映画評:ティンカーベル それとある映画評について
2008-12-26 07:13
本家より転載
悪い映画ではなかったと思うのだが、完全な子供向けだし、特に印象にも残らなかったのでこの値段にするわけだ。
ピーターパンにでてくる妖精ティンカーベル。彼女が誕生し、ロンドンに行くまでの姿が描かれる。出だしでちょっと意表をつかれるのが
”ティンカーベルは実は工学部産業機械工学科卒業でした”
という設定。もちろん彼女は作業服をきて引っぱり強度の試験をしたい、などとは思っていない。てんとう虫に色を塗ったり、夕焼けの光を捕まえたいのだ。
というわけであれこれあるのだが、ティンカーベルの活躍により話は丸く収まる、と内容はそれだけである。これが日本製であれば
”昨今の理系離れを反映したものか”
と言うところだが、そういうわけでもなかろう。というわけで映画の内容を離れ勝手な妄想が膨らむ訳だ。以下ネタばれ含む。
ティンカーベルが巻き起こした”産業革命”により、それまで数ヶ月を要していた春の準備はたった一晩で可能になる。映画の範疇では”めでたしめでたし”なのだが来年からはどうするのか。それまでせっせこと働いてた妖精達は
”一日でできるんでしょ?”
といい、昼間から酒を飲んだり、遊び回ったりするようになったのだった。町には失業者があふれ、とりあえず騒ぎを起こしたいマスメディアは”これは現政権の失政によるものである”とかき立てる。ところで失政ってなんですか。
このように様々な弊害が起こるのだが、いつしか妖精達はその環境に順応する。そして歴史の試験で”産業革命を起こした人の名前を書きなさい”という問題に取り組むことになるのだった。
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さてこの映画を激賞しているのが前田氏である。
いったい映画『ティンカー・ベル』に仕掛けられた隠しメッセージとは何なのか。
詳しくは皆さん自身で確かめてほしいが、アメリカ発の金融恐慌の原因に深く関わる事ということだけは書いておく。さらにヒントを出すなら、モノづくりの職業を放棄して、空とぶ華やかな仕事にジョブチェンジした妖精ティンカー・ベルとは、現在のアメリカ合衆国そのもの、ということだ。
この映画は、自信を失ってしまった覇権国家アメリカの労働者を励まし、汗水流す地道な労働を賛美する、まれにみる社会派ムービーである。
端的に言うがこの”感想”は映画の内容とは何も関係がない。
・空を飛んでいる妖精たちもちゃんと働いている。
・メインランドにあこがれるティカーベルは地道に機械を直したり、作りだしたりするが、最後はメインランドに飛んでいく。
数字だけをいじくりまわしていい暮らしをしている妖精でもでてくれば、前田氏の意見に賛同するが。
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前田氏の映画評を読みだしたとき
”をを、この人はつまらない映画はつまらないと言っている”
と好感をもった。しばらく読んでいたが、そのうちどうにも不愉快な感じを持つことが多くなり読まなくなった。
その不愉快さがどこから来るのか疑問だったが、最近ようやく明らかになった。
彼にとって映画評とは
”自分の知識(と思っているもの)をひけらかす場所”
でしかないのだ。であるから上記に引用したような映画の筋とはかけ離れた激賞をしてみたり、わけのわからないけなし方をしてみたりする。
その知識が感心するようなものならともかくそこが浅いものだから読んでいて不愉快になるわけだ。電車の中で友人(あるいはそのポジションにいる不幸な男)に対して、やたら大きな声でくだらないことをしゃべり続けている酔っ払いに遭遇したことがないだろうか。前田氏の映画評を読む時の不快感はそれに似ている。
しかし
最近気がついたのだが、こうした
”どうしようもない映画評論家”
のいかに多いことか。結局まともな映画評を読もうと思えば、個人でやっているサイトをめぐるしかない、というのが最近得た結論である。とはいえ、敬愛するm@stervisionもまた更新停止してるしなあ。。