地平を広げる偶然とは
2008-09-12 00:00
AppleのiTunesがバージョンアップされGeniusという機能がついた
こうしてGeniusのレコメンドにしたがって、iTunes Storeの深い森に入り込んでいくと、本当にたくさんの偶然が落ちていることに気がつく。これは、iTunes Storeのトップページを自発的に開いたときの体験とはまったく異なるものだ。あれだけ頻繁にタワーレコードに立ち寄っているのに、どうしてあの時期に、このCDに出会わなかったんだろうと不思議な気分にもなる。おそらくは、ジャンルに対する先入観が売り場から足を遠のかせていたのだろう。そこでは、偶然がそぎ落とされていたのだ。
山田祥平のRe:config.sys
インターネット上の販売サイトは、ほしいものが明確な場合、リアル店舗が逆立ちしても及ばないような威力を発揮する。
しかし「地平を広げる偶然」をもたらすことはほとんどない。
幸せな偶然というのは、いつも思いがけない形でもたらされる。本屋をぶらぶらしていると、ふとある本が目にはいる。手に取ってみると面白い。買ってみようか、こんな世界があったのか。こうした体験はAmazonでもiTunes Storeでも不可能だ。
AppleのGenius機能は、こうした「思いがけない偶然」を目指したものなのだろうか?
Appleがどの辺を狙っているかは彼らに聞かないとわからない。しかし私はこう主張したい。
地平を広げる偶然を与えるためには、アルゴリズムとインタフェースの両方が必要であると
すでに持っている知識から出発するにせよ、その関連性の糸を手繰っていくことで思わぬ場所にたどり着く。こんな世界があったのか、と驚きを得る。
これを実現するためにはアルゴリズムだけでは不十分。インタフェースが必要なのだ。
未だによい名前を思いついていないが、興味をひけばそちらに進む。気にいらなければ簡単に取り換える。このスピードがなければそうした偶然を誘発する情報探索は行えないのだ。
と過去に作った動画ばかり出している場合ではない。