を実際に動かすためのコードを書く人は「下流」に位置し、給料が下がる。システム構築業界だけには関わるまい、という決意を新たにする。