映像(映画)と小説の違い

2009-01-08 07:18

電車の中に、学習塾の宣伝があった。いわく

”映像(映画など)と比べて小説にはどのような魅力があるが150文字以内で述べなさい”

私は塾に通っているわけではないので、文字数の制限は気にせず書いてみようと思う。

・映画は時間の流れを作品にコントロールされる。小説は自分のペースで読み、中断、再開することができる。
それゆえ、映画では3時間が実用上の最大値だと思うが、小説ならば、何日もかけて読み終えるようなものを作ることもできる。

・小説では、映画では表現しにくい物事や心理に関する詳細な描写を行うことができる。(ちょっと待て。これはなぜだ?)

・小説では映像がないゆえに、読み手の想像力をかきたてることが可能となる。おそらく多くの人がお気に入りの主人公の容貌を頭の中で作り上げていると思う。それゆえ小説が映画化された時には文句が噴出するわけだ。

・カフカの短編”橋”のように自由に視点を移動し何が起こっているか誰にも分からないような状況を作り出すことができる。


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とつらつら書いてくると

メディアの特性による表現の違い、というのがあれこれわかるような気がする。

”一般的”に映像の方が短時間で多くの情報を得ることができる。しかしそれは必ずしもメリットとは言えない。特徴なのだ。

文字での表現はその力に制約があるがゆえに、受け取り手の想像力を刺激することも可能となる。(もちろん同じことは映像の表現でも言える。何でも説明してしまうのではなく、受け取り手の想像力を刺激する名作はいくらもある)

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エンジニア的観点から情報デバイスを考えると 文字ベース→静止画表示(白黒→カラー)→動画表示 と一方向で考えがちだ。

技術的な難易度でいえば、確かにその順番で間違っていない。しかしそれが受け取り手にとってどうかというのは全く別の話だ。

こうやって書くとあまりにも当たり前の話なのだが、それを忘れるエンジニアの多さには驚くことが多い。