「良い製品」を作るために必要なこと
2008-04-21 00:00
アマチュアは、流行ってる音楽を分析してコピーするとか、どうやってたくさんの人に聴いてもらえるか、すごく企画しているかもしれないけど。でも本当のミュージシャンは、たぶん完全に、自分の心から出てきた音楽を作っているから。「ついてきてくれるファンがいればいい。いなくてもしょうがない」っていう。自分に正直でないと、音楽はつくれないから。
「アラ探しより“面白い探し”のほうがいいじゃん」:NBonline(日経ビジネス オンライン)「アラ探しより“面白い探し”のほうがいいじゃん」:NBonline(日経ビジネス オンライン)
さて今日の問題です。「良い製品」を作るためにはどうすればよいでしょう?
近年この問題には二つの全く異なる解答が存在しているように思う。
- 市場を分析し、ニーズを把握し、ターゲットとするユーザ層をきっちりと想定した上で商品を企画する
- 自分が本当に作りたいと思えるものを作りなさい
この二つの声がどう位置づけられるべきなのか、私はずっと考え続けている。前者の声は「表の声」であり、本に書いてある。しかし近年後者の声があちこちで聞こえるようになってきている。一つだけ確かなのは後者の作り方でなければ商品に「魂」がこもらない、ということだ。
いまだうまく言語化できないのだが、「説明がきちんとできる」製品と「魂がこもった」製品の間には大きな差があると思う。
- 「説明がきちんとできる製品」は社内で説明をすることが目的(手段じゃないよ)だから「本当に自分でそれを金をだして使いたいと思うのか」という問いには「このような分析によれば、ユーザはこれくらいの価値を認めるはずです」と答える。もちろん答えにはなっていないが、それで問題ない。
- 「説明をきちんとする」ためには機能の数を増やす。穴をふさぐ。「魂を込める」ためには、いらないもの、自分が納得できないものをどんどん削り落とし磨いていく。
- 「魂がこもった製品」を作る時、一番恐ろしい声は自分の内なる声である。他人が「もういいんじゃない?」といったところで自分の中から「オマエにできるのはこんなものか」という声が聞こえる限り終わりはない。他人の声はふさげても、自分の内なる声はどこまでもつきまとう。
今日書いたことは自分でもまだ考え中の内容だ。「説明がきちんとできる製品作り」に関する本は多いから、「魂がこもった製品作り」に関して私が見聞きしたことを列挙しておしまいにする。
- 某コンサルの人に新しい製品の規格について相談したことがある。そのときの言葉は「自分がそのサービスにいくら払いたいと思いますか?それがそのサービスから得られる収入です」だった。
- Googleでは基本的にエンジニアが自発的に作りたいものを作る。そうしたやり方で様々なサービスが生み出される。
そのスティーブとたまたま「マイクロソフトとアップルのどこが違うか」という話題になった時に、彼が言った言葉が今でも心に残っている。 「マイクロソフトのプロダクツにはソウル(魂)が無い」 この言葉には本当にまいってしまった。
Life is beautiful: ソウル(魂)のあるもの作りLife is beautiful: ソウル(魂)のあるもの作り
- ニコニコ動画に存在する「こんなことして何の得になるんだ」という作品群。
アップルのデザイナーはどの製品についてもまったく異なるモックアップを10は作る。Lopp 曰く、「3つがよく見えるようにあと7つ」作るのではない。そんなことならみんながやっているだろう。そうではなくて、まったく制限を設けず心行くまでデザインさせたものを10作るのだ。それから何か月もかけて3つに絞り込む。そして最後に3つの中からこれはと思うものを決めるのだ。
アップルのデザインはこうやる・・・ « maclalalaアップルのデザインはこうやる・・・ « maclalala
"We do no market research. We don't hire consultants. The only consultants I've ever hired in my 10 years is one firm to analyze Gateway's retail strategy so I would not make some of the same mistakes they made [when launching Apple's retail stores]. But we never hire consultants, per se. We just want to make great products.
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