任天堂という会社のおもしろさ
2009-11-09 07:02
Wiiが失速した、と素直に認めるところが岩田社長、ひいては任天堂という会社の強さだと思う。
さて、会社で
"何か新しいアイディアを"
と言われると必ず以下の無限ループにはまる。
・新しいものは売れるかどうかわからないよね
・わからないものに投資はできないよね
・じゃあ今のままでいくしかないね
・それじゃ行き詰まりだから新しいものを出さないとね
(以下永遠に繰り返す)
この無限ループを批判しながらも、それに代わる意見を出すことができないのが凡人というものである。そこで以下の記事を読もう。
むしろ、「そんなことうまくいくの」と人が思うかもしれないことに、実はひそかに、しっかりとエネルギーをかけて、気がついたらそれが化けていたという状況を作るのが私の仕事です
via: やはり任天堂は立っているステージ、戦略のルールが違いすぎる - Future Insight
"そんなことうまくいくの"と思われるもので大当たりをとる。これができれば誰も苦労はしないということなのだが、実際任天堂はそれをやっている。その秘密は何かといえば
では3年以上かけてゆっくり、じっくりと開発したら全部「トモダチコレクション」のようになるかというと、ならないわけで、その目利きをするのが私や宮本のすごく重要な仕事で、その目利きの打率が今のところある程度良いので、今の任天堂の結果があるんだと思っています
via: やはり任天堂は立っているステージ、戦略のルールが違いすぎる - Future Insight
これが凡百の企業と任天堂が異なるところだ。打率のよい目利きの存在。それなくしては
"社内の合意をとるための分散投資"
になり、
"金だけ使って何も生み出さない"
ことになる(以前そういう会社に勤めていた、というのは内緒だ。あそこは目利きが、、、)
実のところこうした"目利き"の重要性についてのべた文章をあまり見たことがない。所詮はそこなのだ。いくらマーケットリサーチをやってもわからない将来に対して誰が決断を下すのか。
これは工学ではなくアートの領域なのだと思う。そしてそれは常に属人的な能力であり、つまるところそうした人間を見分け集めることができるか否かが"新しいものを生み出す"ことにつながる。それしかないのだ。
Apple,ピクサー、Google、任天堂はそうした属人的な才能の存在を理解してる企業だと思う。一方で口をひらけば
"プロセス化しなくちゃ"
という人間がはびこっている企業は今と同じことにひたすら磨きをかけるのが正しい。新しいことなんてうまくいきませんよ。