ミク。誕生日ありがとう
2008-09-01 00:00
初音ミクは2007年8月31日に発売されたそうだ。だから昨日は発売一周年、ではなく、ネットの上では「誕生日」となっている。
実のところ全く売れなくて販売中止になった製品であっても「発売一周年」でも二周年でも何周年でも迎えることができる。
初音ミクは一年後に「誕生日」を多くの人に祝ってもらえた。これはすばらしいことだ。一年と一日前、世の中に登場したミクは今日も歌って踊って元気一杯だ。
このブログで何度か書いたことだが、私はここで「初音ミク」といったときにそれは誰を、何を指しているのか考えてみたい。
- Vocaloidを開発したYAMAHAの人たち
- それに「初音ミク」というパッケージを与え、販売にこぎつけたクリプトンの人たち
- そのソフトウェアを使って、私などの想像が及ぶ範囲の何倍もの領域に広がる音楽を作る人たち
- その音楽を見て、聞く人たち
- その音楽を見て聞いてコメントし、タグをつけ、市場に登録をし感動を共有してくれる人たち
- その動画に触発されて、自分なりのアレンジを加え、新しい作品を生み出す人たち
- 新しいソフトウェア*1を作りだし、初音ミクの世界を広げていく人たち
- その動画に触発されて踊る人たち
- その動画に触発されて歌う人たち
- 動画を作ったり歌うのはどうすればいいんだ、と底辺の議論を2chで繰り広げる人たち
- そして寝起きの私が思いついていないが、ミクの世界を広げてきた人たち
それはあたかも、潜在的に不安定だが、表面はおだやかな水面に、一粒の種が落ちたかのようだ。その種を中心として、液体の中に潜在していた歪み、熱、叫びが形を作り始め、いつのまにか液体の中には多種多様な結晶構造ができあがっていく。
「文化を尊重するとは、作品の流通を厳重に管理すること」
と声高に主張する人たちがいる。
その人たちと別のところでは、自由に飛び交う初音ミクの音楽、映像が、感動と熱気の連鎖が思いもかけない世界を作り出している。それは私にとってとてもExcitingなことだ。
だから私はこの日に「おめでとう」ではなく「ありがとう」と言いたい。一年前、ネットの上でこんな興味深い人々の熱気を体験することができるとは夢にも思っていなかった。
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というわけで今日は秘蔵のマイリストから私の想像のななめ上をいってくれた作品群を紹介。
500万再生を突破した「みくみくにしてあげる♪」の別アレンジ。とても同じメロディとは思えない。
オリジナルも素晴らしかったが、演出を加えると、これだけ異なる印象を与えるかと驚かされた作品。いや、その道の人は先刻承知のことかもしれませんが、私のような人間には驚きなんですよ。
私がここで紹介したいのは16:20分からの「世界をめぐる感動の連鎖」著作権管理団体にお伺いを立てなくても、動画をつけ、歌い、発表できる自由がこのスペイン語版ココロを生み出したのだ。
最初にこの動画を見たときの驚きは多くの人たちに共通するものだと思う。最後のウィンクのところで
「俺にだ」
「いや、俺にだ」
「おまえら。キモすぎるぞ!。今のはおれのだ」
という不毛なコメント争いにも笑わせてもらいました。