歴史を学ぼう

2009-05-27 06:55

私が日本史と呼ばれるものについて、どうやった学んだかといえばその8割くらいは"学習漫画"によるものである。

小さい頃普通の漫画は買ってくれなかったが学習漫画ならOKというルールになっていた。というわけで歴史から科学から基礎はみんな漫画で学んだ。

それから月日は流れ幾星霜。今は自分の子供に何を読ませるか考える時期になっている。ドラえもんがついた学習漫画が気に入ったようなので古本屋であれこれ買った。

その中に"日本の歴史を上下巻で学ぼう"というものがあった。

読んでみると確かに主要なイベントは網羅されており、かつ主要な人物の名前も出てくる。しかしこの本を読んで歴史に興味を持ってもらえるものかと不安になる。

たとえば南北朝の争いで、足利尊氏が関東から挙兵し、京都でけっとばされ、九州に行きそこから巻き返して京都に戻るくだりはたった一コマで示されている。確かに知っている人がみればこの通りだと思うけど、これを書いて誰に何を読ませようとしているのか。

もちろん編集者を責めるのは正統な行為ではない。そもそも薄い漫画2冊で日本史を全部カバーしようというのが間違いなのだ。そこにあった人々の物語、どのような顔をしていたのか、は教科書的な事実の羅列からは浮かび上がらない。

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隣の国に目をやれば、人気のある物語で取り上げられる時代は、やたらと詳しい人が多くなる。ベルサイユのバラがはやったころは女子生徒がやたらフランス革命について詳しかったそうだし、三国志の時代になれば、ちょっとした軍師でさえ名前を知られている。

しかしその前後の時代については誰も興味を持たない。歴史の教科書でさえ五胡十六国ということでひと言でまとめていたように思う。実際魏だのなんだの同じような名前の国がたくさんあって覚えにくいことこの上ないが、そこにはやはり興味深い物語があったように思うのだ。

塩野七生氏言うところの"大人の歴史の勉強"ができる年齢になったことはやはりありがたく思う。時間に追われることなく、自分が興味をもった分野、時代について調べればよい。こうした大人の勉強のために、高校までの世界史、日本史がどの程度意味を持っていたのかはよくわからない。もちろん下地にはなったと思うのだが。