日本の携帯電話に商品力がないのは、大企業の幹部が無能だからだ

2009-07-08 07:33

と断言する。

今日書くことは昨日の続き。昨日こんな記事を見た

私には、日本の携帯端末メーカーが世界市場で惨敗を喫した理由は、下記のような単純明快なものであると思えます。

1)トップマネージメントに「世界市場で最後まで戦う」という強い意志がなかったこと。

2)細かいところでの技術にこだわり、そこでのわずかな優位性を過信して、マーケティングを軽視したこと。

3)コスト競争力がまったくなかったこと。

via: アゴラ : 携帯通信機メーカーにガラパゴス化の反省はあるのか? - 松本徹三

意思がなく、現実を直視できず、コスト競争力のなさを解消する努力もしなかった、とこの論説を書いた人は主張する。

ちなみにこの記事の後半では

さて、それでは日本のメーカーはもう勝てないのでしょうか? 私はそうは思いません。実は、私は、多くの人達の悲観論とは正反対に、「これから日本メーカーの反撃が始まる」と信じている人間の一人なのです。

その理由の第一は、日本メーカーもよう

via: アゴラ : 携帯通信機メーカーにガラパゴス化の反省はあるのか? - 松本徹三

とあり、やれAndroidが無料で利用できるからコストが下がるとか、日本の経営層もようやく携帯電話の重要性に気がついたとか書いてあるのだが、根本的な原因

"幹部が無能"

という点が改善されたとはどこにも書いていない。具体的にいえば

これは、iPhoneにおいては、システム全体が当初からそのような「戦略」に基づいて作られたからであり、「戦略なき戦術」に終始してきた日本メーカーは、すぐには追いつけそうにありません。日本の携帯通信業界が、「猫をなでていたら虎になってきた」感じで毎日を過ごしている間に、海の向こうでは、「虎を飼いならすのはどうしたらよいか」を初めから考えていた会社があったということです。

さて、それでは日本のメーカーはもう

via: アゴラ : 携帯通信機メーカーにガラパゴス化の反省はあるのか? - 松本徹三

このような戦略を立案し、批判があってもそれを着実に実行していく。こうしたことは大企業のトップマネージメントでなければできないことだが、それが可能になった、とはこの論説のどこからも読み取れない。

別の記事から引用する

日本の携帯通信産業界が抱える問題点については、リーダーシップの欠如からくる責任転嫁の応酬や自社ブランドに対する考え方の甘さなどを指摘し、(中略)

 リーダーシップの欠如については、パラダイムシフトの必要性を強調。日本企業の構造的な問題や、英語によるビジネス力が不足している点に触れ、高い技術力がむだになっていることを懸念した。

via: 超ガラパゴス研究会リポート:海外目線で見る、日本のケータイメーカーの弱点とは - ITmedia プロフェッショナル モバイル

 夏野氏が「むちゃくちゃ耳が痛い。ドコモなどでこういう話をすると『そうなんだよね!』とは言うものの、それで終わってしまう。何だよそれっていう」と述べると、ソフトバンクモバイル 取締役執行役副社長の松本徹三氏も「会社で言うと『会社の方針に、いちいちケチをつけるな』という話になる。結局、その気があるかどうか。SamsungやNokiaはその気があるから成功する」と同意。

via: 超ガラパゴス研究会リポート:海外目線で見る、日本のケータイメーカーの弱点とは - ITmedia プロフェッショナル モバイル

ちなみに私はここで"幹部が無能"とは書いたが"幹部が馬鹿"とは書いていない。実際大企業で上にあがる人というのは大変頭のいい人が多い。

しかし頭の良さ、身の処し方の上手さと企業経営の才能は一致しているわけではないし、一致する理由もない。

しかしいい時代になったよねえ。米国Appleが発売した携帯電話がちゃんと日本で使えるんだから。Appleがすごいコンピュータを発売した、と聞きながら個人輸入だとかそんなことで苦労していた時代は、、まあ実際遠い昔なのだが。

つまり別の日本の大企業の幹部に経営能力がなかったとしても私としては特段困ることもないわけだ。iPhoneをかつぐキャリアがないか、あるいは変な担がれ方をすると困るが、幸いにもソフトバンクという会社が存在していたわけだし。