私が目指すモノづくりの姿
2009-11-27 07:13
フィル・シラーのインタビューから引用する。
1つ言えるのは、我々は非常に単純明快な原理原則で動いているということです。それは何か――「自ら愛せる商品を作る」という原理です。
via: アップル上級副社長に聞く:「デジタルライフスタイルの未来はiPhoneにある」――フィル・シラー (2/4) - ITmedia +D PC USER
これは大変重要な点だが形式がまかり通る企業という世界では最も無視される点でもある。
世の中には"こんなもの誰が使うんだ"という製品がまかりとおっている。そういうものを骨身を削り、自分を殺して作り続けるエンジニアには同情の念を禁じえない。(私が今やっているのもおおむねそうしたことだが)いや、悲惨さが一定限度を超えると"これを使って楽しいのか"とか考えなくなるんだけどね。
とにかく次のリリースに間に合わせる
とにかくバグを減らす
ことばかりが頭に占めるようになって。
というわけで企業で働いている人間にこんなことを言っても無駄だが、たとえば大学の研究室ではこれを徹底してはどうかと思うのだ。どんなに偉そうな言葉を並べようが、自分で使わなかったらダメ、とかね。
私のほかに誰も使わないGoromi-tubeだが本人および本人の子供たちはご機嫌である。したがって改良も続く。国際会議に論文が通ろうが、なんだろうが本人が使わないものは企業で飛び交う"報告書"と変わりはない。
私がアップルで非常に誇りに思っているのは、アップルは勇気と責任を振り絞って、顧客に代わり、この難しいトレード・オフの中での最良のバランスを見つけ、難しい決断を下し、そしてそのバランスの中での最良の製品を作るということを実践している点です。
via: アップル上級副社長に聞く:「デジタルライフスタイルの未来はiPhoneにある」――フィル・シラー (2/4) - ITmedia +D PC USER
この言葉にはフィル・シラーが誇りを持つだけの重みがある。
"勇気と責任を持って顧客に変わり決断を下す"
これができる局面というのはほとんどない。お客様の声に耳を傾けることと、お客様の言うことを聞くことには天と地ほどの差があるのだが、ほとんどの仕事で要求されるのは後者である。その結果"誰が使うんだこんなもの"ができあがったとしてそれがなんだというのか?
ちょっと妄想を広げる。
これは政治の世界でも言えることではないか?友愛主義で、かつ国民の6割以上の支持を得ている現首相は、どうやら難しい問題に
"住民投票の結果"
を反映させたいようだ。
私の意見ではこれは"責任感と勇気に欠ける行為"でしかない。
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いや、これ以上書くのはやめよう。私はSI屋なのだ。白い製品だろうと黒い製品だろうと、お金を払ってれくれるのが良いお客様。へえ、なんでもやります。