米国の超一流大学であることの強み
2008-04-09 00:00
ランディ・パウシュ教授の最終講義より。昨日聞いて印象に残ったところ。
このコースはとてもシンプルだ。異なる学部(Department)から集めらた学生をランダムに選んだ4名で一チームにする。そしてプロジェクトごとにチームを組みかえる。プロジェクトの期間は2週間。だから何かをして、何かを作って、それを発表して、チームのメンバーをシャッフルして3人の新しい仲間と同じ事をするわけだ。二週間ごとにそれをするから一学期の間に5回プロジェクトをする。
最初の年に”how much of a tiger by the tail we had”*1かは言葉に尽くし難い。自分でもできるかどうか知りたくて講義を作った。当時は3Dグラフィックスでどうやってテクスチャマッピングをするか分かり始めたころで、まあまあの物ができるようになったところだった。そして当時のコンピュータは今から見ればとても貧弱なものだった。だけどやってみようと思った。
新しくカーネギーメロンに移ってきてから、いろんな学生を集めるために異なる学部の講義リストに載せてほしいと何回か電話をした。そして24時間以内には5つの学部でこのコースがリストに載っていた。
私はこの大学が大好きだ。驚くべき場所だ。そして集まった学生は「何を作ればいいんですか?」と聞いた。私は「知るわけないだろ」と答えた。何でも好きなものを作れ。ただしルールが二つある。銃を撃ちまくるものとポルノは禁止だ。これらに対して私が反対しているからではない。もうVRでやられているだろう?(聴衆の笑い声)そして19歳の男がこの二つを禁止したとき、全くアイディアなしになってしまうのを知ったら驚くと思うよ(聴衆の笑い声と拍手)
とにかくコースを始めた。最初の課題を与えると彼らは2週間後に戻ってきた。その結果をみて私はぶっとんだ。彼らの成果は私の予想をはるかに超えていたからだ。プロセスはイマジニアのVRラボのものをまねたものだったが、学部生が今より貧弱なツールで何ができるか私にもわからなかった。しかし最初の課題の結果はあまりにもすばらしく、教授を10年やっていて初めて私は「次に何をしたらいいかわからない」状態になった。
そこで師匠*2であるAndy Van Damに電話をした。
「彼らに2週間の課題を与えたら、一学期かかって作ったとしても全員にAをあげなくちゃいけないほどのすごいものを作ってきた。Sensei*3 どうしたらいいでしょうか?」
Andyはしばらく考えた後、こう答えた。明日クラスに戻り彼らの目を見ながらこういえばいい。「悪くないできだ。でももっといいものができるんじゃないか?」
カーネギー・メロンという名前を最初に聞いたとき
「メロンか。。」
と思った。しかしその後文句なしの超一流大学であることを学んだ。*4
この話を読むと驚く点がいくつかある。
まずあちこち電話しただけで、複数の学部から履修できる新しいコースを作れるとは。(日本の大学でこれをやろうと思ったらどれほど大変か私には全く知識がないけど、きっと大変なんじゃないかな)
また実際に学生がどんなものを作ったかは私にはわからないが、たった二週間で驚くものを作ってくる学生。(多少オーバーに言っている可能性を割り引いたとしてもだ)
そうした学生を世界中から集められるところが米国の超一流大学の強みだ。
自分が学生のころにこういう話を聞いていたら、「そういう環境で勉強したい」と思った,,,かもしれない。いや当時の私は「そう。すごいねー」とちょっと斜にかまえた態度で聞き流し、また同じ生活を続けたかもしれない。だから今ここにいるわけだが。
*1:訳がわかりません
*2:原文:Mentor どういう訳語がぴったりかな?
*3:原文まま。米国人が使うときにどういうニュアンスを持っているのかはよくわからない
*4:ピッツバーグは暑くて寒いけどね