映画評:カールじいさんの空飛ぶ家
2009-12-25 07:20
ううう。本家から転載
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私はアニメーションの作画だのなんだのには関心をよせない人間だが、この映画の映像表現には素直に驚いた。やたらと空をとぶのだ が、下を見下ろしたとき、思わず◯◯が縮んだ。人間の顔も、デフォルメされているにもかかわらずとてもリアルだ。人間の顔をキャプチャすることに命をかけ ている某監督はこの映画を100回みて出直 すとよい。
すべての登場人物がとても生き生きとしている。特に印象深かったのは犬だ。しかられてしょんぼりと立ち去る後ろ姿。喜んで飛びついてく るところ。こう文字で書いてもなんのことかわからないだろうが
あと子供だけでなく大人も最後まで笑い声をあげていたのにも驚いた。子どもが笑うツボというのは確かに存在し、私などが寝かかっている 映画でも、そ のツボが登場すれば子供は笑う。しかしこの映画では大人も思わず吹き出すようなシーンがいくつかあった。というように構成要素には大いに驚かされたのだ が。
冒 険家にあこがれる少年が、廃屋で少女と出会う。そこから二人が結婚し、、、今や老人となった少年がひとりで家に座っているところまでが一切セリフなしで映 し出される。このシーケンスは見事(大人がちゃんと意味を読み取ると、結構つらいのだけど)立ち退きを命ぜられた老人は家ごと"伝説の滝"を目指 す。
2/3くらいまでは"これはどうなってしまうのか"とずっとわくわくさせる素晴らしいストーリーだった。しかし"悪役"がはっき りしてしまってからはは普通のハリウッド映画のようでがっかりした。いや、つまらないというわけではなないのだよ。それまでがあんまりわくわくだったもの だか ら"普通の悪役退治"に失望しただけで。
というわけで満点から少し割り引いてこの値段にするわけだが。
ここで話は少しそれる
今年のアカデミー賞でこの映画とぶつかるであろうポ ニョと の比較は興味深い。かたや3Dでかたやクラシックな手描きの絵で映像表現を極めようとしている。かたやハリウッド流の正統なストーリーを磨き極めようと し、かたやロジックだの思惑だのふっとばして監督個人の妄想全開ストーリーを作る。方向性の異なる二つのアプローチがそれぞれ花開かせるのを見 ることができるのは幸せなことだ。
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この映画の中ではじいさんのひげが少しずつ伸びていく。それを含め細かい映像の表現には本当に驚かされた。犬もかわいいし。犬を飼っている方にもお勧めの映画です。