元ミサイルエンジニアとしてだけの感想
2009-04-08 07:26
どうやら北朝鮮の”飛翔体”は2段目の切り離しに失敗したようだ。
それでも前回の発射とは異なり、一段目はそれなりに飛行した。それゆえ打ち上げの映像も公開できるわけだ。
今回の件に関して、私が言いたいことはいかのURLにある記事と全く同一だ。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090331/142712/
こうした基本的な知識すらなしに、わけのわからない言葉を並べたてる人の多さには驚く。
そして↑の記事で最後に書かれていることにも、私は共感するのだ。
北朝鮮のロケット開発関係者はかなり追いつめられた状況にあるのではないだろうか。開発を急かされ、成功を要求され、その一方で開発に必要な資金、人員、設備などのリソースは十分ではないのではないか。 (中略) 2006年のテポドン2号は、打ち上げ直後に爆発し、破片となって日本海に落下した。 トラブルが続いているにも関わらず、北朝鮮はトラブルシューティングを行って同型機の再打ち上げに挑むのではなく、より大型のロケットである、今回の「銀河2号」の開発へと進んでいる。
テポドン2号が完全に失敗したにも関わらず、それより大型のロケットを打ち上げる。これは気が狂っているのでなければ、気の毒としかいいようのない状態だ。
おそらく
”失敗の原因は特定できている。その対策も完璧だ。今回の成果を生かし次のロケットはより長射程化を図る”
などという政治的な弁舌が北朝鮮内部で通ってしまったのだろうな。
飛翔体発射の際には本当にいろいろなことが起こる。もちろん地上において様々な試験を行うのだが、それでも予期しないことが起こる。
それゆえどの国も最初は失敗の連続となる。数十年前であればそうした失敗を秘匿しながら開発を続けることもできただろうが、今ではなんでも丸裸だ。公開されているものよりはるかに高画素の衛星写真もたくさん撮影されていることだろう。(映画にでてくるほどとは思わないけどね)
”世界注目”の中で無茶苦茶な政治的弁舌を実体化するために働かされているエンジニア達の心情を考えることもある。