映画評:Disney'sクリスマス・キャロル
2009-11-19 07:16
力が出ない日は本家から転載
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ロバートゼメキスはいったいどうしてしまったのか。観ている間中そればかり考えていた。
フォ レストガンプやバックトゥーザフューチャーを作ったのと同じ人間が作っていると思えない。ポーラー・エクスプレスも同様なのだが、この差異はどうしたことか。
原 作は何度も映画化されている名作だから大はずれはないだろう、と思いながら見始める。しかしすぐにいらいらする。人間の表情と動きを取り込んでいるはずな のに、なぜこのように動きが鈍く、一昔前のCGのように思えるのだろう。なにもかも1テンポおそく、操り人形のように見える。こんなできなら実写主体のほ うがよかったのに。
ストーリはご存知の通り。しかしひたすら暗い画面からは、嫌な感じはするものの"過去と今の自分を省み、将来におびえる"感情は伝わってこない。それゆえ
"まだ生きている"
と知ったときの感情の爆発もない。ただ淡々と物語が進むだけだ。それはあたかも皺の動きとかは正確に再現されているが決して人間を感じさせない3DCGと対応しているかのよう。
現 在を見せる精霊の笑い声にいらいらし、未来を見せる場面ではほとんど訳がわからなくなる。家政婦がでてくるのだが、(私が寝てなければ)それ までに登場していないので、誰だかわからない。アクションシーンらしき物もあるのだが、暗い画面の中でしゅるしゅる動かれても楽しくない。
この監督はいったいどうしてしまったのか。どうして他の誰も使わない
"表情と動きを正確にトレースする"
3DCGに固執しているのか。
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いろいろな分野で起こることだが、いったんは偉大な仕事を成し遂げた人が、なぜかよくわからない深みにはまっていくことがある。エジソンは確か霊界通信にはまっていったとか。アインシュタインが統一理論の研究をしたのは、、まあまともなほうか。
というわけでゼメキスである。あんなに面白いバック・トゥ・ザ・フューチャーを作った人間がこんな映画を作る、というのは信じがたい。しかしそれは人間にしばしば起こることなのかもしれない。
この映画では何度も
"ほら、人間のしわ、細かい表情までこんなにキャプチャできたんだよ"
と強調するようなシーンが登場する。しかしそれがなんだというのか?これはSIGGRAPHじゃないんだ。
あんなに面白いStar Wars 4-6を作ったルーカスもStar Wars 1-3を作ってしまった。ヒットはなぜ生まれるのか。実のところ偶然の産物なのかもしれない。